創業融資(新規開業資金)の必要書類まとめ。日本政策金融公庫の手続き方法についてもくわしく解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2022/08/24  最終更新日: 2024/04/17
日本政策金融公庫の創業融資の申込みには、さまざまな必要書類があります。
これらの書類の中には、作成の準備や取り寄せに時間がかかるものもあり、あらかじめ内容を理解していないと、申込みのときに「足りない」、「中身が不十分」ということになってしまいます。
この記事では、公庫の創業融資の申込みに必要となる書類の概要や、準備する際に気をつけることについて解説します。

 

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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創業融資(新規開業資金)申込みの必要書類

日本政策金融公庫の新規開業資金の申込みには、次に挙げる書類が必要となりますが、法人と個人では一部、異なるものがあります。
  • 借入申込書
  • 創業計画書
  • 法人の履歴事項全部証明書の原本/li>
  • 設備資金の見積書
  • 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(不動産担保を希望の場合)
  • 知事の推薦書(一部の業種)
以下で1つずつ詳しく説明します。

借入申込書

借入申込書は、融資の申込みをする上で最も基本的な書類となります。
日本政策金融公庫の申込書は、表面および裏面の両方を提出する必要があるので、もれなく記入・提出しましょう。
記入の際の押印は不要で、インターネット申込による場合には用紙の提出も不要です。

 

創業計画書

創業計画書は、原則として公庫のホームページからダウンロードしたフォーマットを使用します。
記載する内容が多く、用紙に書ききれない場合には、別紙に記載しても構いませんが、その際にはフォーマットの項目を漏らさないように注意してください。

 

 

なお、創業計画書の作り方がわからない、ポイントを知りたいという場合は、以下の創業計画書の書き方をまとめたページが参考になります。

 

 

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履歴事項全部証明書の原本

申込人が法人の場合には、履歴事項全部証明書を提出します。
法務局で発行する書類に「登記事項要約書」がありますが、これは閲覧に代わって発行されるものであり、履歴事項全部証明書とは異なるものとなりますので、間違えないように注意してください。
また、登記事項に変更が生じている場合には、そのまま証明書を取得するのではなく、必ず変更登記をした上で取得するようにしましょう。

設備資金の見積書

設備資金を購入する場合は、その設備に関する見積書を提出します。通常、見積書には有効期限がありますので、この期限内のものを使用します。

不動産の登記簿謄本または登記事項証明書

不動産担保を希望する場合には、対象となる不動産の登記事項証明書を提出します。不動産に抵当権等が設定されている場合には、共同担保目録付のものを提出します。
なお、通常はこれ以外にも、土地については公図や地積測量図、建物については建物図面が必要となるため、あらかじめ取得しておくと2度手間が防げます。
ちなみに、不動産担保を提供する場合(新規開業資金を除く)は、利率が低くなるというメリットがあります。

知事の推薦書

日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)の一般貸付(設備資金)の融資を申し込む方で、申込金額が500万円を超える場合は、事業所所在地の都道府県知事の推薦書が必要となります。

面談時に必要な書類

創業融資では公庫の融資担当者との面談がありますが、その際には以下のような書類が必要となります。
  • 創業計画書や月別収支計画書の計算資料
  • 預金通帳
  • 自己資金の額、蓄積状況がわかるもの
  • 各種ローンの支払明細
  • 固定資産課税明細書と固定資産税の領収書
  • 賃貸借契約書
  • 勤務時の源泉徴収票
  • 運転免許証等の公的な本人確認資料
以下で1つずつ詳しく説明します。

創業計画書や月別収支計画書の計算資料

創業計画書等は、融資申込みの際に申込書とあわせて送付しても構いません。
また、日本政策金融公庫のフォーマットでは、開業当初と開業後1年経過後もしくは開業後しばらくたってからの収支計画を記入することとなっていますが、これでは途中の経緯がわからないため、できるだけ月別のものを作成することをおすすめします。
収支計画書には売上等の数字を記入するだけでなく、その計算の根拠や積算の経緯もあわせて記入するようにします。

預金通帳

預金通帳は自己資金が入金されているものだけでなく、家賃や公共料金の引き落しがされている通帳が別にある場合には、そのすべてを提出します。
通帳は原本を用意します。コピーは原則として認められませんが、インターネット通帳のような場合には、該当する部分(約1年程度前までの分)をプリントアウトしたものを提出します。

自己資金の額、蓄積状況がわかるもの

自己資金が通帳の預金や定期に入っている場合は、通帳を提出しますが、それ以外の場合にはその種類に応じた確認資料を提出します。
通帳以外の自己資金を証するものとしては、証書で作成された定期預金についてはその証書、有価証券の場合は時価評価額の証明書、生命保険の解約返却金については保険会社の証明書などがこれに該当します。

各種ローンの支払明細

住宅ローンや車のローンを利用している場合には、そのローンの支払明細や償還予定表(返済計画)などを提出します。
これらの確認は約1年前までさかのぼって行われますが、その間に支払いの遅れなどがあると審査で不利になる可能性があります。

固定資産課税明細書と固定資産税の領収書

不動産を所有している場合には、納税証明書や固定資産税の領収書を提出します。これらの証明書は納税の有無を確認するものであるため、不動産を担保に入れない場合でも提出する必要があります。

賃貸借契約書

これから事業をおこなうテナント等が賃貸の場合には、その賃貸契約書のコピーを提出します。テナントで事業をする場合には、賃貸契約書の利用の目的が「事務所用」や「事務所兼住居用」などとなっている必要があります。
「住居用」となっている場合には、その事務所で営業ができないため融資審査の際に問題視されてしまいます。

