コンビニ経営の法人化メリット・デメリットを教えてください
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QUESTION:コンビニ経営の法人化メリット・デメリットを教えてください
現在静岡市のコンビニで店長として働いております。
2年後には独立を考えており、自分自身でコンビニ経営を行う予定です。またいずれは複数店舗の経営も考えております。
コンビニ経営を行う場合、法人化をした方がよろしいのでしょうか?法人化のメリットとデメリットを教えてください。
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ANSWER:ご紹介する3つのタイミングをみて、法人化を検討されてみてください
現在、コンビニエンスストアで勤務中とのこと、フランチャイズだと思いますが、例えば独立されるときに現在勤務している店舗を引き継いで独立するとか、本部のスーパーバイザーさんから数店舗紹介する等のお話しがあり、ある程度事業規模が見込めるならば最初から法人として独立する手もあると思います。法人化のメリット、デメリットについて説明します。
①法人化のメリット・デメリットとは
●メリット●
1.節税効果
個人事業主の節税は限定的です。給料を家族に給料を支払っても原則必要経費になりません。法人であれば従業員である家族への給料を経費にできるのはもちろん、損失が発生しても10年間繰越をして黒字と相殺することが可能となります。
法人化すると、役員報酬として給与を受け取ることになるため、給与所得控除によって節税効果を高めることができます。個人事業主は、事業の利益分に対して所得税や住民税がかかってしまいますが、役員報酬にすることで所得控除を受けることができるようになるため、税負担も軽減できます。
2.社会的信用度
一般的に個人事業主よりも法人の方が、社会的信用度が高くなります。取引先を法人に限定している企業もあります。法人化することで取引先を確保しやすくなり、仕事の幅が広がります。
また、金融機関からの借入を行う際にも個人事業主では事業目的の融資は受けにくく、借入できても保証人を求められるケースが多いのが現実です。法人化することで信用力が上がり、金融機関からの融資など、資金調達がしやすいこともメリットに挙げられます。
登記や決算など、個人事業主よりも果たすべき責任も大きくなりますが、その分、取引先や金融機関から見れば、「法人の方が安心して付き合える」という判断理由にもなるのです。
また、人材採用の面でも法人化したほうが人を集めやすく、より優秀な人材を雇用できる可能性も高まります。
3.事業承継
少子高齢化に伴って、事業承継問題が注目されていますが、事業承継においても個人事業主よりも法人の方が引継しやすいといえます。個人の事業承継では、事業に必要な資産すべてが相続の対象となりますが、法人としての承継では、基本的に自社株を引継げばよいです。
4.厚生年金保険
個人事業主が加入する社会保険は、国民健康保険と国民年金ですが、法人化すると社長1人であっても厚生年金保険への加入が義務付けられます。社会保険に加入することで、個人事業主の頃よりも負担が増える恐れがありますが、厚生年金加入によって基礎年金よりも年金の支給額が増え、傷病手当などの国民健康保険では受けられない生活保障制度も活用できるというメリットがあります。
●デメリット●
1.法人設立時、法人解散(閉鎖)時の手続きが煩雑
法人として事業を行うには「登記」が必要です。個人事業主は住民票や戸籍で存在を確認できるため、開業しても税務・労務以外の行政手続きを行わずに申請できますが、法人は「法律上の概念的な人」に過ぎないため、設立内容の届出がないと実態が分りません。実態を明確にして、取引の相手方や第三者の権利を守るという観点から、法人には商業登記が義務付けられています。また、事業を閉鎖する時も解散・清算結了の登記が必要になる他、税務上も解散・清算に伴う申告・納税をしなくてはなりません。法人は始めるときも終わるときも、個人事業主に比べて手続きが煩雑になります。
2.赤字でも税金支払い等、公的負担は必要
個人事業主であれば、赤字の際には税金や保険料はほぼかかりませんが、法人の場合は、赤字でも年7万円の法人住民税均等割を支払わなくてはなりません。また、社会保険料も、支払う給料の金額に応じて、定められた金額を会社が負担することになります。
3.厚生年金保険、健康保険への加入が必須
法人化によって厚生年金保険や健康保険への加入が必須になることで、国民健康保険や国民年金などに比べて手厚い補償を受けることができます。しかし、保険料は会社と社員が折半するため、個人事業主の頃よりも負担が増える可能性があります。
4.交際費の損金算入ルールが厳格
個人事業主は、取引先等との事業に関連のある飲食等であれば交際費として全額を損金扱いでき、基本的には上限額がありません。法人化すると接待などの飲食費に関わる交際費については、以下のように損金算入の範囲が制限されることになります。
・資本金1億円以下の法人(2014年4月1日以降)
「50%まで」、または「800万円まで」のどちらかを選択
・資本金1億円以上100億円以下の法人(2020年4月1日以降)
50%まで
・資本金が100億円を超える法人(2020年4月1日以降)
損金算入はできない
なお、1人あたり5,000円以下の飲食であれば交際費外となるため、会議費などの費目で損金算入できます。
②法人化を検討すべき3つのタイミング
一般的には、節税効果の高さから利益面でタイミングを図ることが多いようですが、コストだけでなく多方面から検討を行った方がよいと思います。その理由は、個人に比べて法人の方が社会的な責任が大きくなるからです。
法人化のタイミングの目安は以下のとおりです。
節税効果の具体的な内容については、専門外なので概要のみの説明にとどめさせていただきます。
1.売上が1,000万円を超えたとき
売上が1,000万円を超えると、個人・法人問わず翌々事業年度から消費税がかかります。このタイミングで事業を法人化すれば、個人事業主としての消費税の納税義務が消滅する上、消費税の納税のタイミングを遅らせることができます。
消費税の課税の有無は、前々事業年度の売上が1,000万円超えているかどうかで判断されるため、前々事業年度が存在しなければ消費税を納税しなくてもよいことになります。
ただし、資本金が1,000万円以上の法人は初年度から消費税を納めなくてはなりません。
2.利益が500万円を超えたとき
利益が500万円を超えた時も、法人化を考えるタイミングとなります。所得税と法人税の課税方式の違いが関係してくるからです。
所得税は、所得額(利益額)が大きくなるにつれて高い税率が適用される「累進課税方式」が採用されます。所得額が195万円以下なら5%、195万円超330万円以下なら10%、330万円超695万円以下なら20%です。
一方、法人税は原則同率課税ですが、企業の規模と所得額によって適用税率が変わります。中小法人ならば、所得額800万円以下については19%(2021年3月31日までは15%)、800万円超については23.2%の税率が適用されます。
これらを踏まえ、個人の収入を個人事業から会社からの役員報酬に切り替えたと仮定すると、個人で所得税を負担するよりも法人で税金を負担した方が節税になるのです。
3.事業の拡大・新規事業の立ち上げ
事業の拡大や新たに事業を立ち上げる際には、個人事業主よりも法人の方が有利です。社会的信用度が高いという強みを活かせば、人材確保もしやすくなりますし、金融機関からの融資も得やすくなります。
以上、一般的な法人化のメリット、デメリットについて説明させていただきました。
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