創業計画書の記入例をマネしてはいけない理由と、業種別の記入ポイント
日本政策金融公庫の創業融資に申し込みたいのだけれど、創業計画書の書き方が分からないので記入例を参考にしたいと考える方は多いでしょう。
しかし実は記入例をマネしただけでは不十分だという事をご存じでしょうか。
そこで8万人が利用した事業計画書作成ツールを提供しているドリームゲートが、日本政策金融公庫が公開している業種別の記入例を読み解きながら、審査に通る創業計画書の記入方法を解説します。
8万人が利用した事業計画書作成ツール
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元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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目次
創業計画書とは?
「創業計画書」は事業計画書の一種で、主に創業融資の申込みの際に必要となります。日本政策金融公庫においては創業融資の申し込み書類の1つとして創業計画書のフォーマットを用意しているので、記入して用意しなければなりません。
創業融資の申込みでは、指定された基本的な条件を満たすことや、金融機関との面談などさまざまな手続きが必要となりますが、創業計画書の作成はその中でも最も重要なものといえます。
しかし、はじめてこれを作成する方にとっては、難しく感じることもあるかもしれません。
ドリームゲートでは、ブラウザ上の操作だけでかんたんに創業計画書をつくれるツールを用意していますので、「創業計画書の作り方がわからない」、「内容がうまくまとまらない」という方はこちらのツールをご利用することをおすすめします。
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創業計画書と事業計画書の違いは?
創業計画書と似たものとして、事業計画書があります。
創業計画書が創業者を対象とした融資で必要になるのに対して、事業計画書はこれからおこなう事業全般に関する計画となります。
どちらもこれからおこなう事業についての方針や資金繰り予定、事業の見込みなどを記載したものという点では同じですが、両者ではその記入事項の内容に違いがあります。
創業計画書では、これまでに事業経験がないことを前提した項目(創業の動機やこれからおこなう事業に携わった経験等)が主な項目とされますが、これに対して一般的な事業計画書では、すでに事業をしていることを前提した項目(過去の決算内容や借入れ金の状況等)が中心的なものとなります。
また、審査においても、前者では形式的な部分に関する内容(申込み要件が満たせているかや、見込みによる売上、返済計画)が重視されますが、後者については過去の実績(財務状況や返済力)が対象となります。
●創業計画書と事業計画書の違い
参考:創業計画書とは?日本政策金融公庫の融資獲得のカギは創業計画書にある?!
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日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫は、民間金融機関の補完を目的として、創業者や中小企業の資金調達の支援をおこなっている政府系金融機関です。
中小企業向けの融資については、「国民生活事業部門」と「中小企業事業部門」の2つに分かれています。おり、個人企業や小規模企業向けの小口融資については国民生活事業が、中小企業向けの長期事業融資については中小企業事業がそれぞれ対応しており、創業融資は基本的には国民生活事業の取り扱いとなります。
日本政策金融公庫には、以下のような特徴があります。
- 創業者や個人事業主など、の信用力の低い方でも、利用しやすい
- 優遇された金利や条件で、長期間の融資が利用できる
- 一定の条件を満たす場合には、無担保無保証での借入れができる
- はじめての方でも比較的大きな額の融資をのぞめる
創業計画書を記入する4つの目的
創業計画書を作る目的にはさまざまなものがありますが、これをあらかじめ理解しておくことでさらに計画の内容を明確にしたり、ポイントを絞って作れるようになります。
ここでは、創業計画書を作る代表的な4つの目的についてご説明します。
目的①:融資申込時に金融機関へ提出するため
金融機関から融資を受けるには、事業のプランや将来性、回収の見込みなどを示してその理解と協力を得る必要があります。
そのため、創業計画書事業計画書が優れていれば、希望額の融資の獲得ができる反面、不十分な場合には融資の減額や否決となってしまいます。
