会社の負債を個人が返済した場合の仕訳について

公開日: 2021/10/25 

QUESTION

会社を経営しています。経営不振により金融機関からの借入金を返済できなくなったため、連帯保証人である私個人の所有する不動産を売却し、借金の返済に充てることにしました。
この場合、借入金返済の仕訳はどのようにしたらよいですか?

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ANSWER

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会社が個人に借入金の返済をするか、個人が会社に債務放棄をします。

1.個人による弁済
連帯保証により、会社の借入金を個人が返済しています。そのため、会社のために立替弁済した分について請求権が個人に生じます。会社から見れば、借入先が金融機関から個人に変わっただけですので、仕訳は必要ありません。
ただ、補助科目などに借入先を登録している場合などは、

借入金 金融機関B / 借入金 個人C 

という仕訳を計上します。

2.個人による債務免除
(1)仕訳
上記1のままでは、会社は個人に借入金の返済をする必要があります。会社が返済できるほどの資金を持っていない場合、個人が貸付金を持ったままになり、相続のさいには相続税を負担するおそれもあります。そのため、個人は会社に対して債権放棄をおこないます。
これにより、会社では、

借入金 / 債務免除益

という仕訳を計上します。債務免除益は通常、特別利益になります。

(2)税務上の扱い
債務免除をしてもらうということは、多額の繰越欠損金があるということです。債務免除益を計上しても、相殺されるため、法人税は発生しません。
ただ、損失発生したのがかなり昔で、繰越欠損金の期限が切れているために、債務免除益と相殺できない場合もあります。この場合の対処方法は、個別の状況しだいです。
債権放棄をする場合は、事前に顧問税理士に相談するのがよいでしょう。

3.金融機関の残額
金融機関の残額がある場合、どう会計処理をするのかは、きちんと金融機関に確認をしてから決めましょう。
(1)金融機関が保有している場合
たとえば、会社が金融機関から1,000万円借りていて、そのうちの980万円を個人が弁済したとします。残りの20万円の債権を金融機関が保有したままであれば、

借入金 金融機関 1000 / 借入金 個人 980 
            / 借入金 金融機関 20 

もしくは、

借入金 金融機関 980 / 借入金 個人 980 

となります。

(2)金融機関が債務免除をした場合
債権残額が20万円と少額のため、金融機関が債務免除をした場合は、以下の仕訳になります。

借入金 金融機関 1000 / 借入金 個人 980 
            / 債務免除益  20 

債務免除をされる場合は、金融機関から債権放棄の文書を送ってきます。

ドリームゲートオンライン相談を参照