税理士事務所から数店の眼鏡店勤務を経て、メガネプランナーという新しい仕事をつくり出す

冒頭

東京・田町で眼鏡サロン「myamya(ミャミャ)」を経営している、株式会社M’sマネジメント代表の宮キヌヨ氏。お客さま一人一人にどんなメガネが似合うか診断し、お勧めのメガネを教えてくれる「メガネプランナー」として活躍している。

大学卒業後は税理士を目指して、税理士事務所に勤務していた宮氏。しかし、税理士として働く未来の自分に疑問を感じて、FPを取得したところで転身する。その後、眼鏡店で勤務していた時に抱いた疑問がきっかけとなり、開業。子育てとの両立のため、自分のペースで働ける仕事をつくり出した宮氏に、開業の経緯や事業計画、数字の管理などについて伺ってきた。

株式会社M’sマネジメント

代表取締役 宮 キヌヨ Miya Kinuyo

事業内容 眼鏡、補聴器の販売、その他関連商品の販売
所在地 東京都港区芝浦
事業計画書の安全率 12.0

1:事業内容
眼鏡店の店員時代に感じた疑問を解消すべく、メガネプランナーという職業をつくって開業。お客さまとマンツーマンで接することで、クレームゼロの眼鏡サロンが誕生。

眼鏡サロン「myamya(ミャミャ)」は、お客さま一人一人と対面して、彼・彼女らに似合うメガネをお勧めするサービスを行っています。私はこの職業をメガネプランナーと名付けましたが、わかりやすくいうとメガネに特化したスタイリストですね。

当サロンの平均顧客単価は5万円強で、月に十数名くらいのお客さまがいらっしゃいます。私が現在子育ての真っ最中ということもあり、診断→お渡し→アフターフォローを充実させるにはこのくらいのペースでしっかり対応できることを優先、次月の予約をいただき安定できたスタイルになりました。

サロンは田町にあるソーシャル・コミュニティ・スペース「パズル芝浦内」に個室を借り、スタッフは3名。私と妹、あとはパートタイムの方に週1回来てもらっています。

眼鏡店で販売員として働いていた時、いろんなことが見えてきました。メガネを選ぶ際、どれが自分に似合うか、客観的に判断できないお客さまも多いです。ファッションの一部であるけれど洋服のように思うように選べない、販売員にも、似合うかどうか教えてくれる方とそうでない方がいる、わかってきたのは、やはり似合うメガネをきちんと選んでくれる方がお客様も喜んでくださるということ。であれば、アパレル店や美容室のように、お客さまにどんなメガネが似合うかを診断するサービスが必要なのではないか?と考えました。

実際、パーソナルカラーを診断されるカラーアナリストさんたちに話を聞き、そこでも意外とメガネについて聞かれることが多いとのことニーズはあると確信しました。

当サロンでは、「似合うメガネ診断」というサービスを行っており、60分コースで5000円いただいています。

実は、メガネって、粗利率が高いと言われる割には返品率が高い商品なのです。また、広告費も入ります。だからこそ、粗利率は必要。レンズ度数が思うように合わない、カラーの色が掛けてみると実際イメージが違ったなど、そのような行き違いがないようにしっかり診断時間を120分とらせて頂いております。

仕入れ値も量販店に負けずと交渉し広告宣伝などの販促費用も含めて、業界の粗利に比べますと低いですが粗利5割を基準にお客様が満足できる価格でビジネスをしています。その分店舗の賃料をおさえ、店舗の維持売上目標は今までの経験が活きてきてうまく達成できているかと思います。

一人一人のお客さまととことん話をし、納得のいくメガネを選んで買ってもらうので、クレーム率がすごく低い。ゼロに近いと思いますが、クレーム対応などに時間を取られないというのもポイントですね。

2:創業のプロセス・苦労したこと
自己資金ゼロ。毎月の経費2万円までという制限を課してスタート。1人月商100万円を超えたタイミングで法人化へ。

開業したのは2010年5月。個人事業主としてスタートしました。最初は訪問販売型にして、自宅のリビングをサロンにしました。なので、開業費用はほぼゼロですね。結婚していて夫の収入がありましたので、生活に困るということはなかったのですが、家計からあまりたくさんのお金は出せません。運営経費として使えるお金は月2万円までという制限を課してスタートしました。

