企業間での事業売買時の売値・買値算定の方法

公開日: 2017/03/02  最終更新日: 2019/11/21

QUESTION

物流関係の会社を経営しています。 実は、以前勤務していた会社から、業務の縮小に伴い、その会社の一部の事業・業務・顧客等の情報をまとめて、私の会社に移行しないかという話がありました。
こういった経験が無いため、どのように買値を決めればよいのか判断ができません。売上原価は7割弱ですが、顧客管理などにかかる販管費(主に人件費)の増加を考えると、それほどの利益にはなりません。 こういった売買の際には、どのように金額を決めればよいのでしょうか。

【無料】事業計画作成サポートツールなら、3分で事業計画書が無料で作れます。さらに作成した事業計画書を先輩経営者と比較した順位も判定。要チェック!>>

ANSWER

不動産売買では「収益還元法」に基づき利益を算出しますが、今回のケースもこれを応用した考え方ができます。具体的には、「その事業が上げうる年間利益÷利回り」という計算です。

今回は「原価が7割弱」ということですから、仮に利益は3割あるとしましょう。仮に月間の平均売上1万円×200件×12月=年商2400万円となり、この3割とすると年間利益は2400万円×0.3=720万円となります。

次に「利回り」ですが、これは投資額(買値)に対する年間期待利益率の別な呼び名と考えてください。例えば、今回の買い物をするにあたり、その資金を借入で賄うとすると、借入利息以上の利益率が得られなければ、得ではないことはお分かりいただけると思います。 借入金利が4%だとすれば、少なくとも例えば5%の利回りは欲しいというようになるはずです。 これを先の計算式に当てはめると 720万円÷0.05=1億4400万円というのが、買値の目安になると考えられます。 しかしこれはあくまでも一例です。

ただし、分子となる利益は、考え得るコストを色々と差し引いて算出しなければなりません。今回ではこの事業を引き継ぐことによって増加する人件費がコストに当たります。それ以外に、営業用車輌が必要だとすれば、任意保険等の維持費もかかってきたりします。 ただしここでは、それらの人件費や車輌関係費が、今回の新たな事業専属で必要となることを想定しており、増加した人員が従来業務も兼務する場合はまた話が変わってきてしまいます。

仮に経費を引いた利益が1割残るとすれば、先ほどの計算式ですと、4800万円が買値の目安です。

しかし、売り手の希望や、将来の御社の戦略を考えた場合に、「多少儲けは少なくても、今買っておくべき」という判断もありえる話です。したがって、「絶対正解」という答えはないと思います。世間の経営者は、みさなんそうした状況の中で意思決定しています。