店舗の移転を考えていますが、融資を実現するポイントは何ですか?
QUESTION
これまで埼玉県で15年間飲食店を経営してきました。最近、実家のある岩手県で良い古民家を見つけたため、そちらに店舗を移転したいと考えています。
そこで、移転前の地域の日本政策金融公庫さんに設備資金として400万円の借り入れを申し込みましたが、面談の結果、融資は受けられませんでした。
融資を受けられなかった理由は、何でしょうか?
また、今後融資を受けたい場合はどうしたら良いでしょうか?
融資を実現するためのポイントについてもお伺いしたいです。
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ANSWER:集客見通しについて、根拠を明確に示せることが重要なポイントになります。
今回、融資が受けられなかった理由はいくつか考えられます。
ご質問者さんのケースで、日本政策金融公庫が審査をする際のポイントは以下の3点です。
日本政策金融公庫が審査をする際のポイント3点
①移転する理由は何か
現在の場所で多くのお客様を確保しているのに移転する理由について、金融機関が納得するかということです。
今回融資が受けられなかった理由の一つとして、移転の目的やその必要性がうまく伝わっていなかった可能性があります。
移住するだけなら「自然豊かな場所に行きたい」という理由で十分ですが、これまでのお客さんが訪れにくい遠方に店舗を移転する正当性について、金融機関には十分に理解されなかったのではないでしょうか。
そのため、移転する理由について、金融機関が納得するように説明する必要があります。
②店舗物件の妥当性
店舗の物件が古民家とのことで、耐用年数を経過している可能性が高いと思います。
金融機関の視点から見ると、築年数の経った物件で事業を展開する場合、融資が難しくなるというのが実態です。
さらに、現在の担当者が移転先の物件を実際に確認することが難しいため、「物件調査がしにくい」という点も、融資が難航する要因の一つだと考えられます。
③移転先での売上見込
これが最も大きな理由です。
新店舗は、現在の店舗のお客様が気軽に訪れることが難しい場所にあるので、ゼロから集客する必要があると思います。
融資担当者の視点から見ると、「立地条件が現在とは全く異なり、地の利がない場所で果たしてお客様を確保できるのか?」という点が、納得できなかったのだと思います。
次に、今回の融資結果を踏まえ、今後の融資を実現するためにどうすればいいのか、以下の3つの観点からご紹介します。
今後の融資を実現するために
①融資申込の時期
まず、移転が一年以上先の計画である場合、今融資を申し込むのは早すぎたと言えます。
日本政策金融公庫は、1年以上先の計画に融資をしにくいからです。
移転の2〜3か月前に申し込みするのが妥当でしょう。
ただし、銀行や信用金庫の場合は、正式な申し込みでなくても、早めに相談しておくほうが良いです。
②融資申込する金融機関
すでに日本政策金融公庫と取引があるため、日本政策金融公庫の岩手支店への申し込みは難しい状況です。今回融資がNGだったこともあり、たとえ個人事業として申し込みが可能でも、融資を実現するのは厳しいと考えられます。
そのため、移転予定地近くの銀行や信用金庫に相談することをおすすめします。
銀行や信用金庫であれば、来年の計画でも早めに相談することが可能です。
特に、地域の情報に詳しい信用金庫に相談すると良いでしょう。
③融資を実現するために
移転先の金融機関に申し込む場合でも、お客様を確保できるかどうかの実現可能性が問われます。
「こうすれば必ず大丈夫」といった確実な方法はありませんが、 ご自身で考えた集客見通しに対して、根拠を明確に示せることが重要です。
たとえば、店舗予定地で市場調査を行うことが有効です。ターゲットとする客層を明確にし、人口や世帯数、競合店の有無などを詳しく調査すると良いでしょう。
さらに、店舗のコンセプトを決定し、いかに魅力的な店作りができるかを示すことも重要です。私のクライアントの例では、移転前からInstagramなどのSNSを活用してフォロワーを増やし、金融機関に対して集客力をアピールして評価を得たケースもあります。
以上の点を踏まえ、移転先の銀行や信用金庫へ相談することをおすすめします。
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方にはうってつけのアドバイザーです。
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