メガネプランナーという仕事自体が世の中にはないものですから、最初は集客に苦労しました。母の紹介で実家の近所の方が、お客さま第一号でしたね。その後、ブログで紹介しているうちに口コミで少しずつお客さまが増えていきました。

新規顧客を呼び込むしっかりとした仕組みがないと、経営が継続できないですよね。どうすればよいか試行錯誤しながら、集客には半年くらい悩みました。でも、たまたま、とある「第一印象」関連のセミナーで眼鏡の話をしたのですね。そしたら、セミナーに参加してくれた方々が、徐々にうちを訪ねてくれるようになったのです。

結果として、セミナーやイベントなどで話をして集客するのが効率的とわかり、今もこれらがメインの集客方法になっています。

また、サービス自体の磨き込み、コンセプトづくりやメソッドの確立にも時間とコストを割きました。特にコンセプトづくりでは、ドリームゲート・アドバイザーでもある鶴泰博さんに、いろいろと指導をしていただきました。3カ月間で10回ほどの指導を受けたと思います。

売り上げを上げるには、客数を増やすか顧客単価を上げるか、どちらかですよね。私の場合は、結果的に顧客単価が3万円から5万円台にアップしました。

目標としていた1人で月100万円の売り上げが達成できるようになった、2012年3月に田町にサロンをオープンし、2013年1月には法人化を果たしました。

3:お金と計画に関する考え方
個人事業主としてスタートした2年半は決算、申告もすべて自分で。日々の会計管理がマストと考えています。

事業計画書はしっかりしたものはつくっていませんが、もともと税理士事務所で働いていましたので、お金の計算は得意。収支計画はしっかりと立てて開業しました。運転資金は1年分くらい用意していましたね。そのくらいないと不安というか、継続できないことはわかっていましたから。

個人事業主時代は、帳簿付けから決算、申告まですべて自分で行っていました。決算などを専門家に依頼するとそれなりにお金がかかるので、売り上げの目途が立たないうちは、出ていくお金を極力減らす意味でも、自分でやったほうがよいと思います。税務署はとても丁寧に教えて下さいます。

2013年1月に法人化したのですが、会計業務に割く時間を有効活用するため、そのタイミングで税理士の方に一任するようになりました。税理士業界のことはよく知っていますから、かなりお安くやってもらっています(笑)。経費を節約するコスト意識を持つことは大事ですね。

ただ、やはり日々の数字は自分で管理していたほうがよいでしょう。私の場合、経費については固定費の比率が大きく、変動費率が小さいので、注目しているのは日々の売り上げ、顧客単価などです。特に売り上げの細かな変動や変化に気づいて、すぐ打ち手を打てるかどうかが大事だと思います。今後は、スタッフが自分で帳簿付けできるよう教育し、日々の売り上げをすぐ集計・把握できる体制にしたいと考えています。

4:これから開業する方へ

私は昔から独立志向が強く、大学卒業後、税理士を目指して税理士事務所に入所しました。でも、仕事が終わってから夜に専門学校に通って税理士資格取得の勉強する日々に疑問を感じてしまったのですね。もっと人生を楽しみたいなぁと。

それでファンナンシャルプランナーの資格をとったところで区切りをつけ、夫の実家が眼鏡店ということもあり、眼鏡の仕事を紹介されました。そこで初めてメガネ業界に触れたのです。接客業って店頭に立つ販売員が何よりも大事と思っていたのですが、メガネ業界は違います。検眼、加工といった技術が必要とされる、男社会ということもわかりました。

そして、2010年の出産を機に退職し、開業を目指しました。眼鏡店に限らず、小売業全般がそうだと思いますが、土日などが特に忙しい業態は子育てと両立しながら仕事をするのが難しいです。自分のペースで働いて収入を得たいという考え、独立する道を選びました。

例えば、フランチャイズ化してビジネスを大きくしていくようなことは考えていません。どちらかというと現場が好きですし、お客さまの声が直接聞ける今のスタイルにこだわりたいです。

これからも、楽しみながら自由に仕事をしていきたいですね。20年、30年と長くお客さまから愛され、継続し続ける会社にすることが目標です。