開業資金はいくら必要?相場から資金調達方法まで徹底解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2024/09/29 

起業を考えている多くの方にとって、開業資金はもっとも大きな関心事のひとつです。

開業資金の目安について、日本政策金融公庫総合研究所の調査では1,027万円が平均とされていますが、500万円から1,000万円程度が一般的な範囲です

開業資金には、物件取得費や設備投資費用、そして開業後の運転資金などが含まれます。それらをしっかりと計画し、管理することが必要です。

本記事では、業種別の開業資金の相場や、資金調達方法の詳細について徹底解説します。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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平均的な開業資金の金額

日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業資金の平均は1,027万円となっています。

事業の種類や規模、立地条件などによっても金額は大きく異なりますが、一般的な目安として500万円から1,000万円の範囲であることが多いです。

多くの起業家がこの範囲内で資金を調達し、事業のスタートを切っています。ただし、事業内容によっては大幅に費用が増減する可能性があるため、自身の事業計画に基づいて必要な金額を具体的に見積もるようにしましょう。

1,027万円という平均値は、開業時に必要な初期投資を包括的にカバーするための金額であり、物件の取得費や設備の購入費、さらに開業後の運転資金など、多岐にわたる用途に使われます。

とくに、飲食業や小売業など、設備や備品の導入に大きな費用がかかる業種では、開業資金が高額になる傾向があるため注意してください。一方で、デジタルサービスやコンサルティングなど、設備投資が少ない業種では、より少ない金額で開業できます。

開業資金については以下の記事も参考にしてください。

開業資金や運転資金、自己資金はいくら必要?
3つの資金調達方法とおすすめの融資制度を紹介

開業資金の相場を具体的に把握する4つのポイント

開業を成功させるためには、資金計画が非常に重要です。必要な資金の総額や内訳を把握し、事前に十分な準備をすることで、開業後の経営を安定させることができます。ここでは、開業資金の相場を具体的に把握するための4つのポイントを紹介します。

1. 開業資金の内訳と必要な費用項目

資金計画は事業の成否を大きく左右する重要な要素です。開業資金にはさまざまな費用項目が含まれ、それらを十分に把握することが必要です。

まず、開業資金には主に以下の項目が含まれます。

1. 設備費

設備費は、事業をはじめる際に必要な機器や備品の購入費用です。

たとえば飲食店であれば厨房設備、オフィスであればデスクやPCなどが該当します。これらの設備費は初期投資として大きな割合を占めることが多く、業種によって金額に大きな差が出るため、具体的な設備をリストアップし、見積もりをとります。

2. 仕入れ費

仕入れ費とは、販売する商品や材料を購入するための費用です。

たとえば、アパレルショップでは商品の仕入れ費、レストランでは食材の購入費がこれに該当します。開業初期は売上が安定せず、仕入れ費を回収できるまでに時間がかかることが多いため、十分な運転資金を確保しておきたいところです。

3. 広告宣伝費

開業初期は集客が課題となるため、広告宣伝費が欠かせません。広告宣伝費には、チラシの作成費用、インターネット広告の費用、開業イベントの費用などが含まれます。とくに、競争が激しい業界では初期段階での認知度向上が重要となるため、認知度向上のための施策を練って、宣伝費を試算してみましょう。

4. 敷金や礼金、リフォーム費用

物件を賃借する際には、敷金や礼金が必要です。業種によってはリフォーム費用がかかる場合もあります。

とくに店舗型の事業では、物件選びと改装が集客に大きく影響するため、これらの費用は慎重に見積もりましょう。敷金や礼金は通常返金されないため、ムダにならないように物件の選定は慎重に行いましょう。

5. 当面の生活費や税金

起業初期は利益が安定しないことが多く、個人の生活費を賄う資金も計画に含める必要があります。最低でも半年分の生活費を準備しておくことで、事業に集中できる環境を整えましょう。また、税金や社会保険料など、見落としがちな費用も忘れずに開業資金に含めておきましょう。