また、十分な内容の計画を作ることができれば、創業や新事業のケースのように過去の実績を示すことができない場合でも、今後のプランや成功のイメージをより明確に伝えることが可能となります。
目的②:創業者の思考整理と事業内容のブラッシュアップのため
ビジネスのアイデアは頭で考えていただけでは、うまくまとめられませんし、内容の漏れや間違いなどが生じます。
しかし、あらかじめ必要な項目を準備し、それに沿って書き進めることにより、あいまいだった思考が整理され、まとまりのある文章とすることができます。
頭で考えただけではその内容を見直したり、適切に修正することは困難ですが、じっさいに紙に書きだすことにより、前後のつながりが明確となり、ブラッシュアップもしやすくなります。
目的③:従業員や関係先と創業計画を共有するため
創業計画を成功させるためには、自分だけでなく、従業員や家族といった周囲の協力も不可欠です。しかしそれらの方に事業の内容を理解してもらうためには、口頭の説明だけでは不十分で正確に伝えられない要因となります。
創業計画書としてまとめることにより正しく計画の趣旨や目標を理解してもらうことができます。
目的④:補助金申請時の添付資料として提出するため
補助金や助成金を申請する際には、ほとんどのケースで事業計画書の作成が必要となります。
補助金等の申請でも計画書の出来・不出来は採択の成否を左右する重要なポイントとなるため、求められた趣旨に沿った計画を作成できれば、審査における評価も高いものとなります。
補助金等の申請で必要となる事業計画書は、あらかじめ記入すべき項目が決まっていますが、事業の目的や経緯、資金計画など融資の創業計画書と共通する箇所が多いため、創業計画書を作成することで、補助金等の申請の資料とすることができます。
創業計画書の項目別の記入例とポイント
以下では日本政策金融公庫の創業計画書の記入例(飲食店)を参考に、各項目について説明します。
ただし、これらを丸ごとマネするのはおすすめできません。なぜおすすめできないかは後述しています。
1、創業の動機
思いつきの創業ではなく、しっかりと準備をしてきた開業である
この箇所では、なぜ創業したのかという動機を記入しますが、単なる思いつきの創業ではなく、しっかりと準備や計画をしたうえでの結果であることを前面に出しましょう。
たとえば、準備をしたことの例としてはこのようなことが考えられます。
- 「事業で使用する店舗をすでに契約している」
- 「一部の商品について仕入れができている」
- 「立地予定地の周辺について環境調査や競合調査が済んでいる」
創業することで、実現したいことがある
創業する上では、最終的な目標があるはずです。
例えば、飲食店をはじめる場合でも、「単に料理が好きだから」という方は少ないはずで、その先には「おいしい料理やくつろげる空間を提供することで利用者に安らいでもらいたい」、「これまでの概念を超える料理で、新鮮さや驚きを感じてほしい」など、本人だけの思いがあるはずです、
そのため、この箇所では表面的な希望だけでなく、「それを通して本当に実現したいことは何なのか?」を掘り下げて記入することが重要となります。
家族や周囲の理解を得ているか
創業において、「家族や周囲の理解を得ているか?」は、事業の成否に大きくかかわってくるため、審査でもポイントのひとつとされます。
そのため、計画の作成時までに、できるだけこれらの方からの協力を取りつけておくようにしましょう。
また、家族に従業員として働いてもらえる場合には、それだけ経費の削減につながるため、審査でも評価されやすくなります。
なぜ、このタイミングでの独立なのか
開業のタイミングは、人それぞれの事情により異なりますが、「何となくお金がたまったから」とか「たまたま、いい物件があったから」といった理由は、ネガティブなイメージを持たれるので注意しましょう。
日本政策金融公庫の記載例では、このような書き方をしているものもありますが、じっさいの創業計画書では減点の対象となる可能性もあるため、しっかりとその理由を説明できるようにしておく必要があります。
なお、この箇所の説明としては、「以前からこの時期に開業を予定していて、それに合わせて資金計画やスキルづくりをしてきたから」といったことであれば、納得を得やすいといえます。
2、経営者の略歴等
十分な経験年数があるか
創業融資において、事業に関する経験年数は大きなポイントとなります。以前はこの経験年数については「7年以上」とされていましたが、現在は具体的に必要となる年数についての条件はありません。
しかし、公庫ではこの点についてあまり年数が少ない場合や、経験がないといった場合には、かなり厳しく評価するため、できれば3年以上の経験年数があることが望ましいといえます。
