成功する起業家は、“自計家”である

公開日: 2015/03/15  最終更新日: 2015/06/11

起業家たちの会計業務への取り組み方が変化している

起業して成功することとは、事業内容が顧客に支持され、黒字を維持・拡大し続けること。このために会計は欠かすことができない業務であり、常に変わりゆく数字や内容に目を光らせ、着実に管理していく必要がある。これは起業成功の必須条件といえよう。

では、どうやって会計業務を行うのか?
「自分は営業や顧客フォローなど、事業に専念。会計業務は税理士や会計士などの専門家にアウトソーシングして、毎月報告を聞く」

起業雑誌などを読んで、こんなイメージを持つ人も多いかもしれない。しかし、ドリームゲート会員の動向をみていると、このモデルは確実に変わってきているようだ。

■グラフについて・・・このグラフは、「開業後の会計処理方法を教えてください」というアンケート設問の結果を示したものである。

黒字を達成している約7割の起業家が、自分で会計業務を行っている

自分で会計業務を行う経営者のことをドリームゲートでは“自計家”と呼ぶ。もちろん、起業当初から自社で経理スタッフを雇うケースはある。しかし、その場合でも、経営者が会計の仕組みを熟知していれば、彼も“自計家”である。

上の小さな円グラフは、起業して現在、起業家に自計家であるかどうかを聞いた結果である。黒字化している起業家は、起業「3年未満」「3年以上」ともに、自計家率が70ポイントを超えている。創業時から会計ソフトを使いこなしたり、事業が軌道に乗ったと思われる3年後も自分で帳簿をつけているのだ。

また、同じアンケートを健全企業、非健全化企業に分けて分析したところ、健全企業の自計家率が76ポイント、非健全企業が62ポイントと、14ポイントの差が出ている。いずれの結果を見ても、成功している起業家には、自分で会計業務を行っている自計家が多いということがわかる。では、なぜ今、“自計家”が増えているのだろうか?

会計ソフトの低価格化・ユーザビリティーの向上が理由

まず、第一に考えられるのは、会計ソフトの低価格化とユーザビリティーの向上だ。数年前までは会計ソフトは言ってみれば“プロの道具”だった。しかし、実際にソフトを触ってみると、普通にパソコンが使える人なら十分に操れるほどの進化を遂げている。

また、表計算ソフトを使い慣れている人が増えていること(今や、マイクロソフト社の表計算ソフト・エクセルは、ビジネスマンの必須スキルといえるほどになった)も大きな理由だが、表計算ソフトの場合、勘定科目など会計に必要な項目を自分で組み込むなどのカスタマイズが必要だ。

その点、当然だが、会計ソフトは最初から会計処理業務を目的につくられているので、その手間は不要。それが、今回のアンケート結果にも反映されているのだろう。どの円グラフも、会計ソフト利用者はエクセル利用者の3~6倍となっている。

税理士を使いこなすことが資金繰りのカギ

成功している起業家は、入力・記帳業務を自分で行っていることが調査から明らかになった。しかし、だからといって会計士や税理士との付き合いが不用になるわけではない。

変化する税制や決算申告などプロに任せたい重要な業務もあれば、普段の業務の中で相談したいこともある。しかし、できるものなら会計士や税理士への報酬は抑えたいところ。そこでますます“自計家”がおススメとなる。

小規模事業であれば、記帳業務は十分自分でできる。そこで税理士への顧問料を抑え、月次決算書診断や定期コンサルティングなど、より高度なアドバイスなどを依頼するのだ。アンケートの結果、多くの起業家が資金繰りで苦労をした経験があるようだが、こういった時にこそ、専門家のアドバイスを役立てたい。

■グラフについて・・・このグラフは、「開業後に困ったことはなんですか」というアンケート設問の結果を示したものである。