融資のプロが徹底解説! 起業の成功に必要な開業資金の額と調達方法

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2024/12/30 

熱い想いを胸に、新たなビジネスを立ち上げることは、大きな喜びと同時に、不安や疑問も伴うでしょう。

とくに、「開業資金は一体いくら必要なのか?」「どうやって資金を調達すればよいのか?」といった悩みは、多くの起業家が抱える共通の課題です。

当記事では、長年の経験を持つ融資のプロとして、起業に必要な開業資金の額、そしてさまざまな調達方法について分かりやすく解説します。

成功への道しるべとなるような情報と、具体的なアドバイスを提供することで、皆さまの起業を力強くサポートします。当記事を読み終えるころには、資金調達に対する不安が解消され、自信を持って起業に向き合えるはずです。夢を実現するために、一緒に進んでいきましょう。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.そもそも開業資金とは?

開業資金とは、事業をはじめるために必要となるお金のことです。具体的には、新たに事業をはじめる際に必要な初期費用全般を指す言葉で、大きく分けて設備資金と運転資金の2種類に分類されます。

1)設備資金

設備資金とは、事業を運営するために必要な設備や備品などを購入するためのお金で、具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・店舗や事務所の物件取得費、敷金、礼金

・内装工事費

・厨房設備、美容機器、製造機械などの事業に必要な設備

・パソコン、デスク、椅子などの事務機器

・レジ、什器、ショーケースなどの店舗設備

2)運転資金

運転資金とは、事業を継続的に運営していくために必要なお金です。毎月の家賃や光熱費、従業員の給料、仕入れにかかる費用などがこれにあたります。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・従業員の給与

・家賃、光熱費、水道料金などの維持費

・材料費、仕入れ費用

・広告宣伝費、販売促進費

・通信費、交通費などの諸経費

参考:創業融資の運転資金は何か月分が妥当か?【元日本公庫融資課長が監修】

3)法人設立費用

個人事業主ではなく、法人として事業をはじめる場合は、別途法人設立費用が必要となります。株式会社を設立する場合、登録免許税や定款認証費用、収入印紙代など、さまざまな費用が発生し、合計で20万円以上かかることが一般的です。

近年では、設立費用が株式会社よりも安く抑えられる、合同会社を選択するケースが増えています。合同会社は、設立費用が安く、手続きも比較的かんたんであるため、起業家にとって魅力的な選択肢となっています。

開業資金をしっかりと把握し、それぞれの資金の用途を理解しておくことは、事業計画を立てるうえでも非常に重要です。

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2.開業資金はいくら必要?

起業に必要な開業資金は、一体どのくらい必要なのでしょうか?
これは、多くの起業家が抱える疑問のひとつで、漠然とした不安を抱えている方も多いかもしれません。開業資金は、事業の規模や内容、業種によって大きく異なるため、一概に「この金額!」と断言することはできないのが実状です。

1)500~1,000万円が目安

一般的には、500~1,000万円程度が目安といわれていますが、これはあくまで目安であり、じっさいには業種や事業内容によって大きく変動します。たとえば、小規模なカフェを開業する場合と、スタートアップで大規模なIT企業を立ち上げる場合では、必要な資金はまったく異なります。

参考:日本政策金融公庫総合研究所の『2023年新規開業実態調査』

2)業種や店舗の有無によってちがう

開業資金を考えるうえで、業種や店舗の有無は大きな要素となります。店舗を構えるビジネスと、そうでないビジネスでは、初期費用に大きな差が生じるからです。

たとえば、飲食店や美容室など店舗を構える業種の場合「物件取得費や内装工事費、厨房設備や美容機器」などの購入費用がかかり、開業資金は高額になりがちです。飲食店の場合、物件取得費や内装工事費に数百万円、厨房設備に数百万円、さらにテーブルや椅子などの備品にも費用がかかります。美容室であれば、シャンプー台やカットチェアなどの美容機器、内装工事、待合スペースの家具など、多額の費用が必要です。

一方、コンサルタントやWebサイト運営など、店舗を持たずに事業をおこなう場合は、初期費用が比較的安く抑えられます。オフィスを借りるにしても、店舗に比べて賃料が安い場合が多く、内装工事費も抑えられ、高額な設備投資も必要ないため開業資金は少額で済む傾向にあります。