経営者に必要な知識、経験はあるか
これからはじめる事業については、その事業をきちんと運営するに足りるだけの知識や経験が求められます。
この点については計画の中で「具体的にどのような経験を積んだのか作業をしたのか?」と、「それを今後の事業にどのように生かせるのか?」がポイントとなるため、キャリアと連動させた計画作りを心掛けてください。
なお、各種の資格は、キャリアを証明する上で重要なため、資格をお持ちの方は、できるだけ記載するようにしましょう。
勤務時代の実績を説明できるか
勤務時代に何らかの実績をあげたり、コンテストの受賞経験がある場合は、評価につなが
るので積極的に記入しましょう。
たとえば「〇年社内営業コンペで1位を受賞」、「売上高〇円を達成」、「人事担当として、通算〇人を面談し、〇人の採用に寄与」といったことは、立派な経歴となります。
できればそれを証明できる資料も、あわせて用意しましょう。
3、取扱商品・サービス
商品・サービス・接客・その他のセールスポイントは何か
この箇所では、商品・サービス・接客・その他のセールスポイントを記入します。
取扱商品については、以下のポイントに注意しましょう。
- 客単価や一日の売上げがわかるよう、商品等の単価や見込み数量も記入する。
- 時間で営業内容が変わる場合には、それぞれについて詳細に記入する。
- この箇所の数字と収支計算の数字を合わせる。
取扱商品やサービスの内容が複雑になる場合には、「サービスの流れ」や「販売の仕組み」を図としてまとめるとわかりやすくなります。もし、メニューやカタログがある場合には、あわせて提出しましょう。
セールスポイントの箇所では、これからおこなう事業の強みや特徴を記入しますが、その際には「差別化」と「妥当性」に注意するようにします。
「差別化」については、他の店舗の取組み例を参考に、自分の事業でオリジナルといえる特徴が出せないか?、他では扱っていないサービスの提供がかできないか?といったことを検討しましょう。
また、差別化については、それが「効果的妥当なものか?」、「集客につながるか?」という視点で考える必要がありますが、その際には、それが単に「奇抜なこと」や「一時的なもの」とならないよう注意が必要です。
このようなアイデアは、仮に一時的に成功しても長続きしないリスクがあるため収支の予測が立ちにくく、金融機関の審査でも理解されにくいものとなります。
競合ではなく、自社プロダクトを選んでもらえる理由は何か
事業を成功させるには競合に打ち勝つ必要がありますが、その際に重要となるのが「なぜ、自分の商品やサービスを選んでもらえるか?」について、十分に考え、対策することです。
商品等が同じ場合は、価格差は一つの差別化要因となりますが、よほど利益を確保できる要因がないと収益を圧迫しかねないため、それ以外の部分で集客できないかを考える必要があります。
たとえばこれらも検討してみましょう。
- 「他では扱っていない、これからはやりそうな商品を見つけて販売する」
- 「商品やサービスの種類を絞り、徹底的にこだわった商品等を販売する」
どのように集客するか
集客はある意味、事業を成功させる上でもっとも力を入れるべきポイントといえます。集客には、チラシ配りや折り込み広告、ウェブ広告、SNSなどさまざまな方法がありますが、いずれにしても、集客をする上で重要となるのが「正確な集客効果の計測」です。
どんなに効果がでた方法でも、これをしていない場合には、なぜ、集客ができたかがわからないため、以降の活動で再現することができません。
また、お客は集められたが、経費が多くかかりすぎ、収支が赤字になってしまうということもあります。
集客をする場合には、その方法だけに気を取られるのではなく、その後の集客効果や費用対効果の計測についても考えておく必要があります。
4、従業員
この箇所では、雇用する予定の従業員数や種別の内訳を記載しますが、その際には3か月以上雇用する予定の方を対象とするようにします。
雇用拡大に貢献するという観点から、創業計画では1人以上雇う計画としておくことが好ましいといえます。
5、取引先・取引関係等
顧客ターゲットを明確にしているか
顧客のターゲットは、できるだけ絞り込むことをおすすめします。
なぜなら、絞りこみができているほど、次のような効果が得られるからです。
- ターゲットが明確になり、それに向けた戦略を打ちやすくなる
- ムダうちをしないで済むため、宣伝広告費を抑えられる
- 想定したターゲットに対して、ピンポイントで訴求できる
逆にこの絞り込みが弱い場合には、集客の焦点があいまいとなるだけでなく、広い範囲を対象としなければならないため、効果も弱くなりやすくなります。
