起業時の事業計画書作成の注意点やポイントなどをわかりやすく解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2023/09/28  最終更新日: 2024/04/22

起業を考えている方にとって、事業計画書の作成は非常に重要なステップです。事業計画書は、経営のビジョンや目標、具体的なアクションプランをまとめた書類であり、また資金調達の上でも起業の成功に欠かせません。しかし、事業計画書は、初めて作成する方にとっては非常に難しく、「どうしたらよいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで当記事では、起業時の事業計画書作成における注意点や、ポイントなどをわかりやすく解説します。さらに、事業計画書に必要な8項目や作成例、作成するメリットなどについても取り上げます。起業の第一歩といえる事業計画書の作成について、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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起業時の事業計画書とは

追加融資や事業転換時に必要な事業計画書とは異なり、起業時にはまだ実績がない状況で事業計画を立てなければなりません。この点が起業者にとって、事業計画書作成の大きなハードルとなることも多くなっています。

起業時の事業計画書では、事業の将来像やビジョン、市場の需要や競合、戦略などを詳細に記載する必要があります。これにより、金融機関や投資家は、起業者のビジネスのイメージや成長性を把握し、融資や投資の検討材料にできます。

また、起業時の事業計画書には、代表者の経験やスキル、チームメンバーの能力なども記載する必要があります。これにより、事業計画書を見た人は起業者の経営能力やビジネスプランの信頼性や実現性を評価できます。

このように工夫が必要な起業時の事業計画書でも、ドリームゲートの「事業計画書作成サポートツール」を使えば、かんたんに作成可能です。かんたんな質問に答えるだけで、12業種の開業データに基づいた事業計画書が作成できます。
また、事業計画書と同時に収支計画書も作成できるので、創業融資の際にも非常に便利です。

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起業時に事業計画書が必要な理由

事業計画書の作成が必要な理由は多岐にわたります。まず、事業計画書はビジョンを具体化し、戦略を整理するために不可欠です。具体的な目標やリスク対策が示されることで、資金調達やチームビルディングにもプラスの影響を与えます。また、事業計画を作りこむことで将来の展望を共有し、持続的な成長への道を確立できます。

事業計画書を作成することで、事業の方向性や目標が明確になり、ビジネスのコンセプトも固まります。自分のアイデアやビジョンを整理し、ほかの人にも伝えやすくなります。

また、事業計画書の作成によって、許認可などの必要な手続きが明確になります。そのことによって、開業までのスケジュールも固まり、計画的に事業を進めることが可能です。事業リスクを把握することにもつながり、潜在リスクや障害を事前に予測することで、対策が可能となります。

さらに、事業計画書は仲間と目標を共有するためのツールでもあります。共通のビジョンや目標を持つ仲間と協力し合いながら事業を進めることができます。売上目標なども共有でき、目標達成に向けた行動計画を立てる場合にも役立つでしょう。

事業計画は、将来のあるべき姿を共有するためのものです。事業の展望や成長戦略を記載することで、将来の方向性を明確にし、ステークホルダーに対しても信頼を築くことができます。また、計画的かつ具体的な事業計画書があれば、融資の審査に通る可能性も高まります。

事業計画書のメリット

事業計画書を作成するメリットは多岐にわたりますが、主なメリットは以下のとおりです。

  • 資金調達がしやすくなる
  • 事業ビジョンが明確になり成功につながる
  • 事業ビジョンが共有できる

1)資金調達がしやすくなる

資金は事業を展開するうえで欠かせない要素です。資金を調達するためには、投資家や金融機関に対して、事業の魅力や将来性をアピールする必要があります。事業計画書は、そのアピールのための重要なツールとなります。

事業計画書を作成することで、事業の方向性やビジョンを明確にできます。具体的な目標や戦略を計画書に落としこむことで、経営者自身も事業の将来像をより明確にイメージすることが可能です。また、投資家や金融機関に対しても、事業の方向性やビジョンを共有しやすくなり、信頼を得ることが可能になります。

2)事業ビジョンが明確になり成功につながる

事業計画書を作成することで、ビジョンや目標が具体化されます。経営者が頭に描いている事業の全体像を明確にし、それを実現するための具体的な方法やプロセスを示すことで、やるべきことが明確になり、成功につながる可能性も高くなります。

じっさいに、事業計画書を作成した経験と、売上高の比較について興味深いデータがあります。中小企業庁の「小規模企業白書2016年版」によれば、事業計画書を作成したことのない事業者より、作成したことのある事業者の方が、売上高が増加傾向にあることが分かっています。

この調査により、事業計画書を作成することにより、自身のビジネスプランに対する意識が高まるだけでなく、 実際の経営にも好影響を与えることが明らかになっています。

参考:中小企業庁の「小規模企業白書2016年版(経営計画の策定状況等について)」

3)事業ビジョンが共有できる

ビジネスを展開するうえで、スタッフや関係者とのコミュニケーションは欠かせません。しかし、ビジョンを口頭で伝えるだけでは、全員が同じ認識を持つことは難しいのが現実です。

