エステサロンを成功に導く創業計画書の記入例を融資のプロが徹底解説
独立開業は、あなたのエステティシャンとしての経験と、美容への熱い想いの結晶です。しかし、独立開業という新たなステージに立つことに、期待とともに不安も感じているのではないでしょうか?
とくに、金融や融資の知識がないと、創業計画書の作成は大きな壁に思えるかもしれません。
当記事では、エステサロン開業に必要な創業計画書の書き方から、金融機関を納得させるためのコツ、よくある質問までを融資のプロの視点からわかりやすく解説します。
当記事を読み終えるころには、創業計画書への不安は解消され、自信を持って融資に臨めるようになっているはずです。さあ、一緒に夢のエステサロン開業を実現させましょう!
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元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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目次
1.創業計画書とは
創業計画書は、エステサロン開業の羅針盤となります。 創業計画書は、あなたのエステサロンの未来を描いた地図であり、金融機関への道案内となる重要な書類です。
1)創業計画書の役割と目的
創業計画書は、あなたのエステサロンの事業内容、将来的なビジョン、収益目標などを具体的に示し、事業の全体像を明確にするためのものです。
創業計画書は、あなた自身にとって、事業を成功に導くための羅針盤となるだけでなく、金融機関に融資を依頼する際に、あなたの事業の持続可能性と将来性をアピールするための重要なツールとなります。
参考:創業計画書とは
2)創業計画書と事業計画書の違い
創業計画書と事業計画書は、どちらも事業の計画をまとめた書類ですが、作成するタイミングが異なります。
創業計画書は、まさにこれから事業をはじめる際に作成するものであり、事業計画書は、事業をすでに開始しているあるいは事業を拡大する際になどに作成するものです。
動画埋め込み:日本政策金融公庫の創業融資が大進化【元公庫融資課長が解説】
3)創業融資の重要性
エステサロンを開業するにあたって、初期費用や運転資金を確保するために、創業融資は非常に重要な役割を果たしますが、事業の実績がない創業間もない時期は、金融機関からの融資を受けるのが難しい場合があります。しかし、創業融資であれば、創業計画書の内容や将来性に着目して融資を受けられる可能性が高いため、積極的に活用するべきです。
開業して1年以上経過すると、実績に対して審査され、十分な利益が出ていない場合は非常にハードルが高くなってしまうため注意が必要です。
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2.エステサロンの創業計画書の書き方と記入例
想いを形にする創業計画書とはどのようなものでしょうか。 ここでは、エステサロンの創業計画書の具体的な書き方と記入例をご紹介します。
1)創業の動機
なぜエステサロンを開業しようと思ったのか、あなたの熱い想いを伝える部分です。たとえば、過去の肌トラブルの経験から美容に興味を持ったこと、エステティシャンとしてお客様を笑顔にすることに喜びを感じたことなどが動機として考えられます。具体的なエピソードを交えながら、あなたの開業への情熱を表現しましょう。
単に「エステが好きだから」といった抽象的な表現ではなく、以下のような具体的な内容を盛りこむようにしましょう。
これまでの経験 | エステティシャンとしての経験を通して、どのような課題を感じ、どのように解決したいと思ったのか |
将来のビジョン | どのようなエステサロンを作り、お客様にどのような価値を提供したいのか |
社会への貢献 | 地域社会にどのように貢献したいのか |
参考:日本政策金融公庫の創業計画書「創業の動機」欄のポイント
2)経営者の略歴等
あなたのこれまでの経験やスキルは、エステサロンの成功を左右する重要な要素です。エステティシャンとしての経験年数、顧客対応、技術力、マネジメント経験など、自分の強みを具体的にアピールしましょう。
エステシャンになるのに国家資格は不要です。しかし、「日本エステティック協会認定資格」「CIDESCO(シデスコ)国際資格」「日本エステティック業協会(AEA)資格」など関連する資格は多数ありますので、取得している資格があれば必ず記載しましょう。
参考:日本政策金融公庫の創業計画書【経営者の略歴等】の書き方と記入例
3)取扱商品・サービス
エステサロンの事業内容を具体的に説明する部分です。自分の事業が成功する可能性の高さを、金融機関の担当者にストレートに伝える必要があります。
①取扱商品・サービスの内容
フェイシャルエステ、ボディエステ、リラクゼーションなど、提供するサービスの詳細を記載します。使用する化粧品や機器についても具体的に説明することで、顧客にどのような価値を提供できるのかを明確に示しましょう。
たとえば、以下のような内容を記載します。
フェイシャルエステ | 毛穴ケア、美白ケア、アンチエイジングケアなど、具体的なメニュー内容 |
ボディエステ | 痩身、リンパマッサージ、アロママッサージなど、具体的なメニュー内容 |
