フォロワー数を信用に変えるには? SNS起業で融資を成功させる方法

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/11/30 

現代において、SNSを主戦場とする「SNS起業」は、手軽にはじめられるビジネスとして急速に拡大しています。しかし、事業拡大や安定経営を見据えると、資金調達の課題は避けて通れません。とくに創業融資の場面で、「フォロワー数」をどのように「信用」に変え、融資を成功させるかという点は、多くの起業家が抱える疑問でしょう。

そこで本記事では、SNS起業家が創業融資を獲得するための具体的な戦略とポイントをくわしく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.そもそも開業資金とは

事業をはじめるにあたって必要となる開業資金は、大きく分けて「運転資金」と「設備資金」の2種類が存在します。SNS起業のようなネットビジネスにおいては、その特性上、一般的なビジネスとは資金の考え方が異なるため、融資を検討する際にはその違いを正しく理解しておく必要があります。

1)運転資金

広告宣伝費、人件費、事務所の家賃、仕入れ費用などがこれに該当します。SNS起業の場合、仕入れや売掛金が発生しにくいビジネスモデルが多く、金融機関から見て資金使途が曖昧になりがちです。そのため、基本的にネットビジネスは、ほかの業種と比較して融資を受けづらいという認識を持つ必要があります。

参考:創業融資の運転資金は何か月分が妥当か?【元日本公庫融資課長が監修】

2)設備資金

事業で使用する設備や備品を購入するための資金です。具体的には、パソコン、高性能なカメラ、編集用の機材などが挙げられます。SNS起業においては、高額な設備投資よりも、事業に必要なツールの初期導入費用が中心となるでしょう。

3)法人設立費用

個人事業主ではなく法人として起業する場合、登記費用や司法書士への報酬など、会社設立にかかる費用も開業資金に含まれます。

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2.SNS起業で融資は必要か

SNS起業は、ローコストでスタートできる点が最大の魅力ですが、事業を次のフェーズに進めるためには資金調達が鍵となります。ここでは、SNS起業の費用内訳を整理し、なぜそれでも創業融資を受けるべきなのかを解説します。

1)そもそもSNS起業に融資は必要か

SNSを基盤とするビジネスは、初期費用が極めて少なく済むケースが多いです。極端にいえば、高性能なスマートフォンとインターネット環境さえあれば、コンテンツ制作から集客、販売までを1人で完結させることも可能です。そのため、ネットビジネスのなかでも、資金が少なくはじめられる点が特徴となっています。

そのため、「融資は不要」と考える起業家も少なくありません。しかし、事業を安定させ、拡大させるためには、運転資金を確保しておくことが有効となります。

2)SNS起業の費用内訳

SNS起業の主な費用は、以下のようなものが挙げられます。

  • コンテンツ制作ツール(高性能PC、カメラ、編集ソフト)
  • 広告宣伝費(SNS広告、インフルエンサーへの依頼)
  • 外部専門家への報酬(税理士、コンサルタント)
  • 自分自身の生活費(売上が安定するまでの期間)

収益化を目指す段階では、広告による集客が重要になるため、まとまった広告費用を確保しておくことが事業の成否を分けます。

3)それでも創業融資は受けた方がよい

創業融資は、実績が乏しい創業期であっても、無担保・無保証で受けられる貴重な資金調達手段です。SNS起業の場合、収益モデルが確立するまでに時間がかかることが多くなっています。また、売掛金がなくても「手元資金」を分厚くしておくことで、急な広告費の増大や、予想外のトラブルにも余裕を持って対応できるようになります。

資金繰りの不安を解消し、長期的に安定した経営基盤を築くためにも、創業融資は積極的に活用を検討すべきです。資金の余裕は、新しい施策への挑戦を可能にし、事業成長を加速させる大きな推進力となるでしょう。

3.SNS起業で創業融資を受ける方法

SNS起業で創業融資を成功させるためには、どの金融機関を選ぶか、そしてどのような手順を踏むかが非常に重要となります。ここでは、創業期に利用しやすい金融機関の特徴と、それぞれの活用法について具体的に説明します。

1)日本政策金融公庫

創業融資を検討するなら、日本政策金融公庫(日本公庫)がもっとも有力な選択肢です。国の政策に基づき、起業家支援を目的としているため、実績が乏しい創業期であっても比較的融資を受けやすい環境が整っています。日本公庫の特筆すべき点は、一定の条件を満たせば無担保・無保証で融資を受けられる点です。

これは、経営者が個人保証を負うリスクを避けられるため、はじめての融資としては圧倒的におすすめできます。また、金利もほかの金融機関と比較して低く設定されていることが多いのもメリットです。まずは、日本公庫の創業融資制度の要件を確認し、事業計画書の作成から着手するのが成功への近道となるでしょう。

2)信用金庫

信用金庫は、地域経済の活性化を目的とした相互扶助的な金融機関であり、地場産業との結びつきが非常に強いのが特徴です。日本公庫よりも融資のハードルはやや高い傾向にあり、創業期における最初の取引では信用保証協会付き融資となる可能性が高いでしょう。

また、信用金庫の担当者は、地域に根差したビジネスには理解が深い反面、ネットビジネスやSNSといった新しい業態に明るくない可能性があるので、事業内容を分かりやすく説明する工夫が必要です。日本公庫の融資の振込先として信用金庫の口座を開設し、入出金の実績を積み重ねてから融資を申し込むというステップを踏むことも、その後の融資を円滑に進めるうえで有効です。

