コロナ禍でも新創業融資は受けられる?融資への影響と利用における注意点

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2023/01/11  最終更新日: 2023/01/13

最近ではコロナ社会も定着しつつあり、一部の業種では売上や客足が回復しつつあります。このような状況をとらえ、「これから開業したいけれど、創業融資にコロナの影響はないの?」といった不安を抱えている方もいるでしょう。

この記事では、コロナ禍における日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用・申込みする際のポイント、希望額通りの創業融資を獲得するための注意点について解説します。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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新創業融資の申込みや審査にもコロナの影響はあるのか?

現在、日本政策金融公庫においては、創業者の利用しやすい融資として次の2つがあります。

〇 新創業融資制度

〇 新型コロナウイルス感染症特別貸付(コロナ融資)の創業者枠

前者は通常の創業者が利用できる一般的な融資枠であるのに対して、後者はコロナに対応した特別融資の中で創業者が利用できる枠となります。

新創業融資制度については、コロナによる特別な影響はありません。そのため、コロナだから借りにくいとか、金額や条件が制限されるといったことはなく、これまで通りに利用することができます。

つい最近まで、日本政策金融公庫では、コロナ融資の申込みが非常に多かったこともあり、その影響で他の融資の審査にも時間がかかるといった影響が出ていました。現在ではコロナ融資の申込みがだいぶ少なくなったこともあり、ほぼ通常通りの審査やスケジュールで進められています。

しかし、コロナ禍・withコロナの生活は今後も続く可能性があるため、コロナの影響を受けやすいビジネスを予定している方は、この点をプランの中で考慮しておく必要があります。

なお、いわゆる「ゼロゼロ融資」(実質無利子化)は令和4年9月末に受付終了しています。

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日本政策金融公庫の新創業融資制度の要件と特徴

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方が、無担保・無保証人で利用できる融資制度です。

実績のない創業者が利用できるだけなく、融資上限額が大きい、金利が低い、返済期間が長いといった特徴があります。

新創業融資制度の概要は、以下の通りとなります。

利用できる方 次のすべての要件に該当する方
・対象者の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
・自己資金の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
(※) 一定の要件を満たす場合には、自己資金要件が不要となります。
資金使途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
返済期間 各融資制度に定めるご返済期間以内
利率 基準金利(2.28~3.25%  ※2022.12時点)
担保・保証 原則不要

参照:新創業融資制度|日本政策金融公庫(jfc.go.jp)

(※)現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方や産業競争力強化法に定める特定創業支援等事業を受けて事業を始める方などが該当します。

新創業融資制度は、無担保無保証人の融資制度のため、原則的に代表者個人に責任が及ぶことはありません。法人で利用する場合にも、代表者が連帯保証人になる必要はありません。そのため、今後、法人と個人のどちらで創業するかを検討されている方においては、この点も判断材料の一つとなるといえます。

参考記事

「創業融資」制度とは?日本政策金融公庫の新創業融資制度について徹底解説。

コロナ禍で新創業融資を利用する際の5つの注意点

コロナ禍において、新創業融資制度を利用して十分な額の融資を獲得するには、申請前に準備すべきことや注意点があります。

新創業融資制度の申請前に必ず確認しておきたい5つのポイントと対策について詳しく見ていきます。

1.自己資金は通帳の履歴を見て確認される

新創業融資制度では、開業前または事業開始後税務申告を1期終えていない方については「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」が必要です。

この自己資金の確認方法は、どのように自己資金を貯めたかにより異なりますが、通常は自己資金の入った通帳の現物をチェックすることで行われます。

自己資金として認められるものは、それまでにコツコツと貯めたお金、親などから贈与された資金、退職金、相続により取得した資金などです。親からの資金援助を受けている場合には、親の通帳も確認されることがあります。関係のない人間からの多額の入金や入金の経緯の説明できない資金、タンス預金などは自己資金とは認められません

自己資金の中で最も評価されやすいのは、給与をコツコツと貯めたお金です。このようなお金は、貯めた経緯が通帳の記載で明らかとなるだけでなく、計画的に貯めてきたことがわかるからです。給与の支払いが振り込みではなく現金の場合には、「給与明細も提出する」、「もらった給与を一度、通帳に入金する」などすると、より貯めた経緯がわかりやすくなります。

融資申込前に事業のために使ってしまった資金については、これも自己資金と認めてもらえるものもありますます。たとえば、店舗物件を借りるための資金や設備の購入資金などです。

ただし、何に使ったのかを確認されるので、使った資金経費や仕入代などの明細や領収書を保管して取っておくようにしてください。

新創業融資制度の要件では、自己資金の額は「創業資金総額の10分の1以上」とされていますが、実際には1/10では獲得できる融資額が少なくなってしまう可能性が高くなるため、希望する融資額の1/3以上は用意することをおすすめします。