3)ゆとりを持つことが重要

開業資金を算出する際には、余裕を持った金額を設定することが非常に重要です。

事業をはじめるにあたっては、予期せぬ支出が発生する可能性も考慮しなければなりません。たとえば、以下のような事態も想定することが必要です。

  • 当初想定していたよりも広告費がかかった
  • 設備の修理が必要になった
  • 景気の悪化や感染症の流行

上記のような外部環境の変化によって、売上が減少するリスクもあります。

運転資金が不足してしまうと、たとえ黒字であっても資金繰りが滞り、最悪の場合、倒産に追い込まれてしまう可能性もあります。このような事態を避けるためにも、開業資金は余裕を持って準備しておくことを強くおすすめします。

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3.開業資金の調達方法

開業資金を調達する方法は、多岐にわたります。大きく分けると、融資、補助金・助成金、出資などがあり、それぞれ「メリット・デメリット」「金利」「担保の有無」「返済期間」などが異なります。

起業を成功させるためには、これらの違いを理解し、自身の事業計画や状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。

1)政府系金融機関

数ある資金調達方法のなかでも、起業家にとってもっとも利用しやすい方法が、政府系金融機関である日本政策金融公庫からの融資です。

日本政策金融公庫は、国の政策に基づき、中小企業や小規模事業者を支援することを目的とした金融機関です。そのため、民間金融機関に比べて「低金利」「長期返済」「無担保・無保証人」など、起業家にとって有利な条件で融資を受けることができます。

創業時は事業の実績がないため、民間金融機関からの融資を受けるのが難しいケースが多くなりますが、日本政策金融公庫は、創業期の企業への支援にも積極的です。とくに、創業時がもっとも融資が受けやすいので、前向きに活用を検討しましょう。

参考:日本政策金融公庫「新規開業資金」

参考:日本政策金融公庫での創業融資の申し込みの全てを融資の専門家が徹底解説

2)信用保証協会保証付融資

信用保証協会保証付融資とは、信用保証協会が保証をおこなうことで、民間金融機関からの融資を受けやすくする制度です。

金融機関は、融資をおこなう際に、貸倒リスクを負います。信用保証協会が保証をおこなうことで、このリスクを軽減できるため、融資が実行されやすくなるのです。

保証付融資は、金融機関が独自に審査をおこない、保証協会の保証なしで融資をおこなう「プロパー融資」とは異なります。プロパー融資は、創業融資では、ほぼ実行される可能性がないため、信用保証協会保証付融資の利用を検討しましょう。

参考:創業融資における信用保証協会の役割とは?|資金調達のプロが公庫と徹底比較

3)信用金庫・信用組合

信用金庫や信用組合は、地域に密着した金融機関であり、地域の中小企業や個人事業主への融資に力を入れています。

地域に根ざしたビジネスを展開する場合は、これらの金融機関との相性がよいでしょう。担当者との距離が近く、親身になって相談に乗ってくれるというメリットもあります。

しかし、地域密着型のビジネスでない場合は、融資を受けるのが難しいケースもあります。

参考:元・信用金庫の営業マンが明かす、信用金庫の融資審査の裏側とは?

4)補助金・助成金

国や地方自治体などが支給する補助金や助成金を活用する方法もあります。

補助金や助成金は、返済義務がない資金調達方法であるため、積極的に活用を検討しましょう。ただし、申請手続きが煩雑で、審査基準もきびしいため、事前の情報収集が重要となります。

5)クラウドファンディング

近年注目されているのが、インターネットをつうじて不特定多数の人から資金を調達するクラウドファンディングです。

6)地方自治体の制度融資

制度融資とは「都道府県や市区町村などの自治体、金融機関、信用保証協会」が連携して提供する融資制度で、内容は自治体ごとに異なります。

7)ビジネスローン

銀行やノンバンクが提供するビジネスローンを利用する方法もありますが、担保を付けない場合には、金利は非常に高めです。

8)マイクロファイナンス機関

少額の融資を専門におこなうマイクロファイナンス機関も選択肢のひとつです。

9)エクイティファイナンス

株式を発行することで資金を調達する方法です。ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家などから出資を受けることができます。

