不動産ビジネスに必要な事業計画書とは?ほかと差がつく作成方法も解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2024/02/26 

不動産ビジネスでは、比較的大きな資金が必要となることが多いため、融資のための事業計画書作成は欠かせません。

事業計画書は、事業内容をアピールするためのツールです。内容を充実させることで、資金調達や事業の目標達成に近づくことができます。

本記事では、不動産ビジネスにおける事業計画書について解説しています。ほかの業種と比較すると少し特殊なところがあるため、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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目次

不動産ビジネスにおける事業計画書の役割とは

不動産ビジネスにおける事業計画書は、事業の成功を目指すために必要です。計画書の活用目的は事業主によりさまざまですが、一般的には次のようになります。

事業計画書をつくる目的は2つ

事業計画書の作成目的は、以下の2つが代表例となります。

  • 事業の方向性を明確化するため
  • 資金調達のため

事業計画書は、これから事業を進めていくうえで方向性がブレないように明確化する役割があります。また、創業融資をはじめ具体的に借入れを検討している場合には、事業の内容と返済能力があることをアピールするツールにもなります。

事業計画書は欠かせないツール

事業計画書を提出することなく、融資を受け付ける金融機関は基本的に存在しません。事業計画書は事業の目的や、ビジネスの将来像、融資を受けることで、じっさいにどのような事業をおこなうのかなど、経営者の考えを代弁するツールです。具体的な数値目標も作成するため、金融機関にとっては返済能力の有無の判定に役立ちます。

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個人事業主の事業計画書作成は2月が推奨される

個人事業主の場合、事業計画書の作成は確定申告で数字が固まっている2月におこなうことが推奨されます。

実際に1年間でかかった経費をもとにすることで、具体的な数値が予測できるため目標が立てやすくなります。粗利益率も予測しやすくなるでしょう。

参考:個人事業主が事業計画書を作成すべき理由は?書き方や記入例などを解説!

不動産業界における事業計画書の特殊性

不動産業界における事業計画書は、小売業や製造業と異なった特殊性があります。物件の取得や開発、管理、販売(もしくは賃貸収入)が含まれるためです。

どのような内容であっても、それぞれにリスクはつきものです。具体的なリスクには、不動産の変動性の高さや、管理リスクなどがあげられます。これらのリスクも、事業計画書の数値に表す必要があります。また、リスク回避のための具体策も必要です。

ドリームゲートの調査によると不動産業の平均年間売上高は約1600万円、平均営業利益は375万円となっています。理想的な原価は30%程度(他社の管理する物件を取り扱う際に発生する手数料や情報料、物件管理費等)、あとは人件費をどこまで抑えられるかで利益率は変わってきます。

これらを事業計画書に落とし込むことが重要です。

不動産業界の事業計画書作成に必要な8項目

不動産業界の事業計画書作成に欠かせない項目があります。それが以下の8項目です。

  1. 創業者の経歴およびキャリア
  2. 事業概要および創業動機
  3. 事業内容
  4. 競合優位性
  5. 市場の動向(市場分析)
  6. 経営戦略
  7. 想定されるリスクと解決策
  8. 資金計画

上記8項目は、融資を受ける際に必要となる日本政策金融公庫の事業計画書を基にしたものです。

1. 創業者の経歴およびキャリア

事業実績がない創業期には、代表者の経歴が重視されます。作成の際には、「なぜその事業をはじめようと思ったのか」という熱意も記載しましょう。また、事業に関連する経験がある場合は、その内容についても記載します。

参考:日本政策金融公庫の創業計画書【経営者の略歴等】の書き方と記入例

2. 事業概要および創業動機

将来どのような事業にしたいのか、といった将来像をはじめ、予定する事業の概要を説明します。事業をはじめることで達成できる目標など、事業主の考えを記載しましょう。事業の方向性がより明確になり、どのようなニーズにこたえるための事業なのか判断しやすくなります。