参考:創業融資における信用保証協会の役割とは?|資金調達のプロが公庫と徹底比較

3)地銀・メガバンク

地方銀行やメガバンクは、一般的に創業融資に対して非常に慎重であり、創業期の実績がない状態での融資獲得はほぼ不可能と考えてよいでしょう。これらの大手金融機関は、すでに安定した売上実績と信用を持つ企業を主な融資対象としています。

したがって、SNS起業の創業期においては、日本公庫や信用金庫での融資実績を作り、事業が軌道に乗ってから、より大きな融資を依頼する段階で地銀やメガバンクを検討するのが現実的です。

4)ビジネスローン

近年、ネットビジネスの増加にともない、ネットバンクを中心にビジネスローンを提供する金融機関が増えています。これは、迅速な審査と手続きの簡便さが魅力であり、すぐに資金が必要な場合には選択肢のひとつとなります。

しかし、ビジネスローンは日本公庫などの制度融資と比較して金利が非常に高いため、利用には細心の注意が必要です。一時的な資金繰りのためなど、使い道を限定し、返済計画を綿密に立てたうえで利用すべきであり、創業期の主要な資金調達手段として安易に選択することは避けるべきでしょう。事業の安定を目指すなら、まずは低金利の公的融資に注力することが賢明です。

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4.SNS起業で創業融資を成功させるポイント

SNS起業家が融資を成功させるためには、フォロワー数といった「数字」を単なる人気度ではなく、「将来の収益性」を示す具体的な根拠として提示することが重要です。ここでは、融資の審査を有利に進めるための具体的なポイントを解説します。

1)フォロワー数は融資の決定要因ではない

勘違いされやすい点ですが、フォロワー数だけで融資が決定されることはありません。金融機関がもっとも重視するのは、事業の「返済能力」であり、フォロワー数はあくまでそのひとつの要素に過ぎません。

創業融資の段階では実績がないことは織り込み済みであるため、その点を心配する必要はありません。重要なのは、フォロワーをどのようにして顧客に変え、確実に収益を上げるのか、その実現可能性の高い具体的な計画を提示することです。

2)担当者がSNSにくわしくないことを前提にする

多くの金融機関の担当者は、ネットビジネスやSNS特有の指標に明るくないことを前提に対応を準備すべきです。そのため、「フォロワーが多いから儲かる」といった抽象的な説明は通用しません。

代わりに、以下の具体的な数値を分かりやすい資料にまとめて提示します。

①フォロワー属性

年齢層、地域、興味関心など、顧客となりうるターゲット層との適合度

②データ

エンゲージメント率、クリック率、CV(コンバージョン)率など、フォロワーの「購買行動」につながる具体的な数値

③実績

SNSからの売上・予約数(もしあれば)、タイアップ実績、過去の小規模な収益化の成功事例

これらの数値は、SNSの集客力を具体的な収益予測に落とし込むための、客観的な根拠となります。

3)ビジネスモデルを明確にする

SNSはあくまで集客ツールであり、SNSだけではビジネスは成立しません。収益をどのように生み出すのか、そのビジネスモデルを明確にすることが不可欠です。

①広告モデル

企業からの広告収入やタイアップ案件

②ECモデル

SNSで集客し、外部ECサイトで商品を販売

③コンサルティング/教育モデル

有料コミュニティ運営、オンラインセミナー、個人コンサルティング

「集客したフォロワーを、どのプラットフォームで、どのような対価と引き換えに、どれだけの収益を生み出すか」という流れを、担当者が一目で理解できるよう明確に説明することが、融資成功の鍵を握ります。

5.創業融資で大切なこと

創業融資の審査を成功させるためには、事業計画書の質を高めることだけでなく、外部の専門家の力を借りたり、自己資金を充実させたりといった、戦略的な準備が不可欠です。

1)創業融資の実績がある専門家からの紹介を受ける

創業融資の実績が豊富な税理士や中小企業診断士などの専門家からの紹介は、融資の成功率を高める可能性があります。税理士は事業計画書のブラッシュアップを手伝うだけではありません。金融機関の担当者への紹介や面談のシミュレーションを通じて、起業家の信用度を担保する役割も果たしてくれるため、信頼性の高い事業として審査に臨むことができるようになります。

2)自己資金比率を高める

金融機関がもっとも注目するのは、起業家がその事業にどれだけ本気であるかを示す「自己資金」の額です。総必要金額に対する自己資金の割合、自己資金比率は30%以上が理想的とされています。自己資金が多ければ多いほど、事業へのコミットメントとリスクを自分で負う姿勢を示すことができ、審査において非常に有利に働きます。

3)開業前〜開業3カ月以内に申請する

創業融資は、基本的に実績が出る前の段階を支援するための制度です。そのため、開業の準備期間から開業後3カ月以内といった、早い段階での申請が成功のポイントとなります。事業が始まってしまうと実績がないことの説明が難しくなるため、融資を検討しているのであれば、事業計画が固まった段階で直ちに申請に着手すべきです。

6.SNS起業は分かりやすい事業計画書の作成が必要

SNS起業という新しいビジネスモデルで融資を成功させるためには、その収益構造を金融機関の担当者が一目で理解できる分かりやすい事業計画書を作成することがもっとも重要です。フォロワー数という無形の資産を、具体的な売上予測と結びつける論理的な説明が求められます。

事業計画書の作成に不慣れな方は、サポートツールを活用するのが有効です。ドリームゲートの事業計画書作成ツールは、必要な項目が網羅されており、専門的な視点から計画を整理するうえで非常に役立ちます。この計画書を通じて、単なる人気者ではなく、事業を成功させる「経営者」としての資質を金融機関に示しましょう。

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上野 光夫(うえの みつお)
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