そのターゲットを集客できるか
ターゲットが絞り込めたら、次にそのターゲットを集客できるかを考える必要があります。
具体的な方法はどのようなターゲットを選ぶかにより、最適なものが異なりますが、例えば、店舗周辺の方をターゲットにするならばチラシや折り込み広告、ミニコミ誌への掲載、広い範囲の見込み客をターゲットにするならSNSやネット広告、DMなどが効果的といえます。
また、ひとつの方法だけでなく、チラシからSNSやホームページに誘導するといった複合的な方法も検討してみましょう。
仕入先は確保できているか
開業時に顧客や販売先を確定させるのは難しいですが、仕入れ先を確保することは誰でもできるので、準備しておくことをおすすめします。
また、仕入先が確保できていることは、事業における最低条件のひとつとなるため、これがない場合には不完全なプランと見られてしまいます。
メインの商品の仕入先は複数確保しておくと、売り切れや入荷停止があった場合でもすぐに切り替えられる、それらを比較することでより安く商品を仕入れられる、などのメリットがあります。
6、お借入れの状況
ここでは融資申し込みの時点の借入れ額や借入れ先を記入しますが、通常の生活で利用しているクレジットカードの利用額などは原則、記入する必要はありません。
ただし、事業に関する資金のローンや親や兄弟から借りたお金(もらったお金は対象外) がある場合には、それらを正確に記載する必要があります。
7、必要な資金と調達方法
必要な資金がモレなく、ダブりなく把握できているか
今後の事業で使用する設備や経費の明細がわかるように記入します。
設備についてはその見積書を添付する必要がありますが、少額なものや消耗品は、参考にしたサイトのURLを記入する方法でも構いません。
ただし、人件費については、従業員やパートの種別ごとにそれぞれの金額の算定根拠も記入します。
また、設備や経費の中に事業に不要と思われるものや関連性が低いものが入っている場合には、審査の時に削られてしまうので、これらや重複しているものがないか注意する必要があります。
開業資金の総額に対して自己資金が十分にあるか
日本政策金融公庫の新規開業資金では、開業資金の総額に対して自己資金がどの程度あるかというバランスもポイントとなります。
一般的に借りやすい金額とされているのは、自己資金額の3~4倍程度とされているため、これを目安にあまり自己資金額に対して借入れ希望額が大きくなりすぎないよう気をつけることも大切です。
自己資金を通帳で説明できるか
自己資金の保有については、預金通帳などの現物の履歴を遡って確認されます。そのため、自己資金の作り方に問題や不審な点(例えば、第三者からのまとまった額の振り込みや、現金による入金など)がある場合には、厳しく追及されます。
できれば、融資申込み前にはあらかじめ預金通帳の内容を確認し、説明のできない入金がないかを確認しておくことをおすすめします。
8、事業の見通し
各項目の数値の根拠が示せるか
事業計画書では、各項目について具体的な数値を記入していきますが、その際には必ず根拠もあわせて示すようにします。
例えば、飲食店の売上高であれば、「席数×客単価×回転率×営業日」などのように、なぜその売上げが見込めると考えたのかを記入します。
また、家賃などのように契約で金額が決まっているものはその契約書額を記入しますが、支払利息などについては「(借入れ金額×適用金利)/12ヶ月」のように計算して金額を算定します。
売上計画が同業者等の平均値等と比べ無理のないものとなっているか
売上の計画は、これからおこなう事業の種類や規模、想定する客数などにもとづいて算定しますが、その際に注意したいのが「同業他社との比較」です。
一般的には、業種が同じならばその事業で得られる原価率や利益率はほぼ同じとなるため、これを大きく上回る計画は、しっかりとした根拠がないと信ぴょう性に欠けるといえます。自分で計算した売上やこれらの率が同業他社の平均と比較して、かい離解離しすぎている場合には注意が必要です。
借入れの返済およびび創業者の生活費を支払うことはできるか
金融機関は返済してもらうことを前提に融資をしているため、それが見込めないような計画では、当然、評価も低くなってしまいます。
一か月あたりの返済が可能かどうかは、「想定される月の利益+減価償却費」が月額の返済額を上回っていることが基本となるため、この基準をクリアできる内容となっている必要があります。
また、個人事業の場合には、代表者の給料を経費として計上できないため、売上からすべての経費を差し引いた残りが事業主の生活費となります。この額があまりに少ない場合には生活ができないとみなされてしまうため、この点についても配慮する必要があります。