参考:公庫の創業計画書【創業の動機】欄の良い例・悪い例

3.事業内容

これからはじめようとするビジネスの根幹です。事業内容を掘り下げるために役立つ「6W2H」の考え方があります。この6W2Hが示す内容は、以下の表のとおりです。

要素 根拠
Why(なぜこの事業をおこなうのか) 成功している事業の特徴に、多くの方から歓迎される事業であるという傾向がある。
What(具体的に提供しようとしているものは何) 提供しようとしているサービスが、顧客に受け入れられやすいものか検討する。
Where / Whom(想定している市場はどこ) 想定する市場は、絞り込む必要がある。市場だけではなく、想定顧客にまで絞り込む方がよい。
How to(どのような特徴があり、どのようなノウハウを使うのか) どのように、自社の特徴をアピールするかを考える。
When(タイミングはいつなのか) 「人」と「金」を投入するタイミングを見極める。時間軸を設定することで、より具体的な事業計画が作成可能となる。
Who(この事業を誰がおこなうのか) 業務フローを考え、人材配置を検討する。
How much(資金や売上と利益目標はどれくらいを考えているのか) 目標から逆算して、どれくらいの資金が必要か予測を立てる。売上見込みを考慮して、資金調達を検討する。

表の内容を上から順に考えていくことで、誰にでも理解しやすい事業計画書が作成できます。

4. 競合優位性

「自社の強み(特徴)はどこにあるのか」を考えましょう。競合他社と比較した場合に、自社に強みがあれば、事業において優位に働きます。競合他社との競争においても、強みがあれば十分優位に立つことが可能です。そのためにも「強みは何なのか」を認識しておきましょう。

5. 市場の動向(市場分析)

今から参入しようとしている市場が、どのような環境にあるのか知っておく必要があります。たとえば、業界自体が縮小傾向にある場合、なぜその市場へ乗り出す必要があるのか説明できなければなりません。そのためには、市場の動向を分析しておく必要があります。

6. 経営戦略

事業の方向性を示したものが経営戦略です。自社の強みを活かして利益を上げるために、具体的に何をおこなうべきか検討します。将来的に事業を拡大するための「攻め方」を決めます。事業をおこなううえで、必ずしも戦略どおりに進める必要はありませんが、経営理念に沿った事業運営をするための指針になるため、意識しておくとよいでしょう。

7. 想定されるリスクと解決策

融資を受けるとき、金融機関は計画どおりに事業が進まなかった場合の対処方法を尋ねてくるでしょう。そのため、どのようなリスクが想定されるか、またそのリスクが発生した場合にどのように解決するのかを予測しておかなければなりません。これができなければ、金融機関側は「お金を貸しても回収できない」と判断し、融資が受けられなくなります。

8. 資金計画

いつ、どの程度のお金が必要になるかを想定し、必要な資金がまかなえるかを予測します。資金計画を立てることで、もっともお金が必要になるタイミングがわかり、その時点にむけて資金調達計画を立てることができます。

事業計画書の財務計画に必要な見通し作成における6つのポイント

事業計画書における財務計画の作成には、必要な見通しがあります。具体的には、以下の6つです。

  1. 売上の見通し
  2. 売上原価の見通し
  3. 固定費の見通し
  4. 変動費の見通し
  5. 修繕費と減価償却の見通し
  6. ローンの返済と資金調達の見通し

これらのポイントをおさえて作成することで、資金調達の実現可能性も高まります。

1. 売上の見通し

不動産取引や賃貸物件からの予想収入を見積もります。売却予定の物件があればそれも反映させることで、どの程度の売上が可能で、どの程度のお金が入ってくるのかの見通しが立てられるでしょう。売上の見通しは、後述する見通しの原点になるため根拠を持って予測できれば、より精度の高い財務計画が立てられます。

2. 売上原価の見通し

売上の見通しを立てたら、それを実現するために必要な原価を計算しましょう。不動産賃貸業であれば、賃貸物件の調達があてはまります。賃貸物件として所有し続けるのか、売却も視野に入れるのかで必要な資金が異なります。

3. 固定費の見通し

事業を営むうえで、固定費がどの程度発生しているのか確認しておく必要があります。固定費とは、売上に関係なく常に一定の期間ごとに発生する経費です。主に以下の経費が固定費にあてはまります。

  • 水道光熱費
  • 地代家賃
  • 固定資産税
  • 減価償却費
  • 損害保険料
  • 通信費
  • 人件費  など

これらの経費は、売上の有無にかかわらず必ず発生するものであり、金額が決まっていたり予測しやすかったりするのが特徴です。売上の有無にかかわらず発生するため、継続的に経営をおこなっていく場合は、固定費の見直しが利益の増加につながります。

