起業前に準備すべきこと20選を連続起業家が経験をふまえて徹底紹介

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/08/02 

起業を志す皆様、新たな挑戦への第一歩を踏み出す準備はできていますか。起業は多くの人にとって夢であり、大きな目標となるでしょう。しかし、その実現には情熱だけでなく、周到な準備が不可欠となります。

本記事では、連続起業家としての経験に基づき、起業前に準備すべき具体的な項目から、起業準備中に意識すべき心構え、さらには適切な相談相手の選び方まで、多岐にわたるアドバイスを網羅的にご紹介いたします。本記事が、皆様の起業を成功に導くための一助となれば幸いです。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.起業前に準備すべきもの

起業を具体的に検討する段階に入ったら、まずは「形」から入る準備が重要になります。必要なものを漏れなくそろえることで、事業開始後の円滑な運営が可能となるでしょう。

ここで紹介する項目は、事業の成功を左右する基盤となるものばかりです。一つひとつ丁寧に進めていきましょう。

参考:【開業準備リスト】を個人事業主と会社設立に分けて完全解説

1)事業資金

事業をはじめるうえで、資金はまさに血液のような存在であり、その重要性はいうまでもありません。どんなに素晴らしいアイデアや計画があっても、それを具現化するための資金がなければ、事業は絵に描いた餅で終わってしまいます。

運転資金、設備投資、広告宣伝費など、事業の種類や規模によって必要な資金は大きく異なりますが、余裕を持った資金計画を立てることが不可欠です。自己資金だけでなく、後述する創業融資や出資なども視野に入れ、多角的に資金調達を検討すべきでしょう。

2)事業計画書

事業計画書は、単なる資金調達のための書類ではありません。これは、あなたの事業の全体像を明確にし、具体的な戦略を練り上げるための羅針盤となるものです。誰にどのような価値を提供するのか、どのように競合と差別化し、収益化を図るのか、といった問いに具体的に答えることで、事業の実現可能性を高められます。

事業計画書の作成が困難だと感じるのであれば、それはまだ起業の準備が整っていない証拠かもしれません。練り上げられた事業計画書は、あなた自身の思考を整理するだけでなく、周囲からの理解や協力を得るうえでも極めて重要な役割を果たすことになります。

3)創業融資

事業を開始する前に、創業融資を検討することは非常に賢明な選択です。創業期であれば、事業実績がない状態でも融資が受けやすいため、その後の事業運営において資金繰りの安定に大きく貢献します。

とくに日本政策金融公庫など、創業支援に積極的な金融機関は、創業期の企業に対して有利な条件での融資を提供しているケースも少なくありません。資金に余裕がある場合でも、将来的な事業拡大を見据え、この段階で融資枠を確保しておくことは、経営の選択肢を広げるうえで有益となるでしょう。

4)商標

会社名やサービス名を決定したら、それがすでに他社によって商標登録されていないかを確認し、必要であれば自身の商標登録を検討することが極めて重要です。商標権は、自社のブランドや信用を守るための強力な武器となり、これを怠ったまま事業を開始すると、将来的に商標権侵害で訴訟問題に発展するリスクを抱えることになります。

専門家である弁理士に相談し、事前に調査と手続きを進めておくことで、安心して事業に専念できる環境を整えることが可能です。

5)印鑑

事業をおこなううえで、実印、銀行印、角印の3種類の印鑑は必ず用意すべきです。実印は法務局への届け出や不動産契約など、重要な局面で使用するものです。

銀行印は金融機関との取引に不可欠であり、角印は領収書や請求書など日常的な書類に押印する際に利用します。それぞれ用途が異なるため、混同しないように管理し、セキュリティ面にも十分に配慮することが求められます。

6)名刺

名刺は、あなたの事業とあなた自身を象徴する小さな広告塔です。起業前から準備しておけば、ビジネスチャンスを逃すことなく、出会った人々との円滑なコミュニケーションを可能にします。デザインや記載する情報には、事業内容やビジョンが明確に伝わるよう工夫を凝らし、プロフェッショナルな印象を与えるものを作成しましょう。

7)仕事場所

事業活動の中心となる仕事場所の確保も、起業準備において重要な要素のひとつです。自宅での開業、コワーキングスペースの利用、あるいはオフィスを借りるなど、事業の内容や規模、予算に応じて最適な選択肢を検討する必要があります。集中して業務に取り組める環境を整えることは、生産性の向上に直結するでしょう。