事業計画書は、ビジョンを明確にし、具体的な目標や戦略を示す重要なツールです。ビジョンを文章化することで、経営者自身の思考を整理し、会社の目指す方向性を明確にできます。さらに、社内外の関係者と共有することで、全員が同じビジョンを共有し、目標に向かって取り組むことができます。

事業計画書作成のメリットには、共有されたビジョンを実現するための具体的な手段や、プロセスを示すことも挙げられます。計画書には、市場動向や競合分析、販売戦略、人材育成計画など、実現に向けた具体的な戦略が記載されます。これにより、経営者や関係者は目標達成に向けた具体的な行動計画を立てることが可能です。

起業で事業計画書を作成するうえでの2つの注意点

事業計画書を作成するときには、「具体的で根拠のあるデータ」で、「わかりやすく一貫性のある計画」にすることが重要です。

1)具体的かつ根拠のある数値で

事業計画書を作成する際には、具体的かつ根拠のある数値で記載することが重要です。とくにまだ実績がない起業時は、「しっかりと事業が継続できる」ことを数字で示す必要があります。絵空事にならないように、根拠のある数字で資金計画を立てることが重要です。

事業計画書に記載する数値は、信頼性と具体性が必要です。たとえば、売上予測や利益予測は、適切な市場調査や競合分析を基にして算出することが重要です。また、費用予測も適切なデータや見積もりを基に計算し、具体的な数値を示すことが求められます。

また、資金調達のために金融機関や投資家を説得する際には、根拠のある数字が不可欠です。具体的な数値を示すことで、リスクを最小限に抑え、返済能力を示すことができます。信頼性のある資金計画を示すことで、資金調達の成功率を高めることができます。

2)具体的でわかりやすく一貫性のある内容で

事業計画書は、事業のビジョンや目標、戦略、資金調達の計画、収益見込みなどを明確に示すための重要な書類です。

事業計画書では、抽象的な表現や曖昧な言葉を避け、具体的な数字や行動計画を記載することが重要です。たとえば、起業時にはまだ売上がない状態なので売上目標を「成長を目指す」などと書いてしまいがちですが、実現可能な数値で目標を設定しましょう。

また、わかりやすさも大切です。事業計画書は経営者だけでなく、従業員や取引先など、関係者にも共有するための文書です。そのため、専門的な用語や専門知識を極力避け、分かりやすい言葉で説明するように心がけましょう。図表やグラフを活用することも効果的です。

さらに、一貫性も重要です。事業計画書は、事業の全体像を示すためのものなので、各項目やセクションが一貫した内容で記載されていることが求められます。たとえば、ビジョンや目標と具体的な行動計画に整合性があるか、資金調達の計画と収益見込みが矛盾していないかなど、一貫性を確認しながら書き進めましょう。

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起業が成功する事業計画書作成時のポイント

事業計画書を作成するときのポイントは、「図表を使ってわかりやすくすること」や「競合との比較をアピールすること」になります。事業計画書は、経営者の考えていることを「見える化」して、第三者に伝えるためのツールです。どうすれば、効率的に正しく伝わるかを考えながら作成しましょう。

1)図表を使ってわかりやすくする

事業計画書を作成する際に重要なポイントのひとつは、図表を使ってわかりやすくすることです。図表は、複雑な数字やデータを視覚的に表現するために役立ちます。読み手が一目で理解できるようにするため、図表の選択や配置にも注意が必要です。

事業計画書には収支計画や予測データなど、数値情報が含まれます。これらの情報を表にすることで、数字の変化やトレンドをかんたんに把握できます。収支計画を表やグラフで示すことで、収入と支出のバランスや利益の推移が一目でわかり効果的です。また、図表は文章だけでは伝えにくい情報を補完する役割も果たします。

たとえば、市場調査の結果や競合他社の分析結果は、図表を使って視覚的に示すことで、読み手に分かりやすく伝わります。さらに、事業の成長戦略やマーケティングプランなども、図表を使って具体的に表現すれば、読み手にとって、イメージしやすくなります。

2)競合との比較をアピールする

競合分析をおこない、これから立ち上げる自社の商品やサービスがどのように他社と差別化されているのか、独自の強みや競争上の優位性を明確に示す必要があります。

競合との比較をアピールすることによって、販売ターゲットがより明確になります。同業種だけでなく、ターゲットが近い異業種も意識して差別化することが重要です。競合がどのような商品やサービスを提供しているのか、価格や品質面での差異は何か、どのようなマーケティング戦略を展開しているのかなど、情報を収集し比較分析することが必要です。

