自己資金3分の1を準備した飲食店開業融資が否決に|再申請に向けた改善ポイントを知りたい

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2026/02/10 

飲食店開業再申請
 

QUESTION:自己資金3分の1を準備した飲食店開業融資が否決に|再申請に向けた改善ポイントを知りたい

飲食店の開業を予定しており、現在出店準備を進めています。

物件契約や事業計画の策定を行い、自己資金についても開業総投資額の約3分の1を準備したうえで、金融機関へ融資を申し込みました。

しかしながら、先日、審査の結果融資が否決となってしまい、
今後どのように進めるべきか判断に迷っている状況です。
自己資金割合としては一定水準を満たしている認識だったため、
否決理由や改善余地について整理したく、ご相談させていただきました。
具体的には、以下の点についてアドバイスをいただけますでしょうか。

  • 自己資金3分の1を用意していても融資が通らない主な要因
  • 事業計画・収支計画のどのような点が重視されるのか
  • 再申請する場合、どの程度の期間を空けるべきか
  • 日本政策金融公庫と民間金融機関で再チャレンジする際の戦略の違い
  • 追加で準備・改善すべき資料や説明ポイント

初めての融資申請ということもあり、
金融機関目線での評価ポイントを十分に理解できていなかったと感じています。
再度の申請に向けて、どこをどのように見直すべきかを整理したく、
専門家の視点からご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。

ANSWER:融資は「自己資金」だけでなく「計画の実現性と運転資金」で決まります

【この質問に回答した専門家】

須田 幸宏(すだ ゆきひろ)
東北の起業家のみなさまをサポートします!
三楽る(みらくる)オフィス

東北を拠点に資金調達の支援で活躍する須田アドバイザー。元日本政策金融公庫融資課長で、日本公庫に33年勤務し、融資を通して、延べ2万以上の事業者、5,000以上の起業家をサポートされてきました。非常に親切・温厚なお人柄で、事業だけでなくライフプランニング(生活・家計の設計・見直し)もサポートされていますので経営者の強い味方となるでしょう。プロフィールを見る>>

ご相談内容を拝見いたしました。
総投資額の3分の1の自己資金を準備されたうえで否決となったとのこと、ご心情としても納得しづらい部分があったのではないかと拝察いたします。

自己資金比率だけでは決まらない(総合評価と事業計画の実現性)

まず前提としてお伝えしたいのは、「自己資金3分の1を用意すれば必ず融資が通る」という仕組みではないという点です。

自己資金は重要な判断材料の一つですが、それだけで可否が決まることはありません。事業計画の実現性、運転資金の余裕度、申込者の経験・属性などを総合的に評価します。

自己資金を確保していても否決となる主な要因として、まず挙げられるのが事業計画の実現性です。

飲食店の場合、売上予測の根拠が特に重視されます。席数・回転数・客単価の設定が楽観的であったり、商圏分析や競合調査が十分でなかったりすると、「その売上がなぜ実現できるのか」という説明力が弱いと判断されます。

運転資金不足(開業後の赤字期間を乗り切れるか)

次に多いのが運転資金の不足です。これは「自己資金が少ない」という意味ではありません。

自己資金の多くを内装・設備などの初期投資に充てた結果、開業後の赤字期間を乗り切るための資金余力が不足しているというケースです。

金融機関は「開業できるか」ではなく「返済しながら事業を継続できるか」を重視します。

そのため、固定費の3〜6か月分程度の運転資金が確保されているかが重要な評価ポイントになります。

経験・経営能力と、否決理由の確認/再申請の進め方

三つ目は申込者の経験値や経営能力です。飲食業での勤務年数、店長経験、数値管理の経験などが見られます。
初めての開業の場合は特に、「経営者として数字を管理し、計画通りに運営できるか」という視点で慎重に判断されます。
なお、今回否決となった金融機関に対しては、必ず否決理由を確認することを強くおすすめします。

金融機関は詳細をすべて開示するわけではありませんが、「どの点が懸念されたのか」「改善すべきポイントは何か」といったヒントは得られることが多く、次回申請の改善に直結します。
再申請は十分可能ですが、同じ内容で短期間に再提出しても結果は変わりません。
まずは売上計画の根拠をより精緻にし、商圏人口・人流・競合状況など、第三者が見ても納得できるデータを整理することが重要です。

また、運転資金はやや厚めに再設計することを推奨します。
売上が想定通りに立ち上がらない場合でも、一定期間は返済と固定費を維持できる資金計画が求められます。
自己資金については金額だけでなく出所も確認されます。
計画的に蓄積した資金か、直前に集めた資金かによって評価が異なるため、通帳履歴などで蓄積過程を説明できると信用力が高まります。
再申請までの期間に明確なルールはありません。ただし、計画の見直しを行う前提で、一般的には1〜3か月程度かけて再構築するケースが多く見られます。

金融機関の選択については、初回が日本政策金融公庫であった場合、まずは公庫での再申請を優先するのが現実的です。
民間金融機関は公庫よりも自己資金比率や事業計画の精度を厳格に見る傾向があります。
加えて、公庫で否決となったという事実そのものを参考情報として扱うことが多く、慎重な姿勢を取るケースが一般的です。
そのため、まずは公庫での計画再構築と改善を行い、懸念点を解消したうえで再度の申請に臨む方が、全体としての通過可能性を高めやすくなります。

今回の否決は、自己資金不足というよりも、事業計画の実現性・運転資金の余裕度・経営者としての再現性のいずれか、または複合的な要因による可能性が高いと考えられます。

ただし、自己資金を3分の1確保されている時点で、融資検討の土俵には十分乗っています。計画の磨き込み次第で、融資実行に至る可能性は十分にあります。

事業計画や数値設計を客観的に見直すことで、次回申請の通過可能性は大きく高まります。