海外法人設立のメリットについて

公開日: 2017/03/08  最終更新日: 2019/11/21

QUESTION

海外法人設立をしたいのですが、近年では、オフショアーでのメリットを享受し難い環境になっているそうです。デラウエアー州での会社設立について、何かメリットや注意点などあればアドバイスをおねがいします。

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ANSWER

1960年代半ばまで、ケーマン、パナマ、バハマなどに会社を設立し、税金を回避する手法は話題となりましたが、現在はこういう節税法は使えなくなりました。低率課税国(タックスへブン)と見なされた場合、プールされた利益は、実際に配賦されるか否かに拘わらず、アメリカ国内所得と合算しなければならなくなったためです。

デラウエアーでの会社設立について少し紹介したいと思います。
数多くのNY証券取引所上場企業が本店所在地と定めるデラウエアー州の魅力は、州の会社法が整備されている事が第一の理由です。この州には法人税も所得税もありますが、投資会社や持ち株会社への課税を免除するという特殊な政策を採っています。そこで、多くの企業が、デラウエアー州にパテントや商標権(コピーライト)などの知的所有権のみを保有する持ち株会社や投資会社を設立、他の州で営業活動をする子会社は、デラウエアー法人に対し、ライセンス料を払う仕組みを取っています。
日本でもおもちゃの販売で有名なToysRUS社は、米国全州の小売店舗網で得た営業利益の中から、数百万ドル単位のライセンス料をデラウエアー州の本社に支払っています。また女性用品で有名なリミテッド・ブランド社は参加のビクトリア・シークレットなどの有名ブランド名使用料として数千万ドルの金をアメリカ全土にある数千の店舗から集金しているといわれています。このようにして集められた金はデラウエアーでは無税=タックスヘブンなのです。
現在ご自身のビジネスプランの中に、アメリカでの事業展開、国際的なブランドの展開、ビジネスモデルを通じてのフランチャイズ化等の構想があれば、デラウエアーでの法人設立は大きなメリットがあるでしょう。
ネット取引やコンシューマー相手のビジネスであれば、アメリカでの起業はブランドイメージやコーポレートイメージの差別化に繋がると確信します。また、アメリカで商用を目的としたE−1や日本から現地駐在員を送り込む為のL−1ビザの取得にも断然有利でしょう。自己資金と自己ファイナンスのみで会社を当面運営なさるのであれば、仕入先さえ確保されていれば、アメリカ籍だけでも運営は可能です。
いずれにせよ、長期的に見ますと(IPOの観点から)日本での法人を立ち上げ、100%子会社としてデラウエアー法人を立ち上げるのが理想です。

最後に、以下のチェック項目を起業の足がかりとしてください。

1.なぜ米国でビジネスをするのか?
2.コンセプト、製品、サービスに関しての米国市場での新規性、ユニーク性はあるか?
3.米国での市場性はあるのか?
4.米国でのターゲット顧客は誰か?
5.提供する製品やサービスは、顧客にとって利点、恩恵があるか?
6.米国市場に参入する明確なマーケティング戦略を持っているか?
7.競合相手との差別化、比較優位性はどこにあるのか?
8.企業のポテンシャル(資金、経営、技術力)はあるか?
9.米国でのマネージメントチームは、ビジネスプランを実現し得る資質・経験を有しているか?