美容室の事業計画書サンプルから見る、作り方のすべて

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2022/06/20 

「自分のお店をもって独立したい」
「美容室を開業したい」

と考えている美容師の方は多くいるでしょう。

しかし厚生労働省が公表しているデータによると全国の美容室は約25万軒という圧倒的な店舗数で、競争率がとても高い状態です。

競争を勝ち抜くためには技術をもっていることはもちろんのこと、開業前の計画が重要です。

この記事では美容室の事業計画書の書き方について、サンプルをつかって紹介します。


この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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競争率の高い美容室経営、生き残るには事業計画が要

「令和元年度衛生行政報告例の概況-生活衛生関係」によれば、美容所の数は25万軒、理容所の12万軒と合わせると37万軒に上ります。

2022年4月時点のコンビニ店舗数は5.5万軒ですので、美容室の数はコンビニの約4倍にのぼります。

矢野経済研究所の調査によると、2016年から2020年にかけて理美容の市場規模は減少傾向にあり、この傾向は少子高齢化と出生率の低下によって今後も続くと予想されています。したがって、理美容業界では縮小する市場を多くの競合と奪いあう構図となります。

正しい戦略を立てて、事業計画をつくらなければ美容室は廃業に追い込まれる可能性があるといえます。

資金調達だけでない、事業計画書をつくる3つのメリット

事業計画書というと銀行などの金融機関や投資家から資金調達する時に必要になるのはもちろんなのですが、事業計画書の目的は資金調達だけではありません。

美容室開業に向けて事業計画をつくる3つのメリットについて解説します。

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①必要な「ヒト・カネ・モノ」が明らかになる

美容室はもちろん、新しく事業を始めるために必要なものは「ヒト・カネ・モノ」です。「ヒト」とは従業員、「カネ」とは資金、「モノ」とは店舗や機材、材料などを指します。

事業計画書を作成することで、これらの経営資源がいつ、どのくらい必要になるかを把握するとともにどのように調達するのかが明確になります。

開業前に必要な経営資源が準備できなければ、事業が成り立ちません。これらが明確になれば、開業後に目標となる売上などの予測も立てることもできます。

②「Why」が明確になってコンセプトがブレないようになる

事業を開始する時には、「なぜその事業をやるのか=Why」つまり事業のコンセプトを設定する必要があります。

新しい事業を開始するときには、当初は予想していないさまざまな課題が生じます。しかし、事業のコンセプトが決まっていれば、決断や考えにブレがなく、優先順位を意識しながら、資金や人的資源を集中させ、一貫した事業展開が可能になります。

③収支が見えて安全経営ができる

事業を継続的に運営していくためには財務管理が不可欠です。たとえ売上があがっていても家賃や人件費など経費がかさんで資金不足におちいるケースもあります。

事業計画をつくるときには収支計画(財務計画)を立案することになります。収支計画では、売上の予想値から経費の予想値を差し引いて、予想される利益を算出します。また、借入を予定しているなら、返済元金や利息の支出も計画します。

事業開始後に計画値と実績値を照合することで、当初計画していた黒字経営から大きく外れることなく安定した経営が可能になります。

サンプルから見る、事業計画書の作り方

競争の激しい美容室業界で勝ち抜くために事業計画書が重要な役割を果たすことを解説しました。

実際に事業計画書を策定するときにはサンプルを参考にすることが近道です。事業計画書のサンプルは創業融資を取り扱う日本政策金融公庫が公開しているので、ぜひ参考にしましょう。

