売上がない起業直後でも日本政策金融公庫の創業融資は受けられるのか

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/12/15  最終更新日: 2025/12/16

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QUESTION:売上がない起業直後でも日本政策金融公庫の創業融資は受けられるのか

‘去年、再生可能エネルギーに取り組む企業へベトナムの固形燃料メーカーを紹介する仲介業を立ち上げました。
現在は私ひとりで活動していますが、日本在住のベトナム人パートナーと協力しています。彼の親族がベトナムで固形燃料の輸出業を営んでおり、その会社も日本企業に紹介しています。安定した収益が見込め、十分な給与を支払える段階になったら、彼を従業員として雇用する予定です。

収益は、ベトナム企業から契約数量に応じて○○ドル/トンのインセンティブを受け取る形です。
現在、日本企業2社と商談中ですが、まだ売上は発生していません。今後、バイヤーとのベトナム訪問や日本国内での打ち合わせ、役員報酬などの運転資金を借入れたいと考えています。

このような段階で、日本政策金融公庫の創業融資を受けることは可能でしょうか?
ご回答のほどよろしくお願いいたします。

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ANSWER:日本政策金融公庫が融資の際に重視するポイントを解説します

この質問に回答した専門家
上野 光夫(うえの みつお)
株式会社 MMコンサルティング 代表取締役
創業者から中小企業経営者まで、資金調達の課題を本音でサポート。日本政策金融公庫で26年間勤務・融資課長。30,000件以上の審査/5,000人超の起業家支援。
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再生可能エネルギーという成長市場において、ベトナムとの強固なネットワークを活かし、日本企業に固形燃料メーカーを紹介する仲介業は、他にはない独自性と将来性を備えたビジネスモデルだと感じます。とくに、信頼できる現地パートナーとつながっている点、そして商談がすでに具体的に進行している点は、大きな強みです。
そのうえで、「日本政策金融公庫の創業融資が現段階で可能か」という点について、正直に申し上げると 、売上がまだ立っていない状況では融資のハードルはやや高くなる傾向があります。ただし、「売上がない=絶対に融資が下りない」というわけではありません。公庫がとくに重視するのは、「この事業が安定的な収益を生み、継続して運営できるかどうか」です。

融資実現の可能性を高めるためには、次のような点を明確に示すことが有効です。

①可能であれば少額でも売上を立てる
テスト取引などで1件でも実績をつくることで、「このビジネスは動き出している」という説得力が格段に増します。

②「もうすぐ売上が立つ」という証拠を示す
ベトナム訪問予定や日本国内での打ち合わせ予定があるとのことですので、商談の進捗状況を具体的に記載し、合意に向けたメールや議事録などの資料を添付すると効果的です。

③事業計画と資金使途の妥当性を整理する
訪問費や役員報酬も含め、「なぜこの資金が必要なのか」「どのように回収するのか」を明確に説明することが重要です。つまり、「いまは売上がないが、近い将来に発生する見込みが高い」ことを、具体的な根拠とともに示すことがカギになります。
現在進行中の商談は非常に有効な材料です。ベトナム訪問や打ち合わせの成果次第で、近い将来に売上が立つ可能性が高いと伝えることができます。それを根拠に事業の信頼性を強くアピールすれば、融資実現への説得力は一段と高まります。
現状は「あと一歩で融資実現の条件が整う」という段階です。焦らず、現在の商談を着実に進めながら、必要な書類や根拠を整えていけば、日本政策金融公庫の創業融資は十分に可能です。