事業の受け継ぎについて

公開日: 2019/08/05  最終更新日: 2021/03/08

QUESTION

製造関係の事業を行っています。
歳を取り、事業を受け継いでもらいたいと考えているのですが現在後継者がいません。子供たちはもう遠くに住んでおり、事業を受け継ぐ気はありません。
どうしたらいいでしょうか?

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ANSWER

将来の事業存続に悩みを抱える経営者は多く、親族に適当な後継者がいないという悩みを持つ経営者が増えています。さらに、承継問題を先送りしたまま経営を続けた結果、廃業や雇用を失うといった社会的な損失が発生しています。

日本全体の少子化傾向は、かなり前から進行しています。多くのケースで、65 歳以上の経営者の家庭の子どもは、遠く離れて暮らしているのです。また、子どもがいてもサラリーマンとして一定の役職に就いており、家業を継ぎたがらないケースもあります。

貴社でも兄弟や子供が後継者として事業を引き継ぐために、一緒に経営に参加していれば良いのですが、このケースでは難しい状態です。後継者が見つからない場合、「事業引継ぎ」という方法があります。

【事業引き継ぎ】
後継者不在の中小企業・小規模事業者の事業をM&Aにより、他の会社に引継ぐことや個人に引継ぐことで、最近は、この「事業引継ぎ」が増えています。この事業引き継ぎの相手を探すことが必要です。
事業引継ぎには、大きく分けて2種類あります。すなわち、「会社を他社へ譲渡すること」と、「起業を志す個人へ譲渡すること」です。
M&Aという言葉からマイナスイメージを持つ方もいるかもしれませんが、近年では、十分に交渉を行ったうえで円滑な事業引継ぎを実現する事例も増えてきています。

【M&Aの種類】
M&Aの種類には、株式譲渡、事業譲渡、吸収合併・吸収分割などがあります。

株式譲渡とは、譲渡する側が所有している発行済株式を譲り受ける側に売却することにより子会社になることです。経営者が変わるだけで、従業員や社外の関係が変わることはありません。会社をそのまま存続させたいときや、オーナーの株式を現金化したいときに向いています。

事業譲渡とは、譲渡する側が、その事業の全部、または一部を譲り受ける会社に売却することです。債権や債務、契約関係、雇用関係などを1つ1つ同意を取り付けていかなければいけないので、手続きが煩雑になります。ただ、複数の事業のうち一部を売却し、その他の事業は残したいというときには便利な手法です。

吸収合併は、譲渡する側のすべての資産や負債、従業員等を譲り受ける会社が吸収し、譲渡した会社は消滅します。雇用条件の調整や事務処理手続きの合意を形成するのが難しくなることが想定されます。

吸収分割は、譲渡する側が、その事業部門の全部または一部を分割した後、譲り受ける会社に継承させる手法です。労働契約承継法によって、従業員の現在の雇用がそのまま確保されるというメリットがあります。

【磨き上げ】
M&Aで事業を引き継ぐためには、「磨き上げ」という準備が必要です。売却前に自社の企業価値を把握し、高めるための取り組みです。重要な事は、企業の「強み」を作ることです。さらに企業の経営体制を整備しておくことも重要です。

【M&Aによる譲渡し】
M&Aは、中小企業・小規模事業者のM&Aを専門に手がける民間の業者や金融機関の一部、士業等専門家の一部で取り扱っていますので相談しましょう。
M&Aの専門家は、譲渡する側と譲り受け側の双方と契約する「仲介者」と、どちらか一方と契約する「アドバイザー」があります。国が実施する「事業引継ぎ支援センター」においても民間の仲介者等と連携してM&Aの支援を行っています。仲介契約とアドバイザリー契約の各特徴を理解しておきましょう。

【仲介者のメリット】
・相手方の状況が見えやすいため、交渉が円滑に進む場合が多い。
・一方の利益に偏った助言を行わない。
・中立・公平を維持できる仲介者等を選ぶ必要がある。

【アドバイザリーのメリット】
・契約者の意向を交渉に反映させやすい。
・必要な手続きのみ契約を結ぶことができる。

それぞれのメリットを踏まえて、会社の実態に合った業者を選択しましょう。
なかなか、腰が重くなりがちな事業受け渡しとなりますが、公平性を持った仲介者とWinWinで取組み、社内には機密保持を徹底すること。
そしてよい譲渡先が見つかるために「重要かつ緊急ではないこと」ながら、今から取り組んでおく必要があります。

ドリームゲートオンライン相談を参照