【業種別】創業計画書の記入のポイントについて
以下では、代表的な業種ごとの記入のポイントについてご説明します。
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飲食業
飲食業は開業希望者が多い反面、廃業率も高いため、最近では融資の審査が厳しくなっています。
計画においては、見込み売上げが立てられる根拠が明確なっているのは当然ですが、営業許可の取得が問題なくできるかや、立地などにも踏み込んだ審査が行われています。
営業許可は飲食店では必須となりますが、その取得のタイミングを間違えると予定時期に開業できなくなってしまうため、融資とスケジュールとリンクした計画作りができているかがポイントとなります。
参考)
美容室
美容室も競合が多く、廃業するところも多くなっているため、堅実な経営を可能にするための工夫や仕組みが計画に求められます。
とくに集客面では、他店からの乗り換えがほとんどとなるため、一般的な技術だけでなく、差別化されたノウハウやサービスを提供できるかが、融資に限らずじっさいの経営においても成功のカギとなります。
また、最近ではネイルサロンなどとコラボレーションしたサービスをおこなっているところも増えているため、このような新しい取り組みができないかも検討してみましょう。
参考)
建設業
建設業では取り扱う工事の金額が500万円未満か、500万円以上かにより許認可の有無が決まるため、まずは自分がおこなう事業がどちらなのかを明確にした上で、計画を作る必要があります。
また、建設業ではすべての工事代金の入金まで時間がかかることが多いですが、その間にも職人給与や家賃等の支払いが発生するため、それらの運転資金を考慮に入れた計画となっているかについても注意してください。
できれば、ある程度の工事の受注見込みが確保できており、最低限の資金繰りに問題がないことを説明できる計画となっていれば融資の確率は高くなります。
エステ
エステ業界は、その顧客のほとんどが女性となるため、女性向けのサービスの開発や集客ができるかが売上のカギとなります。
とくに一般的なエステの場合には、「料金」と「効果がどれだけあるのか」が顧客の関心のポイントとなるため、料金がお手頃なことや施術の効果が優れていることを顧客や融資の担当者にわかりやすく訴求できることが必要となります。
また、最近では、就活用のエステや男性用のエステの需要も高まっていることから、これらについても積極的に取り入れるような計画になっていると、時代に対応した計画であるという評価が得やすくなります。
不動産業
不動産業においては、賃貸の仲介もしくは不動産の売買のいずれかをメインの事業とするケースが多いといえますが、どちらをおこなうかにより作成する計画の内容も大きく異なります。
前者の場合にかかる経費は、人件費・家賃・車両代費(お客の現場案内用)などが中心となるため、大きな額にはなりにくい傾向がありますが、後者の場合にはそれに加えて不動産の仕入資金も必要となるため、融資額も大きくなります。
しかし、創業融資では、はじめから大きな額の仕入れ資金は認められにくい傾向があるため、この点をカバーするにはある程度のまとまった自己資金が必要となります。
物販・せどり
せどりとは、他から仕入れた商品に利益を上乗せして販売する手法ですが、金融機関はせどりにあまりいい印象を持たない傾向にあるため、融資申請の際には物販という言葉を使用し、計画の中身もできるだけ一般的な商品の販売であることを強調したものとしましょう。
なお、せどりで中古品を扱う場合には、古物商の免許が必要となるので、融資申込み前に取得しておくことをおすすめします。
物販やせどりでは扱う商品によっては、知的財産権に気をつける必要があります。また、中国や東南アジア輸入のように現地で製造した商品を仕入れる場合には、その仕組みや取引先の安全性・確実性についても、金融機関の納得が得られるものとなっている必要があります。
接骨院
接骨院の開業では、形成外科などと事業領域が重複するため、利用にどのようなメリットがあるかや、差別化ができているかが大きなポイントとなります。
また、エステなどと同様、一人あたりが対応できる人数に限度があるため、従業員を雇う場合には、利益的に問題がないか、リピーターをどうやって獲得するかといった売上に関する問題も説明できるようにしておきましょう。
製造業
製造業は何を作るかにより事業内容が大きく異なりますが、設備の稼働でどれだけの利益を上げられるかが収益の基本となるため、使用する設備のスペック(生産能力や償却年数)が理解・納得できるものとなっているかが計画のポイントとなります。
