所得税を抑えるために青色事業専従者給与について教えて欲しい。

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2022/03/24  最終更新日: 2023/10/26

QUESTION

個人事業主として働いています。確定申告を終えたのですが、所得税の多さが気になりました。家族にアルバイト・パートとして事業を手伝ってもらっており、家族を青色事業専従者にすることについて考えたのですが、条件的に難しく断念しています。

妻は別の会社で正社員として働く傍ら、給与計算、売上や支払のソフト入力、スタッフの年末調整、年度末にむけてのソフト入力、決算やスタッフの納税及び償却資産の申告、そして私の青色申告と納税などに従事しています。その上で以下、3点質問させていただきます。

  • 妻は専従者になれますか。なれるとしてもデメリットはありますか?
  • 妻がなれない場合、他の家族が代わりになり得ますか?
  • 私の父が、会計をやっていました。現在は年金暮らしですが父は専従者になれますか?なれるとしても父にデメリットはありますか?

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ANSWER必要な要件を確かめながら解説します。

青色事業専従者給与を経費とするには、次の全ての要件を満たす必要があります。

  1. 青色事業専従者給与に関する届出書を提出すること
  2. 給与の額が不相当に高額でないこと
  3. 青色事業専従者がもっぱらその事業に従事すること

問題になるのが3の専ら要件です。記事の転載ですが下記のような解説がされています。
もっぱらその事業に従事することの基準は、その事業に従事する期間がその年を通じて6月を超えること。但し、開業年など一定の場合に、その事業に従事することが出来る期間が1年に満たないときは、その事業に従事することが出来る期間を通じてその1/2を超える期間従事すること。 ※但し、次の期間は「もっぱら従事する期間」に含めることが出来ません。

  1. 学校の学生又は生徒である期間(昼間に行う事業の場合の夜学、夜に行う事業の場合の全日制はOK)
  2. 他に職業を有する者(その職業に従事する期間が短い者等もっぱら事業主の行う事業に従事することが妨げられないと認められる者を除く)
  3. 老衰その他心身の障害により事業に従事する能力が著しく阻害されている者

掛け持ちに関しては上記の2が掛け持ちを行うことを想定しています。つまり、他のパートの時間が短いなどで、事業にもっぱら事業主の事業に従事することの妨げにならない場合はOKということです。例えば、以下のようなケースは掛け持ちも大丈夫でしょう。

  • 例① (月)~(金)までは事業主の事業に従事し、(土)(日)はパート勤務を行う。
  • 例② 日中は事業主の事業に従事し、深夜2時間だけパート勤務を行う。

上記の事を念頭にご質問に回答したいと思います。

奥様が給与計算、売上や支払のソフト入力、スタッフの年末調整、年度末にむけてのソフト入力、決算やスタッフの納税及び償却資産の申告、私の青色申告と納税などに従事されているとのことでしたのでそれを踏まえて以下、3点の質問に回答していきます。

妻は専従者になれますか。なれるとしてもデメリットはありますか?

他に職業を有するものに該当するため、専従者は難しいと思います。

妻がなれない場合、他の家族が代わりになり得ますか?

ご家族が会社に勤めている場合は奥様と同じ理由で難しいと思います。ご家族が学生の場合は難しい判断ですが、但し書きの1にあるように、学生期間は含めないですが、実際の作業を妨げない状態であれば認められています。節税のために仕事の実態がないのに支給だけしている場合は難しいので、調査等で実態の確認に対応できる記録を残しておくといいでしょう。記事にもあるように昼間は学校なのに仕事をしたことにしているなどの場合は、認められません。

私の父が、会計をやっていました。現在は年金暮らしですが父は専従者になれますか?なれるとしても父にデメリットはありますか?

ここも判断が難しいところではありますが、但し書きの3で業務遂行ができる状態であるのかという問題があり、3の要件をクリアできれば可能とも言えますが、業務遂行能力や勤務実態がない場合は否認されるケースもあります。

私の感覚では、ご家族に学生がいる場合、その方は要件に合えば多少は支給できる気もしますが、ご本人がアルバイトをされており、所得によっては確定申告をして納税しなくてはいけなかったり、専従者給与を支給すると扶養を外れるので、扶養のままの方が良いようにも思います。強いて言うならば、お父様は実際に経理の能力があり現在もお任せできる状態であれば、世間相場の金額であれば支給はできるかな、と思いました。

また、現在、扶養にされていなければ扶養が外れるというデメリットもないですし。ただし高額ですと要件2に抵触しますし、年金等に影響が出る場合があるので、注意が必要です。

この質問に回答した専門家
中田 哲也(なかた てつや)
東京会計総合事務所/中田哲也税理士事務所
税理士
フットワークの軽さは、アドバイザーNo1。その人柄で、相談者の方には「何でも相談できる、頼れる兄貴分」との評判も高い。「専門家に相談するのは苦手…」という方。一度中田さんへご相談を!!
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