6. 開業後数ヶ月の運転資金

開業直後は、顧客の確保や事業の立ち上げに時間がかかり、数ヶ月は赤字が続くことが一般的です。そのため、開業後の運転資金も見こんで資金計画を立てることが大切です。とくに、家賃や人件費などの固定費は毎月発生するため、これらの支払いに困らないよう、資金を算出しておきましょう。

7. 見落としがちな費用も忘れずに

開業準備では、見落としがちな費用が発生することもあります。たとえば、登記や社会保険の手続きにかかる費用、許認可の取得費用、保険料などです。また、開業後の運営を支えるために必要となる資格取得費用も見逃せません。これらの項目もチェックリストに加え、計画的に準備しましょう。

開業資金の内訳をしっかりと把握し、それぞれの費用項目を細かく見積もることで、予想外の出費に備えることができます。これにより、開業後の経営を安定させるための資金計画が確実なものとなるでしょう。

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資金調達や融資制度についてくわしく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

開業資金や運転資金、自己資金はいくら必要?
3つの資金調達方法とおすすめの融資制度を紹介

2. 業種別の開業資金の具体的な目安

開業するにあたって必要となる資金は業種によって大きく異なります。以下では、代表的な業種ごとの開業資金の目安を紹介しています。

業種 開業資金の目安 特徴と注意点
飲食店 100万円~1,500万円 店舗の取得費や内装工事、厨房設備などが主な費用となります。地域や店舗の規模によって金額は大きく変動し、とくに都市部では家賃が高いため、多額の資金が必要になることもあります。少額ではじめられるフードトラックなどの選択肢もあります。
クリニック 1,000万円以上 医療設備や高度な機器が必要なため、開業資金が1,000万円を超えることが一般的です。加えて、医療機関としての法規制への対応や、開業後の運転資金確保も重要となります。立地による影響も大きく、慎重な資金計画が必要です。
個人事業主 10万円~1,000万円 業種によって大きな差があります。たとえば、ライターやデザイナーであれば低コストで開業が可能ですが、店舗を構える小売業や設備が必要な業種では数百万円の資金が必要です。自宅を事業所にすることでコストをおさえられます。
カフェ 500万円~1,000万円 店舗取得費や内装工事、調理設備、家具の購入費用が必要です。とくに居心地の良さを追求するための内装費が高くなる傾向があります。小規模なテイクアウト専門のカフェであれば、資金をおさえることも可能です。
美容院 700万円~1,500万円 店舗の改装費や美容機器の購入費が含まれます。とくに、美容椅子やシャンプー台などの設備費が大きな割合を占めます。また、集客のための広告費や運転資金も考慮する必要があります。スタイリストの雇用が必要な場合、人件費も発生します。

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近年では、少額での起業も増加しており、とくにIT関連やサービス業の分野では、10万円以下の開業資金ではじめるケースも増えています。

資金が少ない状況で開業できるようになった背景には、デジタル化の進展やシェアオフィスの普及などがあります。共有できる施設が増えた結果、開業当初の設備投資が少なくても事業が成り立つ環境が整いつつあります。

しかし、飲食業やクリニックなど、一定の設備投資が避けられない業種では、依然として高額な開業資金が必要です。これらの業種では、自己資金や融資、補助金の活用など、適切な資金調達が欠かせません。

詳細な業種別の開業資金の目安や経営の安全率、ギャップ率については、ドリームゲートの「開業レポート」に掲載されており、資金計画を立てる際に参考になります。

飲食店の場合

飲食店を開業する際には、多くの費用が発生しますが、そのなかでもとくに大きな割合を占めるのが物件取得費と内装工事費です。

飲食店の立地は集客に直結するため、賃貸する物件の選定にはとくに注意が必要です。賃貸契約時には、敷金や礼金、保証金といった初期費用がかかることが多く、これらの費用が数十万円から数百万円に及ぶこともあります。また、物件の状態によっては大規模なリフォームや改装が必要となり、その費用も見積もりに含める必要があります。内装工事費用は、店舗の規模やコンセプトによって異なりますが、数百万円から1,000万円を超えることもあります。

さらに、飲食店には厨房機器や備品も必要です。厨房機器には冷蔵庫、オーブン、調理台、換気設備などが含まれます。しかし、これらの機器は高価であり、設置工事費も加わるため、数百万円規模の支出となることが一般的です。