ただし、将来的に株式を売却したり、企業を上場させたりする「エグジット」が求められる点に注意が必要です。

10)手形割引

取引先から受け取った手形を金融機関に買い取ってもらうことで、資金を調達する方法です。

11)ファクタリング

売掛債権をファクタリング会社に売却することで、資金を調達する方法です。

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4.開業資金の融資を成功させるポイント

せっかく融資を申し込んでも、審査に通らなければ意味がありません。金融機関から「融資を実行したい」と思ってもらえるように、しっかりと準備をおこないましょう。

ここでは、開業資金の融資を成功させるためのポイントを解説します。これらのポイントをおさえることで、融資審査の通過率を高めることができます。

1)自己資金比率を高める

自己資金比率とは、総投資額にしめる自己資金の割合のことです。自己資金比率が高いほど、起業後の成功確率が高いと判断され、融資を受けやすくなります。

創業融資を受ける際には、総投資額(必要な開業資金全体の金額)に対して30%以上の自己資金が理想的で、金融機関からの信頼度も高まります。

参考:「自己資金は3割必要」ってホント!?
元・銀行支店長が教える、創業融資の必勝法②資金計画

2)資金の使い道を明確にする

融資を受ける際には、資金の使い道を明確に説明することが重要です。設備資金、運転資金、それぞれの用途を具体的に示し、事業計画との整合性を明確にしましょう。

たとえば「設備資金として〇〇円を厨房設備の購入に充当し、運転資金として〇〇円を人件費と家賃に充当します」のように、具体的に説明することで、金融機関は融資の妥当性を判断しやすくなります。

3)融資希望額を適正にする

日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業時における金融機関からの借入れ額は、平均768万円となっています。必要以上に多額の融資を希望すると、返済能力に疑問を持たれる可能性があります。

事業計画に基づき、本当に必要な金額を算出し、適正な融資希望額を設定しましょう。

参考:2023年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫

4)開業業種の経験を提示する

とくに創業時は、事業の実績がないため、金融機関は過去の経歴を重視する傾向にあります。開業する業種での経験や知識があれば、積極的にアピールしましょう。

たとえば、飲食店を開業する場合、調理師免許や飲食店での勤務経験があれば、積極的にアピールすることで、事業に対する熱意や能力を伝えることができます。

参考:起業Q&A起業に関するみんなの質問投稿サービス「事業経験がなく資金融資を受けられるか不安」

参考:【元公庫職員が教える!】「経験」が少ない事業で創業融資を受ける時にすべきこと5選

5)現実的な創業計画を作成する

創業計画は、実現可能な内容であることが重要です。過度に楽観的な計画や、根拠のない目標を設定すると、金融機関の信頼を失う可能性があります。

大風呂敷を広げると、面談時に答えられないリスクがあるため、十分にご注意ください。無理のない返済計画を立て、堅実な事業計画を提示しましょう。

参考:融資が決まる、事業計画書の書き方【元日本公庫の融資課長が監修】

6)信用情報の傷があれば回復させる

過去に公共料金や税金、クレジットカード、ローンの支払いを延滞したことがあると、信用情報に傷がついてしまいます。信用情報に問題があると、融資を受けられない可能性があるため、事前に信用情報機関に開示請求をおこない、問題があれば対策を講じましょう。

7)事業に必要な許認可を取得する

融資後の取得でも問題ないことが通常ですが、事前に取得準備は進めましょう。また、金融機関によっては、融資実行前に許認可の取得を求められる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

8)開業前か開業後3カ月以内に申請する

開業後長期間が経過してしまうと、売上実績で審査されるためハードルが高くなります。したがって、開業前か開業後3カ月以内を目安に、融資申請するのがよいでしょう。

9)必要書類をすべてそろえる

金融機関から求められる書類は、すべて漏れなく提出しましょう。必要な書類が不足していると、審査が遅れてしまう可能性があります。

参考:創業融資(新規開業資金)の必要書類まとめ。日本政策金融公庫の手続き方法についてもくわしく解説

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当記事では、起業に必要な開業資金の額と、調達方法について解説しました。起業を成功させるためには、資金調達は非常に重要な要素です。当記事を参考に、自分に合った資金調達方法を見つけ、夢の実現に向けて進んでいきましょう。

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上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
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