リラクゼーション | アロママッサージ、アーユルヴェーダ、ヘッドスパなど、施術の特徴やメニュー内容 |
そのほか | ブライダルエステ、訪問エステなど |
②セールスポイント
他社と差別化を図り、あなたのサロンならではの強みをアピールしましょう。
●高品質な製品の使用
欧州のオーガニックコスメや、最新美容機器の導入など、顧客に提供する価値を具体的に示しましょう。
「フランスのオーガニック認証機関ECOCERT(エスサート)認証を取得した、厳選されたオーガニックコスメを使用します。」
「最新の美容機器を導入し、効果の高い施術を提供します。」
●特別な空間の提供
完全個室のプライベート空間、ラグジュアリーな内装など、顧客がリラックスできる空間を演出していることをアピールしましょう。
「完全個室のプライベート空間で、お客様にゆったりとリラックスしていただけます。」
「白を基調とした清潔感のある内装で、落ち着いた雰囲気を演出しています。」
●高い技術力
国際資格を保有するエステティシャンによる施術、独自の技術など、高い技術力をアピールしましょう。
「CIDESCO国際資格を保有するエステティシャンが、お客様一人ひとりに合わせた施術を提供いたします。」
「独自のハンドマッサージ技術で、心身のリラックスを促します。」
●地域密着型
地域の顧客に特化したサービス、リーズナブルな価格設定など、地域密着型のサロンとしての強みをアピールしましょう。
「地域のお客様に愛されるサロンを目指し、地域に密着したサービスを提供します。」
「リーズナブルな価格設定で、多くのお客様にサービスを体験していただけます。」
③販売ターゲット ・販売戦略
どのような顧客層をターゲットにしているのかを明確にします。分かりやすくするため、メインターゲットをひとつに絞るのが望ましいでしょう。
・主婦層(30代~50代)
・働く女性(20代~40代)
・肌トラブルやエイジングケアを重視する女性(全世代)
・美容に関心が高く、自分磨きを重視する女性(30代~50代)
・品川区在住、または品川区に通勤・通学する女性(全世代)
販売戦略としては、以下のような例が挙げられます。
地域密着型のプロモーション | 地域情報誌への広告掲載、近隣住民へのチラシ配布、地域イベントへの参加など |
SNSマーケティング | Instagram、Xなどを活用した情報発信、インフルエンサーとのコラボレーションなど |
初回限定キャンペーン | 新規顧客獲得のための割引キャンペーン、お試しコースの設定など |
リピーター促進施策 | 回数券、ポイントカード、紹介キャンペーン、バースデー特典など |
オンライン予約システムの導入 | 24時間いつでも予約可能なオンライン予約システムを導入することで、顧客の利便性を向上 |
④競合・市場など企業を取り巻く環境
美容業界はトレンドの変化が激しい業界なので、競合との差別化を図るためには、市場や競合に関する分析が不可欠です。
●市場分析
美容業界のトレンド、顧客ニーズの変化などを把握し、将来的な展望を踏まえた事業計画を立てましょう。
「美容大国韓国のトレンドをおさえ、若い女性に合わせた施術をおこないます」
「美容業界では、オーガニックコスメやパーソナルケアへの関心が高まっており、当サロンではこれらのニーズに対応したサービスを提供することで、顧客を獲得していきます。」
「近年、男性の美容意識が高まっており、男性向けのメニューを導入することで、新たな顧客層を開拓していきます。」
●競合分析
近隣にあるエステサロンのサービス内容、価格帯、顧客層などを分析し、自社の強みを明確化しましょう。
「近隣にない、仕事帰りに男性が気軽に立ち寄れるエステサービスを提供します。」
「近隣には、低価格帯のサロンが多いため、当サロンでは高品質な製品と高い技術力で差別化を図ります。」
「競合サロンでは提供していない、最新の美容機器を導入することで、顧客のニーズに対応します。」
4)取引先・取引関係等
すでに顧客がいることは非常に有利です。独立後に何人の顧客から予約をもらっているか、など具体的な成約見込みもあるとよいでしょう。
仕入先、外注先など、事業に関わる取引先との関係性を明確にしましょう。信頼できるパートナーとの連携は、事業の安定化に繋がります。
5)従業員
売り上げを高めるには従業員が必要です。しかし、コストがかかるので、収支バランスをよく考えて計画しましょう。
創業者1人で開業するからといって融資で不利になることはないですが、現実的な事業見通しを立てることが重要です。
6)お借入れの状況
現在、借入れがある場合は、必ずすべて記載します。隠していても、信用調査で発覚しますので、必ずすべて正確に記載しましょう。
記載例)
金融機関名:〇〇銀行◯◯支店
借入金額と残高:〇〇万円、残高〇〇万円
借入期間:〇〇年
金利:〇〇%
年間返済額:〇〇万円
7)必要な資金と調達方法
開業に必要な資金とその調達方法について具体的に記載しましょう。自己資金、融資、助成金など、それぞれの金額と内訳を明確にする必要があります。
創業に必要な総投資額額の20~30%程度の自己資金を確保することが望ましくなります。
8)事業の見通し
将来的な売上目標、収益目標などを具体的に示しましょう。「平均客単価×客数」といったシンプルな計算式で、売上目標の根拠を明確にすると、より説得力が増します。