開業時には広告宣伝費や初期の仕入れ費用も必要です。飲食店は開業直後から顧客を集めることが重要であり、オープニングイベントや広告宣伝を通じて知名度を高めるための費用も計上しておくべきです。

これらの費用をすべて合計すると、飲食店の開業には少なくとも100万円から1,500万円程度の資金が必要とされることが多くなっています。また、開業後数ヶ月は利益が出ないことも多いため、運転資金として余裕を持った資金計画が重要です。

飲食店の事業計画書で重要な資金計画のたて方、書き方を解説

クリニックの場合

クリニックの開業には、非常に高額な開業資金が必要です。とくに、医療機器や内装費用が大きな割合を占めます。診療科目によって必要な医療機器は異なりますが機器の費用は総額で数百万円から数千万円以上になることも珍しくありません。

医療機器の購入だけでなく、設置や保守管理のための費用も考慮する必要があります。

クリニックの内装費用も重要なコスト項目です。クリニックの内装には、患者に安心感を与えるデザインが求められ、内装費用は通常の店舗以上に高額になることが多く、1,000万円以上の費用がかかる場合もあります。

また医療機関としての開業には、多くの届出や申請が必要であり、それにともなう手続き費用が発生します。たとえば、保健所への届出、医療法に基づく施設基準の適合確認、診療報酬の算定手続きなどが含まれます。

開業資金としては、総額で5,000万円から1億円が必要とされることが多く、資金調達の手段やスケジュールも事前にしっかりと計画することが重要です。

一般的な個人事業主の場合

個人事業主としての開業は、業種によって必要な資金が大きく異なります。自宅で事業を開始する場合は、10万円から50万円程度で収まることが多いです。自宅を活用することで賃貸料を不要とすることができるため、初期投資を最小限におさえた起業が可能です。

一方で、事務所を借りる場合には賃貸料が発生し、これが開業資金のなかで大きな割合を占めることになります。

また、オフィス家具や設備の購入費用も必要となるため、事務所開業の際は全体の資金計画を慎重に立てることが求められます。

個人事業主は税金や社会保険料の負担があることも忘れてはなりません。

また、広告宣伝費や営業活動の費用も必要となります。とくに、新規顧客の獲得に向けた投資は初期段階では重要です。

個人事業主の場合でも、開業後数ヶ月は売上が安定しないことが多いため、運転資金を十分に確保することで経営の安定性を高めることができます。

個人事業主として開業予定の方は、以下の記事も参考にしてください。

開業資金や運転資金、自己資金はいくら必要?
3つの資金調達方法とおすすめの融資制度を紹介

3. 不測の事態に備える予備資金

開業には予備資金も必要です。開業直後は、売上が安定せず、予想外の支出が発生することがよくあります。

たとえば、設備の故障や予期せぬ法的手続き、原材料や商品の急な値上げ、急な離職者のための採用活動など、予測がむずかしい支出が発生することがあります。

4. 保険料や許認可の取得費用

開業時には、事業を保護し、リスクに備えるための各種保険料が必要です。

事業内容や業種によって求められる保険は異なりますが、一般的には火災保険、賠償責任保険などが挙げられます。保険に加入することで、火災や事故など、さまざまなリスクに対応することができます。保険料は事業の規模や業種によって変動しますので、試算しておきましょう。

とくに、賠償責任保険は、事業活動中に発生する可能性のある第三者への損害賠償リスクに備えるための重要な保険です。たとえば、飲食店であれば、食中毒や事故に対するリスクがともないますし、製造業であれば、製品の不具合による損害賠償リスクがあります。

また、業種によっては許認可の取得費用も発生します。許認可の取得には、申請手数料や関連する手続き費用がかかり、場合によっては数十万円以上のコストが発生するため注意しなければなりません。さらに、取得した許認可の更新や、事業の拡大にともなう追加の許認可取得費用も計画に含めておく必要があります。

