法人形態について

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2018/03/12  最終更新日: 2023/02/22

QUESTION

個人事業主としてやってまいりましたが、近々法人化を考えております。

ある会社に所属し、私自身が商品として派遣されお仕事をするという方式で、会社側に手数料を取られております。
数年続けておりますため、クライアント等信頼をえるようになり個人的にお仕事を頂けるようになりました。
しかしその場合でも会社を通しておりました。

今後は独立して一人でスタートしようと考えておりますが、その場合株式会社にするべきか、合同会社にするべきかを悩んでおります。
自分の事例の場合どちらが最適かお伺いしたいです。

希望としましては
1、設立費用はなるべく安く済ましたい
2、取引先は企業から個人までいる
3、HPを用意する予定である
4、まずは小規模から始めていきたい
5、1つ会社をつくり、色々な分野にわけて展開して行くこともかんがえている
6、設立時一緒に始める方は1名で二人で始める可能性もある
※今のところそれ以上の人数になる事はない

素人なものでなるべく分かりやすくご回答いただけると助かります。

【無料】事業計画作成サポートツールなら、3分で事業計画書が無料で作れます。さらに作成した事業計画書を先輩経営者と比較した順位も判定。要チェック!>>

ANSWER

【1】会社設立のメリットとタイミング
今回のご質問は、株式会社と合同会社のいずれが良いのかというご質問ですが、確認のために、会社と個人事業、どちらが良いのかという点から簡単に見ていきたいと思います。
なお、株式会社でも、合同会社でも、ここであげられた会社としてもメリットは同じになります。
(1) 会社にすると、社会的信用が増します。
 
ビジネスを始めるときに、個人事業よりは、会社の方が取引先から信用されます。

(2) 会社は有限責任です。
事業に失敗しても、出資した範囲までしか責任を負いません。
個人事業主の場合、個人の預金や住んでいる家を処分して、借入金の返済に充てなければならないのです。

(3)会社は、節税ができます。
会社にすると、社長の給料が経費になる上に、税務上「給与所得控除」という、いわばみなし経費が認められる特典があります。
会社の税率は一定ですが、個人事業の場合、利益が増えると税率も上がります。
そのため、利益が大きくなると、会社よりも個人事業の方が税金が大きくなるのです。

(4)法人化のタイミング
会社のビジネスが大きく成長しそうなときは、法人化をしたほうが良いのです。
一般に、法人化するタイミングは、売上が1千万円を超えてきたとき、利益では500~600万円くらいの時が目安だと言われています。

【無料】弥生のかんたん会社設立なら、案内にしたがって入力を進めるだけで、株式・合同会社設立に必要な書類を作成可能に!詳細はこちら>>

【2】株式会社と合同会社 – コスト面での比較
まずは、株式会社と合同会社について、会社設立時とランニング・コストについて比較してみます。
(1) 会社の設立費用
株式会社の設立には、
・登記費用(登録免許税)の15万円
・定款の収入印紙4万円と
・公証人による定款認証手数料の5万円
の合計24万円がかかります。
(以下、謄本取得代や司法書士等の手数料は省略します)

合同会社の設立は、
・定款の収入印紙4万円と
・登記費用(登録免許税)の6万円
の合計10万円で会社が設立できます。

株式会社と異なり、公証人による定款の認証が不要ですし、登録免許税も安くなっています。
さらに、電子定款で作成すれば、登記費用の6万円だけで設立できるので、設立コストが一番安い会社です。
(株式会社は、電子定款で作成しても、最低20万円はかかります)

(2) ランニング・コスト
株式会社の場合、取締役に任期があり、最長でも10年となっています。
そのため、10年ごとに取締役を再選(再任)し、役員登記をする必要があります。
そのため登録免許税だけでも、1万円がかかります。
一方、合同会社には役員に任期はなく、定期的な役員変更登記が必要ないため、変更登記にかかる費用も掛かりません。
このように、合同会社は、会社設立もランニング・コストも安い会社です。

【無料】弥生のかんたん会社設立なら、案内にしたがって入力を進めるだけで、株式・合同会社設立に必要な書類を作成可能に!詳細はこちら>>

【3】株式会社と合同会社 – 法律的な組織面での相違
1人で会社を作る場合などは、事実上、株式会社と合同会社で差はありません。

しかし、「設立時一緒に始める方は1名で二人で始める可能性もある」ということですし、今後どのようになるのかわかりませんので、株式会社と合同会社では法律的にはどのような違いがあるのかを見ていきます。
(もし、お一人で会社を作るため、あまりこうした点を考慮する必要がなければ、3~5は飛ばして読んでください)

まずは、法律的な組織面での相違について見ていきます。
(1) 株式会社
株式会社は、出資者(法律上は、「社員」といいます)が株主(=オーナー)となります。
一方、経営者(法律上は、「取締役」)は、株主が株主総会で選任します。
通常、お一人で会社を始める場合は、株主=取締役=ご相談者様というケースが多いのですが、例えば、
株主=ご相談者様 取締役=Aさん
株主=ご相談者様 取締役=ご相談者様+Aさん
といった形で、株主と取締役を変えることができます。
また、株主=取締役といっても、手続き上(書類上)は、株主総会を開催し、そこで取締役を選任する形にしなければなりません。