4. 変動費の見通し

変動費とは、売上の増減に比例する仕入や経費があてはまります。固定費とは異なり、売上が無ければ発生しません。

売上から売上原価を引いた残りの金額が粗利益であり、この時点でどれくらいの利益が残っているかによって、経常利益が変わってきます。

5. 修繕費と減価償却の見通し

修繕費と減価償却費は、不動産に関する事業において無視することができない経費です。建物は経年劣化が発生するため、毎年一定額を経費として計上しなければなりません。また、不動産賃貸業の場合は、設備の修繕費も発生するため所有している資産に応じて見積もっておく必要があります。

参考:No.3261建物の取得費の計算|国税庁

6. ローンの返済と資金調達の見通し

事業をおこなううえで資金調達は重要です。不動産ビジネスの場合、賃貸物件を購入するために借入れが発生するケースも想定しておかなければなりません。新規物件を購入する予定から、その物件を購入するための資金を予測し借入れ計画を立てます。また、返済計画も同時に立てておくことで、じっさいのお金の流れも予測できます。

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不動産ビジネスにおける事業計画書の具体例

事業計画書の作成ポイントは、以下の3つがあります。

  • 開業資金と1年目の売上予測
  • 開業資金と開業費用
  • 開業後の営業見通し

開業資金の場合は、自己資金と借入、そのほかの資金を把握します。あわせて、1年間の売上予測を立てておきましょう。たとえば、1か月あたり8万円の家賃収入がある場合、1年間で96万円の賃貸収入があることになります。

また、開業資金も具体的に見積もる必要があります。もし、事務所を構えるのであれば契約費用や保証金が必要です。備品を導入しなければならないケースもあるため、これらを考慮して計画書を作成します。日本政策金融公庫の事業計画書の雛形を以下に示すので、参考にしてください。

参考:日本政策金融公庫 創業計画書

事業計画書作成における代表的な5つの質問

不動産ビジネスにおいて事業計画書を作成する際の質問として、よくあるものを5つ紹介します。

Q1. 金融機関からの資金調達には事業計画書が必要だと言われました。どのように作成すればよいでしょうか?

「なぜお金がいるのか」という目的と、じっさいにお金を借りたあとの「返済計画」を説明する必要があります。事業計画書を作成して、金融機関に事業の目的や内容を説明することで、融資を可能にします。事業計画書を自分で作成することが難しい場合には、ツールを使用したり、専門家に相談したりすることも有効です。

Q2. 事業計画書と創業計画書の違いは何でしょうか?

創業計画書は、今から事業をはじめようという方が資金計画をはじめ、事業の内容を整理する目的で作成します。一方、事業計画書は、事業内容や収益モデルをまとめたもので、事業開始後の融資を目的として作成することが一般的です。

Q3. 事業計画書を作成したことがない人でもかんたんに作成できる方法はありますか?

最近では、エクセルに必要事項を入力するだけで完成する事業計画書がダウンロードできます。また、ドリームゲートが提供する「事業計画書作成ツール」を利用すれば、自分で数値予想が難しい場合でもかんたんに作成可能です。

Q4. 事業計画書作成に役立つ会計ソフトはありますか?

多くの会計ソフトが、事業計画書作成に役立つ機能を備えています。なかでも弥生会計オンラインは、経理業務だけではなく数値管理も可能なため、はじめての方でも使いやすいサービスです。

Q5. 事業計画書の書き方について相談できるところはありますか?

商工会議所やコンサルタントなどが代表的な相談先となります。どちらも、専門的な知識を持っているため、相談を検討してください。また、税理士や会計士などが相談を受けている場合もあります。

事業計画書作成は将来の方向性確認と融資のために必要

不動産ビジネスにおける事業計画書作成は、将来どのようになりたいかという目標を明確にするだけではなく、金融機関から融資を受けるためにも必要です。売上目標や変動費、固定費の見積もり方など、具体的なポイントを押さえておくことで効率的に作成できます。

また、創業融資など金融機関からの借入れを検討している場合には、返済能力があることをアピールしなければなりません。そのためにも、6W2Hを活用し事業内容の深掘りをおこないましょう。

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上野 光夫(うえの みつお)
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