社員の給与を実績連動制度に移行させたい

公開日: 2017/03/03  最終更新日: 2019/11/21

QUESTION

従業員の給与体系を実績に応じて変動し、肩書きと評価=給与に反映させる制度移行を考えています。
これに当たり、反対者が出た場合は、民法の雇用契約の点から制度移行はできないのでしょうか。また、個人評価をすべて公表する要請が出た場合は公表する義務はあるのでしょうか。

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ANSWER

賃金とは労働者にとって大きな労働条件のひとつです。
裁判の判例にも、「賃金はもっとも重要な労働条件としての契約要素であり、これを労働者の合意無く一方的に不利益に変更することはできない。」、「それが賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関して実質的な不利益を及ぼすものについては、その変更条件がそのような不利益を労働者に受認させるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容である場合において、その効力を生じるものというべきである。」とされています。
つまり賃金や就業規則を変更する場合には、慎重に検討をし、労働者がかかる不利益を十分考慮し、制度説明を経た上で、労使で協議を行い同意を得るよう努めることが必要になります。

なお就業規則の変さらについての高度の必要性については、
・変更を行うべき経営上の必要性
・労働者が被る不利益の度合いの検討
・変更後の就業規則の相当性
・不利益変さらに伴う代償措置
などがあげられています。

公表の義務については、一般的に見て個人の能力評価まで公表する必要はないと考えます。
ただし賃金制度を改訂する以上、どういった基準で評価を行うのかは明確にしておかないと、労働者の同意を得られないでしょう。
会社の賃金支給の総額を減らすのではなく、本人の努力と実績で給与が変動するということをきちんと説明できれば、一概に反対意見ばかりということにはならないのではないかと思います。
以上のことをふまえた上でのご検討がないと、裁判になった場合大きなリスクを会社が負うことになってしまいますのでご注意ください。