参考記事
自己資金なしで創業融資を受ける5つの方法と注意点

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2.説得力のある創業計画書に重要な3つのポイント

創業融資の申込みにおいては、創業計画書の作成・提出が必須となりますが、計画について最も重視されるのが、「①実現可能性」「②妥当性」そしてそれらの「③根拠」です。

①実現可能性とは、「そのビジネスプランを実際の事業として行うことができるのか?」ということです。これがあやふやでは、プランそのものが絵に描いた餅となってしまいます。

そのため事業計画書では、「どこから仕入れるのか?」、「誰に何を販売するのか?」、「どこから仕入れるのか?」、「どういう方法で行うのか?」、「いくらの資金が必要となるのか?」といった、ビジネスとして成立するためのサイクルができていることを説明できるようにしましょう。

一方、②妥当性とは、「ビジネスプランが、妥当な内容なのか?」ということを意味します。「通常では、受け入れられないビジネスモデル」や「一方的に自分に都合のよいプラン(はじめの月から過大な数百万円の売上げを見込めるようなプラン等)」は妥当性のあるものとはいえません。売上や経費はその一つずつに根拠を示すようにする必要があります。

③根拠を示すためには、しっかりとしたリサーチが重要です。近隣の同業他社を調べたり、類似サービスの単価やターゲットを調べたりして、現実的な計画を練り上げていきましょう。

コロナの影響が残る現時点では、今後の計画におけるリスクや売上げが下振れる可能性も考慮しておくべきでしょう。可能であれば、目標とする売上の計画だけでなく、感染拡大経営環境の変化等により売上が下振れた場合の計画の2パターンを用意しておくと評価が高まります。

なお、ドリームゲートでは、代表的な12業種について、質問に答えるだけで簡単にブラウザ操作により作成・ダウンロードできる創業計画書を無料で提供しているので、創業計画書の作り方にお困りの方は、ぜひ、ご利用ください。

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3.新規事業の業界経験が重視される

新創業融資制度の審査では、業界経験(これから行う事業についての実務経験)がとくに重視されます。

以前の新創業融資制度では、7年以上の業界経験が要件の一つでしたが、現在は具体的な年数要件はなくなっています。ただし、経験期間がない、もしくは1年未満の場合には、審査はかなり厳しくなるので、3年以上の経験年数があった方が確実です。

経験が少ない場合は「1年以上は経験を積んでから申し込む」、「これまでの経験からビジネスに生かせるスキルやノウハウをアピールする直接の業界経験以外フランチャイズに加盟する」、「実務経験のある方をパートナーとする」などを視野に入れた計画をおすすめします。

4.家賃・公共料金・ローン、税金の未払いや滞納はNG

新創業融資制度の審査では、家賃・公共料金・各種のローンについての延滞や未納がないかをチェックされます。もし、これらがある場合には融資がNGとなる可能性が高くなるので注意しましょう。

通常、この支払いに関するチェックは、過去6ヶ月程度の通帳の履歴や支払いの資料を見て行われるため、この期間内に支払の遅れ等がないことが重要です。

なお、車のローンや住宅ローン、固定資産税(持ち家の方)、携帯電話の分割支払いなどについても確認がされるので、該当する方は事前に対策するようにしましょう。

5.感染症やその他のリスクについても対応を考える

創業するにあたり、外部環境の影響や今後のリスクについても、しっかりと考えているかも評価の対象となります。とくに、社会全体がコロナの影響を受けてからは、感染症対策や休業要請となった場合の対応などを考えておくことが大切です。

大きな影響を受ける可能性のある飲食店などであれば、「キャパシティの5割を上限としてレイアウトを変更し、換気機能を上げる」「テイクアウトや宅配事業に転換できる準備をしておく」「タブレットオーダーやQR決済などを活用して従業員を少なめに配置し、非接触かつコストを抑える」などの対策をイメージしておくようにしましょう。

自社の状況を整理・確認するには「SWOT分析」が効果的です。

SWOT分析を行うと「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」のそれぞれの項目について、現状の分析ができます。ここで得られた結果を事業計画書に生かすことで、さらに深みのあるプランになるでしょう。

たとえば、今後もコロナが蔓延したときの対応は「脅威」に、自社が対応できていない部分は「弱み」に分類できますが、あらかじめこのような分析をし、それらへの対策を計画に入れておけば、将来的なリスクに対応できていることをアピールできます。

参考記事
今さら聞けない、SWOT分析とは?やり方とコツを解説【図解・例あり】

コロナ禍で希望額の創業融資を受けるためには

新創業融資制度は、事業経験のない方でも、無担保無保証、低金利、長期返済という有利な条件で最大3,000万円まで借入れできる制度です。

融資制度を利用して希望額を獲得するには、しっかりとした事業ビジョンを持つことや説得力のある創業計画書の作成が欠かせません。

事業イメージを具体的な計画にするのが難しいという場合には「事業計画作成サポートツール」の利用をおすすめします。指示通りに入力していくだけで健全な計画になっているかどうか判断してくれるだけでなく、エクセルや創業計画書の様式でダウンロードすることも可能です。

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