開業資金の使用用途を明確に算出しよう

開業資金の内訳は、主に2つにわかれます。

設備資金の内訳

設備資金は、開業時に必要となる各種設備や物件にかかる費用です。

設備資金のなかで大きな割合を占めるのが、物件取得費と内装工事費です。

物件取得費には、敷金や礼金、保証金、仲介手数料などが含まれ、とくに都市部での物件取得には高額な費用がかかることがあります。また、店舗の内装工事費も無視できない費用項目であり、とくに飲食店や美容院などでは顧客の印象を左右する内装について高いクオリティが求められるため、投資額が大きくなりがちです。

さらに、機器や備品の購入費も設備資金に含まれます。

たとえば、飲食店であれば厨房機器や調理道具、小売店であれば陳列棚やレジ、POSシステムなどの購入が必要です。これらの設備投資は、開業時の初期投資として一度に大きな費用がかかるため、しっかりとした計画と見積もりが求められます。

運転資金の必要性

運転資金は、事業運営に必要な毎月の経費をカバーするための資金です。

具体的には、家賃や人件費、光熱費、広告費、仕入れ費用など、日々の事業活動にともなう支出に充てられる資金です。

とくに開業直後は売上が安定しないことが多く、運転資金が事業の継続において非常に重要な役割を果たします。一般的には、開業後3ヶ月から6ヶ月分の運転資金を確保することが推奨されていますが、業態や立地条件によってはさらに多くの資金が必要となる場合もあります。

運転資金の確保は、売上が予想通りにいかない場合や、顧客獲得に時間がかかる場合のリスクヘッジとしても重要です。たとえば、飲食店の場合、開業後すぐに顧客が定着するとは限らず、季節や立地条件によって売上が変動することもあります。

こうした状況に備えるためには、事業が軌道に乗るまでの期間をカバーする運転資金をしっかりと準備しておく必要があります。また、予期せぬ支出や突発的な設備の修繕が発生することもあり、こうした不測の事態に対応できる資金の余裕が、経営の安定性を支えることになるでしょう。

運転資金に関しては、以下の記事も参考にしてください。

日本公庫で借りられる運転資金について目安や使い道などくわしく解説

創業融資の運転資金は何か月分が妥当か?【元日本公庫融資課長が監修】

開業資金の代表的な3つの調達方法

開業時の資金調達では、事業の特性や目指すべき経営方針に合った方法を選択しましょう。

1. 金融機関からの融資

金融機関からの融資は、もっとも一般的な開業資金調達方法のひとつです。なかでも、日本政策金融公庫の創業融資は、新規創業者を積極的に支援するための融資制度として広く利用されています。

日本政策金融公庫の創業融資は、事業計画がしっかりとしていることが前提であり、過去の実績がなくても融資が受けやすい特徴があります。低金利で融資を受けられる点や、無担保・無保証での融資が可能な場合がある点で、開業資金を必要とする多くの起業家にとって非常に魅力的です。

また、民間の銀行や信用金庫からの融資も選択肢として考えられますが、融資条件は金融機関ごとに異なるため、事前に各機関の条件をよく確認することが重要となります。民間の金融機関では、企業の信用度や経営者の過去の実績が厳しく審査されることが多いため、しっかりとした事業計画書の作成と、計画に基づいた確実な経営が求められます。

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2. 補助金・助成金の種類と利用方法を理解する

補助金・助成金は、返済不要の資金提供として事業の大きな助けになります。

とくに、経済産業省や厚生労働省が提供する補助金や助成金は、多くの起業家や新規事業者にとって有力な支援策となっており、多くの起業家が資金調達の手段として利用しています。

たとえば、経済産業省の「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」、厚生労働省の「雇用調整助成金」など、さまざまな種類の補助金や助成金が用意されています。

補助金や助成金は事業に直接的な資金援助をもたらし、資金繰りを支えるだけでなく、事業の信用度を高める効果もあるため積極的に応募するとよいでしょう。

補助金・助成金には募集期間や申請条件があり、誰もが必ず受給できるわけではありません。そのため、補助金や助成金を利用する際には、募集時期や申請要件をよく確認し、事前に準備を整えることが重要です。

人気の補助金 | 経済産業省 中小企業庁

事業主の方のための雇用関係助成金|厚生労働省

3. クラウドファンディングの活用も検討する

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の支援者から資金を集める方法であり、銀行融資や補助金とは異なる資金調達の手段です。プロジェクトの内容や事業のビジョンを魅力的に伝えることで、多くの支援者から少額ずつの資金提供を受けることができます。

