融資が成功するアパレル業の事業計画書の書き方をテンプレ付きで解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/04/27 

アパレル業界で新たな一歩を踏み出す起業家や、事業拡大を目指す経営者にとって、資金調達は重要な課題です。そして、その成否を大きく左右するのが、金融機関に提出する事業計画書の内容です。

本記事では、アパレル業特有の視点を踏まえ、融資を成功に導くための事業計画書の作成方法を詳細に解説します。事業計画書の基本的な構成から、アパレル業ならではの重要なポイント、さらにはじっさいに活用できるテンプレートまで、具体的な情報を提供します。

融資を検討されている方はもちろん、今後の事業展開を戦略的に考えたい方にとっても、本記事が有益な指針となることを願っております。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.事業計画書とは

事業計画書とは、事業の目的や内容、将来の展望、そしてそれを実現するための具体的な計画をまとめた計画書です。事業計画書は、単に資金調達のためだけでなく、経営者自身の事業に対する理解を深め、目標達成に向けた道筋を示す羅針盤としての役割も担います。

事業計画書には、決まったフォーマットがあるわけではありません。しかし、一般的に記載されるべき項目はあり、金融機関が融資審査をおこなううえで重視するポイントも共通しています。したがって、それぞれの機関が推奨するテンプレートを参考にしつつ、自社の事業内容や強みを効果的に伝えられるように工夫することが重要です。

創業時の事業計画書は、「創業計画書」と呼ばれますが、これは事業の立ち上げ段階における具体的な計画や資金調達の必要性を中心に記述するものです。既存事業の拡大や改善を目的とした事業計画書とは、焦点がやや異なるため、注意してください。

参考:事業計画書を作成する目的とは

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2.アパレル業の事業計画書の書き方

アパレル業の事業計画書を作成する際には、業界特有の市場動向やビジネスモデルを踏まえた記述が不可欠です。以下では、一般的な事業計画書の項目に沿いながら、アパレル業ならではの視点を取り入れた具体的な書き方を解説します。

参考:事業計画書の実例が無料で見れる!実例から事業計画書の書き方を習得しよう

1)創業の動機・目的

なぜアパレル業で起業しようと考えたのか、その動機や達成したい目的を明確に記述します。単に「服が好きだから」といった感情的な理由だけでなく、市場のニーズや自身の強みを分析した結果、どのような事業を通じて社会に貢献したいのか、具体的なビジョンを示すことが重要です。

たとえば「既存のアパレル市場にはない、サステナブルな素材に特化したブランドを確立し、環境意識の高い消費者に新たな選択肢を提供したい」といった、明確で社会性のある動機は金融機関からの共感を得やすくなります。

また、将来的にどのような規模の事業を目指すのか、具体的な目標を数値などを交えて示すことも効果的です。

参考:日本政策金融公庫の創業計画書「創業の動機」欄のポイント

2)職歴・事業実績

これまでの職務経験や、実績を具体的に記述します。どのような企業で、どのような役割を担い、どのような成果を上げてきたのかを詳細に説明することで、経営者としての能力や事業運営に関する知識・経験をアピールできます。

とくに「仕入れ・販売・マーケティング・店舗運営」など、アパレル業に直接関連する経験は、金融機関にとって重要な判断材料となります。もし起業前に十分な経験がない場合でも、関連するセミナーや研修の受講歴、市場調査の結果などを記載することで、事業への真摯な姿勢を示すことが可能です。

3)取り扱い商品・サービス

どのようなアパレル商品を扱い、どのようなターゲット層に提供するのかを具体的に記述します。商品のコンセプト、デザインの特徴、品質、価格帯などを明確に説明し、競合他社との差別化ポイントを強調することが重要です。

たとえば、「20代後半から30代の働く女性をターゲットに、オフィスでもカジュアルでも着こなせる、高品質で機能的なオリジナルデザインのアイテムを展開する」といった具体的な記述が求められます。

また、実店舗販売だけでなく、ECサイトやSNSを活用した販売戦略、パーソナルスタイリングなどの付加価値サービスを提供する場合は、それらについても詳細に記述します。

4)取引先・取引関係

商品の仕入れ先や販売ルート、協力会社などの取引先に関する情報を具体的に記述します。

仕入れ先については、安定した供給体制が確保できるのか、品質管理はどのようにおこなわれるのかなどを説明します。販売ルートについては、実店舗の立地条件、ECサイトの運営体制、卸売先の情報などを記載します。

協力会社としては、商品の製造を委託する工場や、マーケティングやPRを支援する企業などが考えられます。取引先や協力会社との良好な関係構築は、事業の安定的な運営に不可欠であり、金融機関からの信頼を得るうえで重要な要素となります。