9)自由記述欄
上記以外でアピールしたいこと、補足説明などがあれば、自由に記述しましょう。お客様に寄り添ったサービスを提供し地域社会に貢献したいという想いや、将来的には、トータルビューティーサロンを展開したいという希望を記載してもよいでしょう。
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3.創業計画書に説得力を持たせる3つのコツ
ここでは、創業計画書に説得力を持たせるための3つのコツをご紹介します。
1)なるべく代表者自身が書く
創業計画書は、あなた自身の言葉で、事業への想いやビジョンを伝えることが重要です。コンサルタントなどのサポートを受けるのはよいですが、可能な限り自分で記載しましょう。自ら書くことで、事業の内容や方向性を整理でき、財務を常に意識する習慣がつきます。
コンサルタントへの丸投げを嫌う融資担当者も多くなっています。面談時にコンサルタントは基本的に同席できないので、自分でしっかりと説明できるようにしておきましょう。
2)客観的なデータを元に書く
売上目標や収益目標は、根拠となる客観的なデータに基づいて設定しましょう。市場調査、競合分析、顧客アンケートなどのデータを用いることで、実現可能性の高い事業計画を立てることができます。熱意だけの事業計画書は、信ぴょう性が低くなりますので注意が必要です。
3)すべて正確な情報を書く
虚偽の情報や曖昧な表現は避け、正確な情報を記載しましょう。金融機関は、提出された情報に基づいて融資の可否を判断するため、信頼関係を築くためにも、誠実な対応が求められます。虚偽の情報は、信用情報の調査で絶対に発覚しますので注意しましょう。
4.創業計画書に関するQ&A
ここでは、疑問の解消につながる創業計画書作成のQ&Aを紹介します。 創業計画書の作成に関するよくある質問をまとめているため、参考としてください。
1)テンプレートの入手場所は?
日本政策金融公庫や、商工会議所などのホームページから、創業計画書のテンプレートをダウンロードできます。融資希望の金融機関のホームページも確認してみましょう。
2)手書きでもよい?
手書きでも問題ありませんが、読みやすいように丁寧に書くようにしましょう。ただし、何度も書きなおす可能性が高いため、最初からパソコン(Excel)で作成できる環境にしておいた方が、圧倒的に手間が省けます。
3)印刷サイズは?
A4サイズで印刷するのが一般的です。ただし、日本政策金融公庫の創業計画書は、A3サイズ1枚のものになります。金融機関ごとに様式が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
4)フォントの種類やサイズは?
明朝体やゴシック体など、読みやすいフォントを選びましょう。サイズは10~12ポイント程度が適切です。
5)税込みで書く?
とくに指定がなければ、どちらでもよいですが、統一して記載しましょう。金融機関ごとに異なりますので、事前に確認しておきましょう。
6)何枚くらいが適切?
日本政策金融公庫は、創業計画書1枚+補足資料2~3枚程度が一般的です。事業内容や融資希望額にもよりますが、多くても10枚程度が目安となります。
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5.創業計画書とあわせて提出すべき資料
創業計画書だけでは伝えきれない情報は、補足資料として添付しましょう。
1)エステサロン関連の許認可・資格の証明書
エステサロンを開業する際には、サービス内容により、保健所への届出が必要となる場合があります。また、特定の施術をおこなう場合は、資格が必要となる場合もあります。必要な許認可や資格を取得していることを証明する書類を添付しましょう。
2)月別収支計画書・資金繰り計画書
創業計画書に記載した事業の見通しを、月単位で具体的に示した資料です。毎月の収入と支出を予測することで、資金繰りの状況を把握できます。月別収支計画書は、必須書類と考えておきましょう。
3)自社製品・サービスの詳細資料
提供するサービスの詳細を、写真や図表などを用いてわかりやすく説明する資料です。ホームページやSNS、チラシなどを作成している場合には、コピーなどを添付するとよいでしょう。
4)市場調査や競合分析の資料
市場の現状や、競合に関する情報をまとめた資料です。グラフや表などを用いることで、客観的なデータに基づいた分析結果を示すことができます。
6.エステサロン開業の事業計画書作成なら「ドリームゲート」がおすすめ
当記事では、エステサロンを開業するための創業計画書の書き方について解説しました。創業計画書は、あなたの夢を実現するための第一歩であり、金融機関から融資を受けるための重要なツールです。
しかし、はじめて創業計画書を作成する方にとっては「どこから手をつければいいのか」「どのように書けばいいのか」と、迷ってしまうことも多いでしょう。
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元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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