(2)合同会社
合同会社には、株式会社のように取締役という法律上の役職(法律上は、「機関」といいます)はありません。
そのため、合同会社では、つねに 出資者=経営者 となります。
株式会社のように、
・出資者=株主 と、
・経営者=取締役 
が別々になることはありません。

ただし、株式会社で見たように、1人だけで会社を始めるような場合、株式会社でも株主(出資者)=取締役(経営者)ということで、合同会社と実質的には変わりありません。
なお、合同会社の場合、株主総会で取締役を選ぶ必要がないため、手続きは簡単になります。

(3)まとめ
まとめると、今まで見てきたように、ご相談者様お一人でされる場合には、実質的には差はないですし、取締役を選ぶ手間がない分、合同会社のほうが良いかもしれません。
ただし、株式会社の場合、一緒に会社を始める方を役員にはしたいけれども、オーナにはしたくない場合など、柔軟に会社の形を決めることができます。

例えば、次に見ていくことにもつながりますが、一緒に始める方がご友人などの場合、ご家族も役員にすることで、外部の方を役員に入れても、リードをとれるような会社にすることもできます。
(つまり役員構成を、「ご家族と2名:ご友人1名」とします)

【無料】弥生のかんたん会社設立なら、案内にしたがって入力を進めるだけで、株式・合同会社設立に必要な書類を作成可能に!詳細はこちら>>

【4】株式会社と合同会社  -  議決権の割合
会社の出資者がお一人の場合、議決権については、実質的に差はありません。
しかし、出資者が複数名いる場合など、
・どのように会社で物事を決めていくのか、あるいは、
・利益の配当をどうするのか
といった点で、株式会社と合同会社で異なってきますので、まず議決権について、以下のように見ていきます。
(1) 株式会社
株式会社では、株主の出資割合=議決権の割合となっています。
つまり、多く出資した株主が、具体的には過半数を超えた出資割合があれば、株主総会で取締役を選任することができます。
株主は、取締役を選解任することで、会社を間接的に運営できる仕組みとなっています。
例えば、ご相談者様8割の株を持っていれば、一緒に会社を始める方が2割を持っていても、多数決で自由に決められます。

取締役として、ご相談者様ともう一人の方の2名で会社を運営していた場合、意見が合わない時は、最終的にはその方を解任することができるので、会社を自由に運営できます。

もちろん、そうはいってもいつも「解任するぞ!」と言うこともできないでしょうから、先ほど見たように、取締役にご家族を加えて、取締役のレベルでも、多数決で決められるようにする、といった会社運営の工夫が必要です。

(2) 合同会社
合同会社の場合、各出資者が1人について1議決権があります。
出資額の多い少ないは関係がありません。
ここが株式会社と合同会社の大きな違いです。

(3) まとめ
会社を一人で作る場合は、株式会社と合同会社では差がありません。
しかし、2人以上で作る場合で、○○様が主導権をもって運営していこうとすれば、株式会社の方が、状況に応じて株主の構成や取締役の構成を柔軟に決めることができるので良いかと思います。

【5】株式会社と合同会社  - 利益の配当について
会社の出資者として、会社の利益は配当という形で利益を得ていきます。

ただ、通常は、出資者が役員にもなっているため、役員報酬という形で会社の利益をとっていきます。

なぜなら、利益配当は、会社の売上から役員報酬などの経費を払買った後の税引前利益から、さらに法人税を払った後の残りである当期利益から配当を受けるためです。

法人税を支払った後の利益配当で回収するくらいであれば、経費にもなる役員報酬で回収したほうが得だということです。
そのため、実務的には、株式会社と合同会社での利益配当の違いはあまり問題にはならないかもしれません。

ただ、株式会社と合同会社では利益配当のやり方が異なり、場合によっては、この違いを上手く活用することもできる場合があります。

(1) 株式会社
株式会社では、株主は、議決権と同様に、会社の出資割合に応じて配当を受けられます。
例えば、8割出資していれば、利益の8割を配当として受け取ることができます。

(2) 合同会社
合同会社では、利益配当の仕方を定款で自由に決めることができます。
例えば、株式会社と同様に、出資割合で配当を受けるように決めることができます。
あるいは、ベンチャー企業などは、お金はないが技術がある人をメンバーとする場合、その技術力で会社に貢献しているのであれば、出資は1割しかないが、配当の割合を5割とすることもできます。

(3) まとめ
利益配当については、合同会社の方が定款で自由に決めることができるため、合同会社の方が優れていると言えます。

しかし、実務的には役員報酬で利益を取ることが多いですし、合同会社でも、利益配当を出資金の割合とすることが多いため、あまり差はないと言えます。

【6】会社の信用度について
株式会社と合同会社で、本来的には信用力はあまり違わないはずですが、実際のところ株式会社の方が世間一般では馴染みがあり、信頼してもらいやすい面もあると言えます。
しかし、ビジネスによっては合同会社でも問題ない場合が以下のようにあります。

(1)顧客がすでにいる場合
お客様がすでにいる場合、株式会社か合同会社かという会社形態の違いはあまり問題にはならないかと思います。

(2) 美容院・飲食・その他のサービス業
美容院・飲食などのサービス業は、「○○美容院」のように店名・屋号で商売をしています。
そのため、お店などに会社名までは出さないため、株式会社である必要はなく、合同会社が最適です。

※ドリームゲートオンライン相談を参照