5)従業員

事業に必要な従業員の構成や人数、それぞれの役割、採用計画などを記述します。創業時は経営者自身が中心となる場合が多いですが、事業の成長に合わせてどのような人材が必要になるのか、具体的な計画を示すことが重要です。

たとえば、「開店当初は店長と販売スタッフ2名で運営し、ECサイトの売上が拡大したらWeb担当者を増員する」といった計画を記載します。また、従業員の採用方法や教育体制、給与体系なども説明することで、組織運営に対する考えを示すことができます。

6)借入れの状況

すでにほかの金融機関から借入れがある場合は、その借入金額、金利、返済状況などを正確に記述します。信用情報機関のデータと照合されるため、虚偽の記載は厳禁です。

既存の借入状況を正直に伝えるとともに、今回の融資希望額とその使途を明確に説明することが重要です。複数の借入れがある場合は、それぞれの借入れについて詳細を記載し、今回の融資が既存の借入れにどのような影響を与えるのかについてもいえるようにしておくことが望ましいです。

7)必要な資金と調達方法

事業を開始または拡大するために必要な資金の総額と、その内訳を具体的に記述します。たとえば、店舗の賃貸契約の費用、内装工事費用などの設備資金、商品の仕入れ費用、人件費など運転資金といった項目ごとに、必要な金額を算出します。

また、自己資金額や融資希望額、具体的な資金調達方法を明記します。融資希望額の根拠として、設備資金は見積書が求められます。運転資金についても、必要な金額の根拠を説明できるようにしましょう。

参考:融資の減額を防ぐには

8)事業の見通し・市場戦略

今後の事業の成長性や収益性を予測し、具体的な数値目標(売上高、利益など)を示します。市場調査の結果に基づき、ターゲットとする顧客層の規模やニーズ、競合の状況などを分析し、自社の強みを活かした具体的な市場戦略を説明します。

たとえば、以下のような戦略を具体的に記述することが必要です。

  • SNSを活用した積極的な情報発信により、認知度を高め、ECサイトと実店舗への集客を図る
  • 顧客データを分析し、パーソナライズされた提案をおこなうことで、リピート率向上を目指す

実現可能な売上予測を立てるためには、過去の類似事例や市場の成長率などを参考にすることが重要です。

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3.アパレル業の事業計画書を書くうえでのポイント

アパレル業の事業計画書を作成する際には、一般的な項目に加えて、業界特有または他業界と共通の注意すべきポイントがいくつか存在します。これらのポイントを踏まえることで、より説得力のある事業計画書を作成し、融資を成功に近づけることができます。

1)創業融資でない場合は決算を黒字にする

融資を受ける際、金融機関は事業計画書の内容だけでなく、過去の決算状況を非常に重視します。とくに創業融資ではない場合、直近の決算が黒字か赤字かが融資の可否に大きく影響します。

金融機関は、融資した資金が確実に返済されるまで会社が存続することを重視するため、安定した収益を上げている企業に融資をおこなう傾向があります。したがって、どんなに素晴らしい事業計画書を作成しても、決算が赤字の状態では融資を受けることは容易ではありません。

しかし、直近の決算が赤字であっても、諦める必要はありません。足元の経営状況が改善傾向にあることを示せれば、融資への道は開けます。最低でも過去3カ月間の月次決算で黒字を達成し、その実績を示す試算表を金融機関に提出することで、状況は大きく変わる可能性があるでしょう。

2)設備資金に何が該当するか確認する

金融機関は、利息の獲得を目的として融資をおこないます。しかし、企業の事業活動を支援し、経済の活性化に貢献することも融資の大きな目的のひとつです。そのため、事業の継続に必要な運転資金や、事業拡大のための設備資金といった、明確な目的のある資金需要に対して融資をおこなう傾向が強くなっています。

単に資金繰りが苦しいといった理由では、融資を受けることは難しいでしょう。事業計画書では、なぜ運転資金や設備資金が必要なのか、それらが事業の成長にどのように貢献するのかを具体的に説明する必要があります。

アパレル業における設備資金の具体的な例としては、実店舗の新規出店に伴う物件取得費(敷金・保証金など)、内装工事費、陳列棚やレジなどの什器・備品購入費などが挙げられます。また、オンライン販売を強化するためのECサイト構築費用や、在庫増加に対応するための倉庫の拡張費用なども設備資金に該当します。