ここからは事業計画書のサンプルや作成方法について解説します。

事業計画書を作成する前に頭の中を整理するフレームワーク「6W2H」

事業計画書を作成する時には6W2Hのフレームワークを活用することで、頭の中のアイデアを具体化することができます。

why

事業を行う理由や目的を指します。

目的を明確にすることで、事業開始後に生じるさまざまな課題に対処する時の精神的支柱となってくれます。

what

提供する商品やサービスの内容です。

美容サービスの内容や店舗で販売する美容商品、これらの商品やサービスが市場でどの程度受け入れられるかを考えます。

where

商品やサービスを提供する市場です。

具体的には美容室を展開する場所や地域を指します。

whom

商品やサービスのターゲットとなる顧客層です。

女性客をターゲットにするのか、年齢層はどのくらいか、社会人や学生などの属性などターゲットのイメージを明確にしましょう。

how to

商品やサービスを顧客にどのように販売するのか、競合他社とどのように差別化を図るのかなどノウハウや技術を指します。

when

経営資源である資金や従業員をどの時期に準備し、投入するのかを考えます。

美容室の開業までにどのくらいの資金や従業員が必要になるのか、美容室の内装はいつ整備するのか、広告を始める時期をいつにするのか、などが含まれます。

who

事業を運営するために必要となる人材を考えます。

美容室を開業するためには美容師が必要になるでしょう。どのような能力やスキルを持った美容師が必要かを検討しましょう。

how much

開業に必要な資金や目標とする売上や利益です。

必要な資金を用意するタイミングや売上を達成する時期などを具体的に記載します。

手元のキャッシュが尽きると倒産のリスクがあるので、特に慎重に検討しましょう。

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美容室開業なら日本政策金融公庫の「新創業融資制度」がおすすめ

新創業融資制度」とはこれから起業する人や起業して間もない人を対象に日本政策金融公庫が無担保・無保証人で貸付をおこなう制度です。

事業の初期段階では、円滑な資金調達が課題となりますが、融資の最大の難関である担保や保証人が不要となっていることが特徴です。

融資までのスピードが早く、最速で1ヶ月程度で融資を受けられることが多いです。民間の金融機関と比べて、日本政策金融公庫は創業者への融資に積極的ですので、新規開業者でも融資を受けやすいと言えます。

美容室の事業計画書のサンプルから見る、必要な8項目

日本政策金融公庫が公開している美容室の事業計画書のサンプルをもとに事業計画書の書き方を解説します。

事業計画書に記載する項目は全部で8項目あるので、それぞれの項目を見ていきましょう。

創業の動機

創業のきっかけや目的を記載します。

読んだ人が「この人なら成功しそうだ」「この人なら応援したい」と思うような内容を記載しましょう。

経営者の略歴等

創業者の学歴、職歴、資格などを記載します。

美容師として勤務した経験や関連する保有資格があると事業の成功について説得力が増します。

取扱商品・サービス

提供する商品やサービスの具体的な内容、競合との差別化を図る強み、顧客層や市場などを具体的に記載します。

美容室は競争が激しいので、自社にしか提供できない価値を説明し、事業の成長見込みがあることを納得してもらえる内容にしましょう。

取引先・取引関係等

販売先や取引先、外注先などを記載します。

事業継続のために不可欠な取引先を記載することで金融機関や投資家に事業への本気度が伝わります。

従業員

雇用する従業員の数や正社員・バイト・パートの内訳などを記載します。

お借入の状況

個人・法人問わず借入金額や用途、毎月の返済額を記載します。車のローンやカードローンなど、漏れなく記載する必要があります。

必要な資金と調達方法

開業や事業運営に必要となる資金と調達方法を記載します。

可能な限り自己資金を用意して、融資を受ける金額は余裕のある返済が可能な金額にしましょう。

事業の見通し(月平均)

事業の見通しとは利益計画を指します。

売上や売上原価、経費となる家賃や利息などを数値で記載します。利益を出すために必要な売上や経費を明確にしましょう。

創業計画書を書くときに参考になる本

日本政策金融公庫に提出する創業計画書を作成するときには「事業計画書は1枚にまとめなさい」(上野 光夫 著)が参考になります。

著者の上野光夫氏は日本政策金融公庫に26年間勤務した経験を持ち、融資課長として創業計画書のイロハを知り尽くしています。その上野氏がもっとも実践的な事業計画書の書き方を教えています。