クラウドファンディングの成功には、プロジェクトの魅力をしっかりと伝えることが鍵となります。資金を集めるためには、事業の社会的意義や革新性、将来性などを具体的に示し、支援者に共感してもらうことが重要です。

クラウドファンディングは、単なる資金調達手段にとどまらず、事業の認知度向上や顧客とのつながりを深める効果も期待できます。

開業や新規プロジェクトの立ち上げにおいては、クラウドファンディングの活用を検討する価値が十分にあると言えるでしょう。

7割が失敗するクラウドファンディングで資金調達に成功する方法
| 起業・会社設立ならドリームゲート

金融機関からの融資を成功させる2つのポイント

金融機関は融資の可否を決定する際に、事業の将来性や返済能力を厳しく審査します。

ここでは、金融機関からの融資を成功させるための2つの重要なポイントを紹介します。

1. 日本政策金融公庫の創業融資を活用する

日本政策金融公庫の創業融資は、新規事業者にとって非常に有利な資金調達方法です。

日本政策金融公庫の融資制度は、とくにこれから事業をはじめる起業家を支援することを目的としており、過去の実績がない場合でも比較的融資を受けやすいことが特徴です。

また日本公庫は、国が出資する政府系金融機関であるため、新規創業者への支援を積極的におこなっており、創業融資は多くの起業家に利用されています。

創業融資の大きなメリットのひとつは、低金利での融資が可能であることです。一般の銀行や信用金庫の融資に比べて、金利がおさえられているため、返済の負担が軽減されます。また、融資制度によっては、無担保・無保証人での融資が可能な場合もあり、個人の資産をリスクにさらすことなく資金を調達できる点も魅力です。

日本政策金融公庫の創業融資について、この記事の監修者である上野光夫氏のYouTubeも参考にしてください。

2. 民間銀行や信用金庫の融資条件と審査基準を知る

銀行や信用金庫が融資を審査する際に重視するポイントは、申請者の信用度と返済能力です。信用度を高めるためには、事業計画書の作成に十分な時間をかけ、細部まで練りこむことが必要です。

事業計画書には、売上予測や収支計画、資金使途の詳細を明記し、計画に現実性と具体性を持たせることが求められます。また、過去の経営実績がある場合は、そのデータも活用し、事業の継続性や安全性を明確に示すことが審査通過のポイントとなります。

さらに、金融機関によっては、融資の際に担保を求める場合もあります。担保は融資の返済を保証するためのもので、不動産や預金、有価証券などが対象となります。担保が提供できる場合は、融資を受けやすくなる傾向がありますが、担保がない場合でも、しっかりとした事業計画の作成と自己資金の確保ができていれば、融資を受けることが可能です。

日本政策金融公庫と民間金融機関との7つの違い
| 事業計画書のつくりかた

自己資金を活用するメリットとデメリット

自己資金の額は開業を大きく左右する要素です。

自己資金の有無で、金融機関から融資を受けられるか否かも変わります。自己資金を活用して事業を開始することには多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。

自己資金を活用するメリット

自己資金を活用することには、以下のようなメリットがあります。

1. 経営権を保持でき、自由度が高い

自己資金を活用する最大のメリットは、経営権を完全に保持できることです。

他者からの出資を受けないため、事業の方向性や重要な意思決定において、外部の影響を受けることがありません。経営の自由度が高まり、経営者は自分のビジョンや考えに忠実な事業運営が可能となるでしょう。また、投資家や金融機関との交渉や報告義務がないため、日々の経営に専念することができ、意思決定のスピードを早めることができます。