8)ホームページ

現代において、ホームページは事業の顔ともいえる存在です。顧客への情報提供、信頼性の構築、そして集客の拠点として、その役割は極めて大きくなっています。事業内容を効果的に伝え、顧客が求める情報に容易にアクセスできるよう、ユーザビリティに配慮したホームページを構築することが求められます。

9)クレジットカード

起業後には法人名義のクレジットカードが作成可能ですが、起業前でもすでに保有している個人名義のクレジットカードを利用することは可能です。起業の準備段階では経費の支払いも多くなるため、クレジットカードを活用することでキャッシュフローを円滑にし、ポイント還元などのメリットも享受できます。

10)法人の種類

事業を開始するにあたっては、株式会社や合同会社といった法人形態か、個人事業主のいずれの形態を選択する必要があります。合同会社は株式会社と比較して設立費用がおさえられるという利点がありますが、社会的な信用や銀行融資の面で不利になる可能性も考慮すべきです。

それぞれのメリット・デメリットを十分に理解し、自身の事業計画や将来の展望にもっとも合致する形態を慎重に検討することが、長期的な事業の安定に繋がります。

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2.起業準備中に意識すべきこと

起業を成功に導くためには、単に物理的な準備を整えるだけでなく、精神的な側面や経営に対する意識を磨くことも不可欠です。ここでは、これまでの経験を通じてとくに重要だと感じた「意識すべきこと」についてくわしく解説いたします。

1)コスト管理を徹底する

創業期は、事業の基盤を築くうえでもっとも重要な時期であり、この段階でのコスト管理は事業の命運を分けるといっても過言ではありません。徹底的に経費をおさえる意識を持ちましょう。

とくに人件費は固定費として大きな負担となるため、すぐに正社員を採用するのではなく、まずは業務委託や非正規雇用を積極的に活用し、柔軟な組織体制を構築することをおすすめします。不要な出費を削減し、限られた資金を最大限に活用することで、事業の持続可能性を高めることができるでしょう。

2)営業・マーケティングの重要性を認識する

起業がうまくいかない最大の理由は、「資金不足」または「売上不振」のいずれかに集約されることが少なくありません。もちろん、質の高いサービスや製品を生み出すことは重要ですが、それらを顧客に届け、「売る」ことの重要性を決して忘れてはなりません。

事業を軌道に乗せるためには、効果的な営業戦略やマーケティング戦略が不可欠です。Webマーケティング、コピーライティング、セールススキルなど、売上を創出するための知識やスキルを積極的に学び、実践していくことが、事業を成長させるための鍵となるはずです。

参考:起業Q&A 起業に関するみんなの質問投稿サービス

3)家族の理解を得る

起業は、想像以上に精神的・時間的な負担が大きいものです。そのため、家族の理解と協力は、起業を成功させるうえで不可欠な要素といえます。家族に起業への想いや事業計画をしっかりと伝え、サポートを得られるよう努めましょう。

ただし、家族からの過度なプレッシャーが負担になる場合は、無理にすべての人に伝える必要はありません。自分自身が安心して事業に打ち込める環境を整えることが大切です。

4)起業じたいを目的化しない

起業することじたいが目的になってしまうと、本来の事業目標を見失ってしまう可能性があります。あくまで起業は、あなたの目標を達成するための手段であると認識すべきです。

何を解決したいのか、どのような価値を提供したいのか、その目的を明確にすることで、起業の時期や事業内容の方向性が定まり、ブレない経営が可能になるでしょう。

5)条件が合えば失業手当を受け取る

会社を退職して起業する際、条件を満たしていれば失業手当を受け取れる場合があります。これは、起業準備期間中の生活費を補填するうえで非常に有効な手段となり得ます。失業手当の受給資格や手続きについて事前に確認し、活用できる制度は最大限に利用することが賢明です。

6)節税のことは考えない

会社の規模が小さい創業期から過度に節税を意識することは、かえって経営リスクを高める可能性があります。この時期は、まずは売上を高め、利益をしっかり出すことに集中すべきです。

生じた利益による法人税の支払いは、会社の成長の証でもあります。利益を確保し、純資産を増やしていくことが、将来的な銀行融資を受けるうえでも有利に働き、事業の安定性を高めることに繋がるでしょう。

7)財務・税務の勉強をする

納税事務じたいは税理士に外注しても問題ありませんが、決算書や試算表など、財務諸表の最低限の知識は身につけておくべきです。これらの書類は、会社の健康状態を示す重要な指標であり、自社の経営状況を正確に把握するために不可欠です。税理士との円滑なコミュニケーションを図るうえでも、基本的な知識を持つことは大いに役立つでしょう。