また、製造業では開業当初から多額の設備購入が必要となるため、それに見合った自己資金が用意できるか、製品の買取先の見込みがどれだけあるか(返済原資の見込み)にも配慮しましょう。
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創業計画書の記入例をマネしてはいけない理由
日本政策金融公庫では、業種ごとの創業計画書の記載例を公開していますが、これをマネて計画を作ることはおすすめできません。この記載例では必要最低限のことしか書かれていないため、融資用の事業計画としては不十分だからです。
例えば、売上の見込みは、事業開始当初と1年経過後のものを記入するようになっていますが、これだけでは途中の経営の経過がわかりませんし、月ごとに生じる変動なども不明です。
そのため、これらの記入例をそのままマネたのでは、審査でも低い評価となってしまう可能性が高いといえます。
創業計画書を作成する場合は、公庫のフォーマットで指示されている項目は守りつつも、さらに充実した計画を作る必要があります。
ドリームゲートでは、記入のポイントや書き方がわかるフォーマットを用意していますので、こちらもご利用ください。
参考:創業計画書とは?日本政策金融公庫の融資獲得のカギは創業計画書にある?!
創業計画書を書く時のフォーマット
創業計画書を作成するときには、求められている項目は落とさないように注意しながらも、さらに内容がわかりやすく、作りやすいフォーマットで作成することをおすすめします。
すぐれたフォーマットを利用すれば、内容に戸惑うことがなくなるだけでなく、大幅な時間の節約ともなります。
ドリームゲートでは、作成する項目についてわかりやすい解説や重要なポイントを示したフォーマットを提供していますので、これをご利用いただければ時間の節約だけでなく作業の負担も減らすことができます。
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創業計画書を書くときに聞かれるよくある質問
創業計画書を作成するときによくある質問としては、次のようなものがあります。
Q 創業計画書に書き方や様式の決まりはある?
A 原則として書き方や様式についての決まりはありませんが、日本政策金融公庫の場合には、指定のフォーマットにしたがって作成することが求められています。
しかし、必ずしもフォーマットそのものを使用しなければならないというわけではなく、同じ項目であればその内容を別紙に記載しても構わないというのが原則です。
一部の支店では、別紙に書くことは認めながらも公庫のフォーマットも添付するように指導するところもあるため、事前に担当の支店に確認することをおすすめします。
Q 融資と許認可のタイミングをどう考えればよい?
A 許認可を必要とする事業をおこなうときには、融資申込みの時点でその許認可を取得できていることが原則となります。
ただし、飲食店の営業許可については、例外的にその申請ができている、またはする予定である場合には、融資後の取得でもよいとされることがほとんどです。詳細については、担当の支店にご確認ください。
Q 資金計画を作成するときのポイントは?
A 資金計画を作成するときには、以下のようなことがポイントになります。
- 「必要な資金の額」と「調達方法の額」を一致させる
- 「必要な資金の額」のうち、設備資金については見積書にもとづいて記入し、運転資金についてはその積算根拠もあわせて記載すること
- 「調達方法の額」に記載する自己資金については、通帳やその他の資料(有価証券の時価が確認できる資料や退職金の支払い証明など)により、その内容に間違いがないことを示せること
- 自己資金と借入れ予定額の比率は3~4倍程度までとすること
作成ツールをうまく活用しましょう
創業計画書は、自分の事業に関して正確な道筋を立てるツールであるとともに、創業融資の申込みには必ず必要となるものです。
その内容についてはもれや間違いがないというだけでなく、内容が金融機関の納得を得られるものとなっているということが何よりも重要となります。
しかし、「創業計画書を作ったことがない」、「うまくまとめられない」という場合には、それをサポートしてくれるツールを使うと作業が進めやすくなります。
ドリームゲートでは、創業計画書を作ったことがないという方でも、スムーズかつかんたんに計画の作成ができるサポートツールを用意していますので、創業計画書の作成でお困りの場合はぜひ、お試しください。
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