これらの設備投資計画を具体的に示し、それぞれの費用に見積もりなどを添付することで、融資の必要性と妥当性を金融機関に伝えることができます。

3)運転資金に何が該当するか理解する

事業を運営していくうえで常に必要となる資金が運転資金です。アパレル業においては、商品の仕入れ費用や、人件費、家賃、光熱費などが主な運転資金となります。金融機関は、この運転資金の必要額を適切に算出し、資金繰りの計画がしっかりと立てられているかを重視します。

広告宣伝費も事業運営に必要な費用ですが、投資効果が不確実であるため、運転資金として過度に計上すると、金融機関に懸念を抱かれる可能性があります。運転資金の計画を立てる際には、仕入資金や人件費などを中心に、できるだけ抑えた金額を算出することが重要です。

4)他金融機関からの借入れは正確に記述する

ほかの金融機関からの借入状況は、事業計画書に必ず正確に記載する必要があります。金融機関は、信用情報機関を通じて企業の借入状況を把握しているため、虚偽の申告は信用を大きく損なう行為となります。

借入金額だけでなく、金利、返済期間、担保の有無なども詳細に記載し、今回の融資希望額が既存の借入れにどのような影響を与えるのかを説明することも重要です。正直に情報を開示することで、金融機関からの信頼を得ることができ、融資の審査もスムーズに進む可能性が高まります。

5)事業の見通しは現実的にする

事業計画における売上予測や利益計画は、楽観的な見通しではなく、過去の実績や市場の動向、競合の状況などを踏まえた現実的な数値を記載することが重要です。過度に高い目標を設定しても、金融機関には非現実的と判断され、かえって信用を失う可能性があります。

具体的な根拠に基づいた数値を提示し、達成する可能性の高い計画であることを示す必要があります。市場調査データや過去の販売実績などを活用し、論理的な裏付けのある事業の見通しを示すことが、融資成功の鍵となります。

4.アパレル業の事業計画書のテンプレート

事業計画書の作成に際しては、既存のテンプレートを活用することが効率的な方法のひとつです。ここでは、アパレル業の事業計画書作成に役立つ、信頼性の高いテンプレートを提供している代表的な機関を紹介します。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、中小企業や創業間もない企業への融資を積極的におこなっており、ホームページ上で事業計画書(創業計画書)のテンプレートを公開しています。このテンプレートは、融資審査のポイントを押さえた構成となっており、具体的な記入例も掲載されているため、はじめて事業計画書を作成する方にとって非常に参考になります

参考:日本政策金融公庫「事業計画書記載例」

J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21は、事業計画書の作成に関するさまざまな情報を提供しており、業種別のテンプレートも用意されています。自社の事業内容に近いものを活用することで、効率的に事業計画書を作成できます。

また、事業計画書の書き方に関する解説記事やセミナー情報なども充実しており、事業計画書作成の知識を深めるうえでも役立つでしょう。

参考:J-Net21「事業計画書の作成例(ベビー服小売業)」

ドリームゲート

起業家支援プラットフォームであるドリームゲートでは、さまざまな専門家が作成した事業計画書のテンプレートや解説コラム、事業計画書作成ツールなどを提供しています。アパレル業に特化したテンプレートや、市場分析、売上予測などをサポートするツールを活用することで、より詳細で説得力のある事業計画書を作成できます。

また、専門家への相談サービスも提供しており、事業計画書の作成に行き詰まった際にサポートを受けることも可能です。

参考:資金調達に成功した『事業計画書』11業種12社の見本をダウンロード

5.融資が成功する事業計画書作成は「ドリームゲート」

本記事では、融資を成功させるための、アパレル業の事業計画書の書き方について、その重要なポイントを解説しました。事業計画書は、単なる資金調達の手段ではなく、事業のロードマップを描き、実現するための羅針盤となるものです。綿密な計画と現実的な見通しに基づいた事業計画書を作成することは、金融機関の信頼を得るだけでなく、事業成功への第一歩となるでしょう。

しかし、事業計画書には複雑な内容も多く、はじめて作成する場合には、何を書けばよいか分からない方が多いのが実状です。事業計画書の作成に不安を感じる方には、起業家支援プラットフォーム「ドリームゲート」の事業計画書作成サポートツールの活用をおすすめします。

ドリームゲートの作成サポートツールは、直感的な操作で誰でもかんたんに、本格的な事業計画書を作成できる点が大きな魅力です。必要な項目に沿って入力していくだけで、金融機関が重視するポイントを押さえた事業計画書が完成します。

アパレル業での起業や事業拡大という夢を実現するために、まずは質の高い事業計画書を作成することからはじめましょう。無料で使えますので、まずはドリームゲートの事業計画書作成ツールをお試しください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
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