最上級の施術品質で勝負する!全員が有資格者の治療院

公開日: 2015/03/16  最終更新日: 2020/04/23

有限会社もみ家

代表取締役総院長 古川晃成 Akishige Furukawa

事業内容 鍼灸マッサージ整体治療院
所在地 東京都品川区
売上高 約4200万円(2011年)
事業計画書の安全率 4.94

【無料】事業計画作成サポートツールなら、3分で事業計画書が無料で作れます。さらに作成した事業計画書を先輩経営者と比較した順位も判定。要チェック!>>

1:事業内容
妊婦向けや美容鍼などのメニューも充実したマッサージ・鍼灸・整体治療院

東京・目黒駅の東口と西口で計2店舗、マッサージ・鍼灸・整体を行う治療院を経営しています。店舗は東口店8.2坪、西口店8.7坪で、それぞれ3床ずつ置いています。

あん摩・マッサージ・指圧・鍼灸においては、「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格を有する者しか施術してはならないと法律で規定されています。しかし、整体やカイロプラクティック、リフレクソロジーなど類似の業態は免許を持たず営業しても違法とはなりません。よって、実態は有資格者が一人もいなかったり、有資格者はいても1、2名のみで、それ以外の無資格者もマッサージを行う “グレーゾーン”の施術院が大半。そうした業界にあって、当院は私含め、8人のスタッフ全員が有資格者であることが最大の特長です。あくまでも本質的な施術の品質で勝負しています。

施術の品質が商品ですから、集客のための割引サービスなどは行いません。割引などしなくても来院してくださるリピーターはいますし、紹介もしていただいております。割引で来るお客さまは、割引店を渡り歩く方が多く、必ずしもリピーターとはならないこともわかっています。

もう一つの特長は、妊婦向けや美容鍼などのメニューも用意していること。特に妊婦に対しては医学的知識がないためにリスクを感じて断る施術院がほとんどで、妊娠中の体調変化や腰痛などに困る人の行き場がない状況です。当院では、妊娠周期や状態に合わせた適切な治療を行っています。

2:創業プロセス・苦労したこと
開業1、2年目は予想以上の赤字に苦しむ

私の父は証券会社に勤務しており、転勤が絶えませんでした。私はそれが嫌で、将来のことを漠然と考えるようになった高校時代、転勤のない仕事に就こうと考えました。ちょうどその頃、ケガをして鍼灸接骨院に通ったのです。そして、ケガの具合がよくなるとともに、治療院の経営に興味を持ち、自分も「30歳までに開業しよう」と、専門学校に進学しました。

卒業後、ある先生が経営する治療院に就職して修業を開始。5年ほどするとケガをされたり症状を訴えられて来院される患者さま(お客さま)が怖いと思うようになりました。中途半端な治療では顧客満足が得られず、治療院の経営が成り立たなくなるリスクを考えるようになったからです。そして、施術品質第一の治療院をつくると決め、27歳の時に当社を設立して目黒駅東口で開業しました。

開業資金の一部の300万円を国民生活金融公庫(現・日本政策金融公庫)から借り入れたこともあり、事業計画はきちんと作成しましたが、やや甘かったようです。初年度はお客さまが1日1人しか来ないという日もありました。チラシ配りなどはしましたけれども、割引に頼ることはしませんでした。開業1年目は約400万円の赤字、2年目は約150万円の赤字……。赤字は想定していましたが、これほどふくらむとは思っていませんでした。当時、毎日の業績数字を見るのも嫌でしたが、「施術品質で勝負する!」という思いだけは変わりませんでしたね。

3:成長の軌跡
スコアシートで施術スタッフを評価。サービス品質向上こそが成長の鍵。

1年目からパートのスタッフを採用し、以降、少しずつ増やしてきました。当社にとっての商品は施術スタッフです。それゆえ、マッサージ、通常の身体への鍼、顔への美容鍼などと施術の種類を細分化したスコアシートを作成し、スタッフの技術レベルを評価しています。そして、100点満点中70点に達するまで、当該施術はさせないというルールを定めています。教育については、来客がない時間帯などを有効活用し、私ともう1人の指導者レベルにあるスタッフが、技術指導をしてレベルアップを図っています。