2. 金利負担がない

自己資金は、融資のように利息を支払う必要がないため、金利負担がありません。

資金調達にともなうコストが発生せず、キャッシュフローを圧迫するリスクが軽減されます。

3. 資金調達に有利

日本公庫の創業融資は自己資金要件はありませんが、一般的には資金調達額の1/3程度の自己資金を用意していると審査が有利に運ぶといわれています。

開業時には十分な自己資金を用意しておくと、資金調達がスムーズです。

自己資金を活用するデメリット

他方で、自己資金を活用することには、以下のようなデメリットがあります。

1. 資金量が限られ、大規模な事業には不向き

自己資金には限りがあり、大規模な事業や設備投資が必要なプロジェクトには不向きです。

とくに、成長を加速させるために大きな資金投入が必要な場合や、急速な市場拡大を目指すスタートアップなどには、自己資金だけでは対応しきれないことが多いです。

また、自己資金の範囲内で事業を進めるため、成長機会を逃してしまうリスクもあります。事業規模に見合った資金を確保できない場合、計画通りに事業を拡大することが困難となるでしょう。

2. 事業失敗時に全ての資産を失うリスクがある

自己資金とは、自分が持っている資産のうち、事業に投入する部分のことです。

もし全財産を自己資金として投入した場合、全資産を失うことになりかねません。資産の全てを自己資金として使うのではなく、いざというときの「虎の子」は残しておくべきです。

よくある質問

開業資金はいくら必要なの?

開業資金は事業の種類や規模によって大きく異なります。日本政策金融公庫総合研究所の調査では1,027万円が平均とされていますが、500万円から1,000万円程度が一般的な範囲です。飲食業や小売業など、設備投資が必要な事業では比較的高額になりがちで、物件取得費や内装工事費、設備や備品の購入費などが大きな割合をしめます。一方で、コンサルティングやデジタルサービスなど、設備投資が少ない業種では、より低コストでの開業が可能です。

こちらに業種別の開業資金目安があります。

業種別の開業資金目安

個人事業主としての開業資金は必要?

個人事業主としての開業資金も、事業の内容や規模に応じて異なります。自宅を拠点にしたり、オンラインを活用したりする場合は、10万円から50万円程度ではじめられるケースもあります。

しかし、事務所を借りる場合や、業務に必要な機器をそろえる必要がある場合は、それに応じた賃貸料や購入費用が発生します。とくに、サービス業や小売業など、実店舗や設備が必要な業態では、数百万円単位の資金が必要になることもあります。

個人事業主が事業計画書を作成すべき理由は?
書き方や記入例などを解説!

自己資金がない場合、どうやって開業資金を調達するの?

自己資金がない場合であっても、開業資金を調達する方法はいくつか存在します。代表的な方法として、日本政策金融公庫の創業融資は、新規事業者を積極的に支援するための制度であり、過去の実績がない場合でも比較的融資が受けやすいです。また、低金利での融資が可能な点や、無担保・無保証人での融資を受けられる可能性があるため、多くの起業家にとって魅力的な選択肢です。

さらに、補助金や助成金の利用も考慮すべきです。経済産業省や厚生労働省が提供する各種補助金や助成金は、返済不要の資金として事業の大きな助けになります。

自己資金なしで創業融資を受ける5つの方法と注意点

開業資金が500万円未満でも大丈夫?

開業資金が500万円未満の場合でも、事業を成功させることは十分に可能です。ただし、少額の開業資金であっても、適切な計画と資金管理が求められます。とくに、資金の使い道を明確にし、優先順位をつけて支出することが重要です。

また、事業の性質によっては、少額でのスタートが逆にメリットになることもあります。たとえば、リスクをおさえたスモールスタートで事業を開始し、事業が軌道に乗った段階で徐々に規模を拡大する方法も有効です。とくに、デジタル分野やオンラインビジネスでは、初期投資が少なくても成功するケースが増えています。

開業資金をしっかり把握して、リスクを最小限に成功する開業を目指そう

開業資金の準備は、単に事業をはじめるための資金というわけではありません。開業資金は、開業後の経営の安定と成長に不可欠な基礎となるものです。

開業時に必要となる平均的な開業資金は1,027万円とされていますが、業種や事業規模によって必要な資金は大きく異なります。適切な計画と管理をおこなうことで、500万円未満の開業資金であっても事業を成功させることは十分可能です。また、自己資金が不足している場合でも、日本政策金融公庫の創業融資や各種補助金、クラウドファンディングを活用することで、事業活動をはじめるための資金は十分賄えます。

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