青色申告について
個人事業主になったら、払わなければならない所得税額を自分で計算し、税務署に確定申告しなくてはなりません。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の方法があります。
青色申告とは、複式簿記等の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳から正しい所得や所得税および法人税を計算して申告する制度です。
面倒に感じるかもしれませんが、青色申告の方が、税法上多くの特典が受けられ、白色申告(通常の申告)に比べて税金が安くなるなどのメリットがあります。
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〈青色申告のメリット〉
1.65万円の特別控除が受けられる→青色申告特別控除
次の条件を満たす必要があります。
・不動産所得または事業所得があること
・正規の簿記の原則(複式簿記)による記帳
(現金主義は認められない)
・正規の簿記の原則により作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、法定申告期限内に提出すること
ただし、青色申告特別控除前の所得金額(=収入-経費-各種引当金・準備金等)が、上記の額より少ない場合は、その所得金額=控除額となってしまいます。
2.家族従業員の給与の費用算入→青色事業専従者給与
白色申告では家族に払った給与が費用に落とせませんが、青色申告では家族への給与を必要経費として計上することができます。
これを「専従者給与」といい、目安として「1日6時間以上、月に15日以上ないしは、年間で6か月以上相当」の期間を、事業主の事業のために費やすことが条件となります。専従者には、同居または生計を一にしている15歳以上の配偶者や親、祖父母、子供などが含まれます。
3.赤字の繰越相殺→純損失の繰越控除
本年の赤字を翌年以降3年間繰り越して3年間の利益と相殺して納税をおさえることができます。その年の赤字を確定申告で損失申告することにより、向こう3年以内に出る所得と差し引くことができるものです。
また前年度に青色申告をしており、今年赤字の場合に、その赤字を昨年の利益と相殺して昨年納めた税金を還付してもらうことができます。
4.30万円未満の資産をその年の経費にできる→減価償却の特例
青色申告では30万円未満の減価償却資産を取得した際に、取得した事業年度において全額を経費とし、課税所得から差し引くことができます。加えて、年度途中に取得した30万円未満の減価償却資産の場合も、月割りせずに全額を経費とすることができます。
〈青色申告の注意点〉
青色申告をするための準備として、まず税務署に青色申告の承認の申請書を提出して、あらかじめ承認を受けておかなければなりません。開業後、白色申告から青色申告に切り替える場合は、同申請書を、青色申告をしたい年の3月15日までに提出する必要があります。
次に青色申告者には帳簿の記帳義務が課せられております。
複式簿記という方法により、すべての取引を記録しなければならず、ある程度の経理や会計の知識が必要です。しかし、平成26年度からすべての白色申告者に帳簿付けが義務付けられたこともあり、白色申告と青色申告にかかる労力の差が小さくなりました。
書類の手続き・期限の点で負担は増えるかもしれませんが、その手間を惜しまずやる価値ある特典を受けられるのが青色申告です。青色申告を選択すると白色申告に比べ、数万円から数十万円の節税効果が期待されます。開業したらぜひ青色申告をすることをおすすめします。