また、スタッフに対して目標設定と振り返りミーティングを行い、昇給・賞与に納得してもらえる人事考課を行っています。そのほか、会社が費用を半分出して年に1回、全員で海外旅行を楽しみます。福利厚生にも注力しているので、定着率はいいですね。

販売促進策はホームページのSEO対策に主体を置き、私が手がけています。検索サイトでの掲載順位は新規顧客獲得数に比例するので、重視しています。

こういった施策が徐々に集客数アップに結びつき、3年目には黒字転換。そして、開業8年目にして、2号店となる西口店をオープンさせることができました。事前予約を受ける際に、東口店と西口店の予約状況を見て、すいているほうの店をご案内してバランスを取っています。そうやって回転率を高めることも、効率経営のポイントですね。

そのための、数字の管理、業績管理は経営者として当然行っていますが、人材育成の観点から、スタッフにも数字が見えるようにしています。今では、レジ金の管理などもスタッフに任すことができ、私が不在時でも困らないようになりました。

4:会計はビジネスのスピードメーター
変動経費比率を業界平均より抑えて備える

自計化のきっかけ・・・
当社の事業構造は比較的シンプルなので、税理士などに依頼することなく、開業当初から会計ソフトを導入してすべて自分で行っています。そのうえで、業績数字を毎日チェック。といっても、経費はほぼ固定ですから、見るのは売上の状況ぐらいですけれども。基本的に現金商売なので、キャッシュフローに困ったことはありません。

経費の主体は人件費で、業界では売上の50~60%が平均。当社は人件費を平均以上に上げないようにしています。仮に人件費率を適度に抑えることができれば、売り上げが下がってもキャッシュフローの範囲内で対処でき、無理な資金繰りをしなくても済むからです。もちろん、万一の時のために、金融機関から融資を受けられる準備は常に整えています。自分で会計ソフトを使って常に数字を意識していからこそ、今の筋肉質な経営が行えていると思います。筋肉質な経営というのは、この業界で生き残っていくためには、とても重要です。

会計の知識に助けられた・・・
実は、20歳の時に携帯電話販売業を始めたり、治療院で修業しながらバイク便会社の経営トップの下で働いた時期もあり、会社経営に必要な知識はある程度持っていました。その時に知ったのが「助成金」の存在です。自分で会計ソフトを使い数字を意識していたので、助成金のありがたみは良く理解していました。なので、人を雇用したら、絶対に申請しようと考え、実行してきました。この助成金が、経営が苦しい時の助けになりましたね。

あと2店舗はつくりたいと考えています。そのためには、店長クラスのスタッフの早期育成がカギ。だからこそ、経営者である自分の一番大事な仕事は、人材教育だと考えています。

5:メッセージ
お客さまに選ばれる事が第一。信念は曲げない事!

若い同業者から「なかなか売上が上がらない、どうしたらいいか」と相談を受けることがあります。競合店が「60分2980円」などと安価な価格を打ち出すと、「うちもやらないといけない」と動揺してしまう人がとても多いのです。信念がブレてしまっているのです。それでは「安かろう悪かろう」のサービスに陥り、結果的に長続きしないのではないでしょうか。

自分がユーザーだとしたら、自分の店に行きたいと思えるようなサービスを提供しているかどうかを、まずはチェックすべきです。お客さまは、体の疲れを解消させたくて来院します。ところが、技術がないために満足に解消させることができない治療院が多いため、結果的にリピートしないのです。でも、確実にお客さまを満足させることができるなら、料金が多少高くてもリピートしてくれるはず。客単価約6000円の当院の経営好調が、それを証明しています。

事業を継続させるために重要なのは、最悪のシナリオでも経営を継続させられる資金計画と、ユーザーが満足するポイントを常にウォッチし続けること。そして、自らの技術を磨き続け、お客さまに満足してもらうという信念をブラさないこと。これらを守ることができれば、お客さまから選ばれ、事業も継続していくはずです。