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事業計画書に必要な項目

事業計画書の作成に必要な項目は、基本的なベースが決まっています。事業計画書から外せない8つの項目は、以下のようになります。

事業プラン名 簡潔かつ魅力的で、これだけでも何を計画しているか伝わるように。副題をつけてもいい。
事業内容 どんな市場・ターゲットに対して、どんな商品・サービスを提供するのかを可能な限り端的に説明する。
市場環境 市場規模や成長性、競合相手の評価などを各種統計データを活用して分析する。表やグラフが有効。
競合優位性 同業種・同業態だけでなく同ターゲットの異業種競合をも意識し、優位性や差別化を訴求する。
市場アクセス 計画している事業を、どう市場に認知させるか、どう販売網を築くかなど、事業の実現プロセスを伝える。
経営プラン 仕入れ計画、開発・生産計画、人員・組織計画など、事業を継続的に運営するためのシステムを紹介する。
リスクと解決策 想定されるリスクや問題点を抽出し、危険度を分析すると共に、対処方法や解決策を先行的に提示する。
資金計画 詳細な収支予測に加えて資金繰り計画も立案。また、資金調達案や返済・配当計画も提示しておく。

参考:ドリームゲート「事業計画書に外せない8つの項目」

事業計画書の作成例

日本政策金融公庫では様々な業種の創業計画書の作成例を見られます。介護サービスの作成例は、以下のようになります。

創業計画書_介護サービス

その他、様々な作成例を見たいときは次の記事も参考にしてください。

事業計画書の実例が無料で見れる!実例から事業計画書の書き方を習得しよう

起業時の事業計画書によくある質問

質問1)新規事業の価格設定はどのように決めればよいでしょうか?

回答1)

価格設定において、考慮すべき要素はいくつかあります。まずは、製品やサービスのコストを正確に把握することです。原材料や人件費、広告宣伝費など、事業にかかるすべての費用を計算しましょう。これにより、最低限必要な販売価格を算出できます。

次に、市場の需要と競合他社の価格を調査しましょう。類似の製品やサービスを提供する他社の価格を把握することで、自社の価格設定の目安となります。また、市場の需要に応じて、価格を設定することも重要です。需要が高い場合は、価格も高めに設定できますが、需要が低い場合は価格を見直す必要があるかもしれません。

さらに、付加価値や独自性を考慮しましょう。製品やサービスに独自の特徴や付加価値がある場合、それに見合った価格を設定できます。顧客は独自性や品質に対して高い価値を見出すことがあるため、それを反映させた価格設定をおこないましょう。

質問2)美容院を新規開業する際、どのようなことを参考にするとよいのでしょうか?

回答2)

まず、事業計画書の作成にあたっては、ほかの美容院の事例を参考にするとよいでしょう。成功している美容院の経営方法や営業戦略を調査し、自分の店に取り入れるべきポイントを見つけましょう。また、同業種の事業計画書を参考にすることで、具体的な内容や書き方についても学ぶことができます。

次に、市場調査をおこなうことも重要です。美容業界の現状やトレンド、顧客のニーズなどを把握し、自分の美容院がどのような需要に応えることができるのかを明確にしましょう。競合他社や類似業態の店舗との差別化ポイントも考慮し、独自の強みを持つことが求められます。

また、財務計画も事業計画書の重要な要素です。収支予測や投資計画、資金調達の方法などを具体的に記載し、将来の成長を見据えた財務状況を示しましょう。これにより、資金調達の際にも信頼性を高めることができます。

参考)美容室の事業計画書サンプルから見る、作り方のすべて

質問3)起業に向けて、どのように事業を計画すればいいのかわかりません

回答3)

まず、事業計画書を作成する際には、自分のビジネスの目的や目標を明確にすることが重要です。自分の起業の動機やビジョンを考え、それを事業計画書に反映させましょう。また、事業の規模や範囲、市場のニーズや競合状況なども調査し、具体的な計画を立てることが必要です。

次に、事業計画書には資金計画も含めることが重要です。起業には資金が必要ですので、どのように資金を調達するのか、どれくらいの予算が必要なのかを明確にしておきましょう。また、資金の使い道や返済計画も詳細に記載しましょう。

さらに、事業計画書ではマーケティング戦略も重要な要素です。自分の商品やサービスをどのように市場にアピールし、どのような販売戦略を取るのかを明確にしておきましょう。競合他社の分析や価格戦略も考慮し、自社の強みを活かした戦略を立てることが大切です。

事業計画書は一度作成したら終わりではありません。ビジネス環境や市場の変化に合わせて、柔軟に計画を修正することも必要です。定期的に事業計画書を見直し、適切な改善策を考えましょう。

まずはツールでかんたんに作成してみよう

事業計画書は、まずはツールを使って作成してみましょう。

ドリームゲートの「事業計画書作成サポートツール」を使えば、かんたんに作成可能です。かんたんな質問に答えるだけで、12業種の開業データに基づいた事業計画書が作成できます。

また、事業計画書と同時に収支計画書も作成できるので、創業融資の際にも非常に便利です。作成した事業計画書は、Excelファイルでダウンロードできるので、修正もかんたんなので、ぜひ一度試してみてください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
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