面談時の服装やコツなども解説されており、創業支援の相談に行く前に一読するだけでも役に立つでしょう。

ブラウザ上での操作で創業計画書をつくってダウンロードできるツール

手っ取り早く創業計画書を作成したい人におすすめなのが「事業計画書作成ツール」です。

質問に答えて数字を記入するだけで事業計画書が完成します。作成された事業計画書は健全経営をしている美容室開業の先輩と比較・判定する機能があります。

事業が成功するかどうか事業計画書を作成してチャレンジしてみましょう。

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美容室の開業に必要な資金と利益の目安

新しく美容院を開業するためにはどのくらいの資金が必要になるのでしょうか。

店舗の規模にもよりますが、J-Net21のデータによると平均して600〜1,500万円ほどの資金が必要となっています。

次に利益の目安について見ていきましょう。

J-Net21の損益イメージでは個人店の場合には売上や経費、利益は以下のようになります。

  • 売上=1,680万円
  • 売上総利益=1,411万円
  • 販管費=1,094万円
  • 営業利益=317万円

販管費は人件費や店舗の家賃、機材のリース費用、材料費などで構成されます。

運転資金の目安

一般的な運転資金の目安は固定費の3ヶ月分です。

固定費とは、店舗の家賃、人件費、光熱費、広告宣伝費など毎月発生する費用を指します。

とくに開業してまもない時期はお客に知れ渡るまで時間がかかるので、余裕をもって6ヶ月分用意してもいいでしょう。

設備資金の目安

開業資金の大部分を占めるのが設備資金です。

内訳は店舗の保証金、前家賃、内装工事、美容器具、材料、その他の機械(電話、洗濯機、レジ、パソコン)などです。

開業資金の「総額ー運転資金」が目安となります。

自己資金の目安

日本政策金融公庫の新創業融資の要件には、「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」と記載されていますが、日本政策金融公庫が実施したアンケートによれば、創業資金総額に占める自己資金の割合は27%、金額ベースでは305万円となっています。

また、ドリームゲートの調査によると理美容業の平均手持ち資金について約430万円とするデータもあります。

つまり自己資金は融資額の1/3程度、金額にすると300~430万円程度というのが目安になります。

美容院が認知されて集客できるまでには時間がかかります。売上が立つまでにはさらに時間がかかり、その間に返済や固定費の支払いが発生することを考えるとゆとりのある自己資金が必要だといえます。

美容室の開業ステップと手続き

開業までのおおまかなステップと手続きは以下のとおりです。

  • 店舗のコンセプト・計画書づくり
  • 資金調達
  • 出店先の決定・内装業者選定
  • サービス構成の検討
  • 技術者募集
  • 設備導入
  • 宣伝広告・プロモーション
  • 美容院開業

開業までのながれ

上記のように事業計画書の策定は最初のステップであることがわかります。

事業計画書を策定し、事業の内容や方向性が明確になってから、金融機関や投資家に資金調達を依頼します。

したがって、事業計画書を策定する段階で必要となる資金の決定や自己資金の準備などを実施している必要があります。

必要な届け出

美容師法及び理容師法では、美容院の開設1週間前に保健所へ開設届を提出し、施設について検査を受けることを規定しています。届出の内容は以下のとおりです。

  • 美容院の位置
  • 構造設備
  • 美容師など従業者の氏名
  • 有資格者証

また、常時2人以上の美容師が勤務する場合には「管理美容師」を設置し、管理美容師には3年以上の業務経験と講習が必要になります。

不安な気持ちがあるなら

美容室の事業計画書の書き方や必要となる資金の目安について解説しましたが、開業に不安を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、起業に不安はつきものですので、不安を抱いている方に向けて対処法などを解説します。

起業に伴う3つの不安解消法

起業に際して不安がある方におすすめなのが以下の3つの解消法です。

①不安の原因を書き出すことで可視化する・・・可視化したうえで複数の対処法を用意しておきましょう。

②不安に反論する態度を取る・・・1つ目の方法と同様に不安に対する反論を書き出します。反論することでポジティブな気持ちを保つことができます。

③ファイナンシャルプランナーや中小企業診断士といった第三者に相談する・・・起業やお金にくわしい相談をすることで視野が広がって不安を解消できます。

「お金」の不安は計画を立てることで解消できる

起業に関する不安の多くが「お金」に関するものです。「自己資金が足りているか」「固定費の見込みは甘くないか」といった不安がつきものです。

そのような方におすすめなのが事業計画書作成ツールです。このツールを利用すれば、事業計画書を作成できるだけではなく、健全経営をしている美容室開業の先輩と、あなたが作成した事業計画とを比較・判定ができます。収支や財務に関する項目を確認して、「お金」の見通しを比較しましょう。

事業計画書の作成ツールがおすすめ

競争の激しい美容業界で生き残るためには事前の戦略が必要です。そのために事業計画書を作成しましょう。事業計画書は日本政策金融公庫が公開しているサンプルを参考にしたり、フレームワークを活用することで簡単に作成することができます。

また、事業計画書の作成ツールもおすすめです。簡単な質問に答えるだけで事業計画書を作成することができます。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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