8)コアメンバーは気の知れた仲間から探す

事業を立ち上げる際、信頼できるコアメンバーの存在は非常に重要です。とくに創業期は、不確定要素が多く、困難に直面することも少なくありません。そのような状況下で、気の知れた仲間や信頼できるビジネスパートナーがいれば、互いに支え合い、困難を乗り越えることができるでしょう。

9)自分の強みを見つめ直す

起業する事業において、あなたが他人よりも相対的に優れている点は何でしょうか。自分の強みを深く見つめ直し、その強みを最大限に活かせる分野に集中することが、成功への近道となります。弱点を補強するよりも、強みをさらに伸ばすことで、競合との差別化を図り、独自のポジションを確立できるでしょう。

10)精神的な強さを身につける

起業は、常に順風満帆とは限りません。予期せぬ困難や挫折に直面することも多く、精神的な負担がつきものです。このような状況を乗り越えるためには、諦めない強い精神力と、課題に取り組む前向きな姿勢が不可欠です。

日ごろからストレスマネジメントを意識し、精神的な強さを培っておくことが、長期的な事業継続の基盤となるでしょう。

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3.起業準備中におすすめの相談相手

起業は孤独な道のりではありません。適切な相談相手を見つけることで、あなたの事業はより着実に、そして力強く前進するはずです。ここでは、起業準備中にぜひ活用してほしい相談先をいくつかご紹介いたします。

1)先輩起業家

すでに事業を軌道に乗せている先輩起業家からのアドバイスは、何よりも価値のある情報源となるでしょう。彼らの実体験に基づいた成功談や失敗談は、書籍やインターネットでは得られない生きた教訓を与えてくれます。

交流会やイベントに積極的に参加し、先輩起業家とのネットワークを構築することで、具体的な課題解決のヒントや、新たなビジネスチャンスに巡り合う機会も生まれるかもしれません。

2)日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、民間金融機関の補完を目的とする政府系金融機関であり、創業期の中小企業に対しても手厚い融資制度を提供しています。創業融資の相談窓口も充実しており、起業初心者でも安心して相談できる環境が整っています。融資だけでなく、事業計画の策定に関するアドバイスなども受けられるため、積極的に活用を検討すべきです。

参考:日本政策金融公庫と民間金融機関との7つの違い

3)商工会・商工会議所

地域の商工会や商工会議所は、中小企業の経営支援を目的とした公的機関です。経営相談はもちろんのこと、創業塾の開催や、低金利で融資を受けられる「マル経融資」の斡旋などもおこなっています。地域に根ざした情報やネットワークを得られるため、地元での起業を考えている方にとっては非常に心強い存在となるでしょう。

4)経営コンサルタント

専門的な知識や経験を持つ経営コンサルタントは、事業計画の策定から資金調達、マーケティング戦略まで、幅広い分野で具体的なアドバイスを提供してくれます。報酬が必要となりますが、価値ある情報やサービスには、しっかりと対価を支払う意識を持つことが重要です。コンサルタント選びは慎重におこない、自身の事業内容や課題に精通した、信頼できるパートナーを見つけることが成功への鍵となります。

5)税理士・公認会計士

税務や会計に関する専門家である税理士や公認会計士は、起業後も継続的にサポートしてくれる重要なパートナーとなります。とくに、法人の銀行口座開設をスムーズに進めてくれる税理士を見つけることは、事業開始後の円滑な資金管理に繋がります。創業期から適切な税務処理や会計管理をおこなうことで、将来的なトラブルを未然に防ぎ、健全な経営基盤を築くことができるでしょう。

4.起業準備はドリームゲートの事業計画書作成サポートツールで効率的に!

起業準備を効率的に進めたいと考えている方には、ドリームゲートが提供する事業計画書作成サポートツールの活用を強くおすすめします。このツールは、事業計画書の作成に必要な要素を網羅しており、ステップバイステップの入力で、はじめての方でも体系的な事業計画書を作成可能です。

テンプレートに沿って情報を入力していくだけで、自身のビジネスモデルを具体的に整理でき、資金計画や収益シミュレーションなども視覚的に把握できるようになります。これにより、事業の全体像が明確になり、具体的なアクションプランを立てるうえでの大きな助けとなるでしょう。

ツールの活用は、煩雑になりがちな事業計画書作成プロセスの大幅な効率化に繋がり、ほかの起業準備に時間を割くことが可能になります。無料で使用できますので、まずはお試しください。

この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
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