勤務時の源泉徴収票

直近まで会社勤めをしていた方については、勤務時の源泉徴収票を求められることがあります。

運転免許証等の公的な本人確認資料

本人確認の資料として、免許証や写真付きの公的な証明書の写しを求められますので、書き換えなどが済んでいない場合には事前に手続きをしておきましょう。

 

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すでに事業を営んでいる方が創業融資の審査の際に必要な書類

すでに事業を営んでいる方が創業融資の申込みをする場合には、以下のような書類を提出する必要があります。
  • 企業概要書
  • 税金の領収書
  • 売上等が確認できる書類
  • 確定申告書
  • 青色申告決算書
  • 決算書一式

企業概要書

すでに事業を開始している方が、はじめて日本政策金融公庫に融資の申込みをする際には、創業計画書とあわせて、またはこれに代えて企業概要書を提出します。
以前に公庫を利用している方は不要です。

税金の領収書

住民税の納税証明書やその他の納税関連の資料(例えば納税証明書のその1や、その3の3など)の提出を求められることがあります。
具体的にどの証明書が必要かについては、公庫の担当者から指示されます。

売上等が確認できる書類

必須ではありませんが、事業計画書の内容によっては、計画に記載した売上等を確認できる書類の提出を求められることがあります。
例えば、売買契約書や発注書、基本合意書、原価計算の算定資料などが考えられますが、いずれにしてもこれらの資料と売上げ等の間に齟齬が生じないよう注意してください。

確定申告書

個人事業において創業後1期以上を経過している場合には、確定申告書の写しを提出します。確定申告書のコピーは税務署の受付印が押されたものであるかを確認してください。

青色申告決算書

個人事業において創業後1期以上を経過している場合には、確定申告書とあわせて青色申告決算書の写しを提出します。

決算書一式

法人の場合、創業後すでに1期以上の期間を経過しているときは、その期数分の決算書の写しを提出します。(通常は2~3期間分)
なお、この場合の決算書は、貸借対照表や損益計算書だけでなく、別表や勘定科目明細を含むすべてのものを提出します。

融資の申込みと各手続きの流れについて

日本政策金融公庫に創業融資を申し込んだ場合の手続きの流れは、以下のとおりとなります。

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ステップ① 融資相談

融資に関する相談は、支店に直接出向く、電話で相談する(公庫が開設している「事業資金相談ダイヤル」)、オンラインでおこなうのいずれかの方法ですることができます。※相談には事前の予約が必要です。
必須ではありませんが、融資申込みの前には相談をすることをおすすめします。
相談をすることにより、自分の勘違いや疑問を解消できるだけでなく、手順を整理するのにも役立ちます。
相談はどこの支店でも行えますが、できれば申込み先の支店でおこなった方が、後日に話の食い違いが起こりにくくなります。

ステップ② 借入れの申込み(必要書類の提出)

融資の申込み方法には、「直接支店への申込み」、「郵送による申込み」、「インターネットによる申込み」の3つの方法がありますが、現在は、インターネットによる申込みが推奨されています。
インターネットによる申込みには、「手続きが早い」、「24時間365日申込みができる」、「必要書類をアップロードして送れる」といった特徴があります。
インターネットによる申込みについては、以下の案内をご参照ください。
インターネットによる申込み案内:https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/internet_kariire.pdf

ステップ③ 面談

創業融資の申込みでは、必ず公庫の担当者による面談が行われます。通常、面談は公庫の支店で行われますが、申込人の事務所でおこなう場合もあります。
申込みから面談までの期間は約1週間程度が目安ですが、日程調整の結果しだいでは2週間以上となることもあります。
面談時間の目安は1時間ですが、自己資金の内容に確認すべき点があったり、計画の内容が複雑な場合には、1時間を超えて行われることもあります。
具体的な面談での注意点等については、下記の記事をご参照ください。

 

ステップ④ 事務所等の現地確認

面談と前後して申込人の事務所の確認が行われます。
この確認は、本人に連絡しないで担当者が任意の日時におこなうのが一般的ですが、申込人との面談を兼ねておこなうこともあります。
なお、レンタルオフィスについても現地確認は行われますが、この場合には「間違いなくそこに在籍しているか?」、「業種や会社の形態等に間違いがないか?」などの確認がされます。

 

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ステップ⑤ 審査結果の通知

面談から1~2週間経過後、審査の結果が申込人に通知されます。
通知は、電話や書類の郵送などで行われます。
この際には決定された融資額も通知されますが、希望額よりも減額されることもあるため、その場合は不足分の資金の手当てについても考える必要があります。

ステップ⑥ 融資実行の手続き

融資額について申込人の了承が得られた場合は、融資の契約(金銭消費貸借契約)を行います。
以前は公庫での手続きが必要でしたが、現在は契約センターまたは支店から送付された契約書類に署名捺印し、返送しておこなうことができます。
融資の契約手続きでは、記入する書類が複数あるため、法人の場合はあらかじめ社判を作っておくとスムーズに手続きができます。
契約手続きが完了してから1週間~10日ほどで、本人が指定した口座へ融資額が振り込まれます。

 

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さいごに

創業融資の申込みでは、さまざまな書類が必要となるため、あらかじめどのような書類を用意しなければならないかを確認し、早めに準備に取り掛かることが大切です。
とくに許認可が必要となる事業については、融資申込み時までに許可証等を用意しなければならないため、これに間に合うようスケジューリングしておくことも必要となります。
なお、創業計画書は、最も重要かつ作成に時間がかかる書類のため、余裕をもって取り組まないと予定どおりに申込みができないということになってしまいます。
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