つなぎ融資を受けるには事業計画が重要|資金繰り表・返済計画のつくり方を解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2026/08/02 

つなぎ融資を検討する際、多くの経営者は「今いくら足りないか」という金額だけに目が向きがちです。しかし、金融機関がもっとも重視するのは金額そのものではなく、その不足が一時的であるという客観的な根拠です。

資金ショートを回避するために不可欠なのが、入金予定と支出タイミングを可視化した事業計画書と資金繰り表です。「いつ、どの入金によって借入れを完済できるのか」を数字で明確に説明できるかどうかが、融資の可否を分ける分水嶺となります。

本記事では、事業計画書と資金繰り表を武器に、納得感のある融資を引き出すための考え方と具体的な作成手順を解説します。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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目次

1.つなぎ融資とは?

つなぎ融資は、事業を継続する過程で生じる一時的な資金のギャップを埋めるための短期的な資金調達手段です。将来的に確実な入金が予定されているにもかかわらず、手元の現金が先行する支払いに追いつかない場面で活用されます。

1)つなぎ融資は入金までの資金不足を補う短期的な借入れ

経営において、売上の計上と、じっさいの現金の入金には常にタイムラグが存在します。売掛金の回収が数カ月先になるケースや、補助金の交付決定からじっさいの入金まで時間がかかるケース、あるいは融資の本実行までの期間など、支払いのタイミングだけが先行してしまうことは珍しくありません。つなぎ融資は、こうした「入金の空白期間」を橋渡しするための資金です。あくまで短期間での完済を前提としており、特定の入金によって速やかに債務を解消するしくみとなっています。

2)創業時につなぎ融資が必要になりやすい場面

とくに創業時は、売上の安定まで時間がかかるうえに、初期投資が重なるため資金繰りがきびしくなりがちです。店舗の内装工事費や保証金、備品購入費用、そして集客のための広告費などがこれに該当します。

また、事業が軌道に乗る前段階での補助金の活用は、成長のチャンスである一方、補助金が入金されるまでの持ち出しが経営を圧迫することもあります。このような局面では、必要となる費用を滞りなく支払うために、一時的な外部資金の注入が必要となるケースが多々あります。

3)つなぎ融資と通常の運転資金の違い

通常の運転資金は、会社が日常的におこなう事業活動を安定させるための「ベースとなる資金」を指します。一方、つなぎ融資は「特定の入金待ち」という明確な目的がある点が異なります。通常の運転資金が長期的な利益創出のための資金だとしたら、つなぎ融資は「穴を埋めるための緊急かつ限定的な資金」です。そのため、融資を受ける側には、返済原資がどこにあり、それがいつ確定するのかを論理的に説明することが求められます。

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2.つなぎ融資で事業計画書が重要になる理由

融資の審査において、金融機関は経営者の言葉以上に「数字の裏付け」を重要視します。なぜ資金が不足するのか、その理由は妥当なものなのかを説明するツールが事業計画書です。

1)金融機関は「なぜ資金が足りないのか」を見る

金融機関がもっとも警戒するのは、つなぎ融資による赤字経営の先延ばしです。一時的な不足であれば問題ありませんが、慢性的な赤字を埋めるための資金であれば、貸し倒れのリスクが高まります。そのため、事業計画書では、支出先行の理由や売上の入金遅れといった具体的な状況を論理的に説明し、一時的な資金ショートであることを証明しなければなりません。

2)「いつ・いくら入金されるか」が返済判断の材料になる

融資をする側にとって最大の関心事は、貸したお金が戻ってくるかどうかです。売掛金の回収予定日や補助金の交付予定、あるいは予約ベースで確定している売上など、返済の原資となる入金の根拠を提示しましょう。根拠が具体的であればあるほど、金融機関は「融資をしても確実に返済される」という安心感を持つことができます。

3)事業計画書と資金繰り表はセットでつくる

事業計画書が経営の「方針」を示すものだとすれば、資金繰り表は経営の「現実」を映し出す鏡です。事業の全体像を事業計画で示しつつ、月々の現金残高の推移を資金繰り表で提示することで、どのタイミングで資金不足が発生し、いつのタイミングで回復するのかを視覚的に伝えることができます。この両方をセットで提出することが、融資の成功確率を飛躍的に高める鍵となります。

3.つなぎ融資を受けやすい事業計画の特徴

融資がとおりやすい事業計画には、共通して明確な論理性と現実的な見通しが含まれています。

1)資金不足の理由が一時的である

計画書のなかで、なぜ今資金が足りないのかを明確にしましょう。たとえば、設備投資にともなう初期支出が重なったため、あるいは売掛金の入金サイクルが長いため、といった経営努力ではコントロールしきれない一時的な要因であることを強調します。資金不足が一時的なものだと理解されれば、融資のハードルはぐっと下がります。

2)返済原資が明確である

「売上が上がれば返せる」といった曖昧な計画は評価されません。すでに契約が済んでいる案件や、申請が受理されている補助金、あるいは過去の実績に基づいた確実な売上など、具体的な返済原資を提示してください。根拠のある数字は、金融機関にとって最大の説得材料になります。

3)月次の資金繰りが見える

資金繰り表を作成する際は、毎月の収支がどのように推移するかを細かく記載します。資金ショートする月を正確に特定し、その後の入金予定によってどのように残高が回復するか、プラス圏内に戻る予測を詳細に示しましょう。無理のない予測を示すことで、経営に対する信頼感が高まります。

4)売上予測の根拠がある

「売上はこれくらいになるはずだ」という希望的観測は避けましょう。単価、客数、稼働率、商談中の成約率など、現実的な数値を積み上げて売上を算出します。なぜその数値を達成できるのか、根拠となる資料や市場データなどを付記することで、計画の実現性がより高く評価されます。

4.事業計画書に入れるべき項目

事業計画書は、金融機関の担当者がその事業の全貌と返済能力を理解できるように構成する必要があります。

1)事業内容と収益モデル

商品やサービスの概要を簡潔にまとめます。誰をターゲットにし、どのような価格で提供し、どうやって利益を出すのかという収益モデルを明示してください。創業の動機や強みも合わせ、なぜその事業が必要とされるのかというストーリー性も盛り込むことが重要です。

2)必要資金と資金使途

いくら必要なのか、そのお金を何に使うのかを内訳で示します。内装費、設備費、仕入れ、人件費、広告費などの項目に分け、それぞれの見積書と照らし合わせられるように整理しましょう。この数字が具体的であれば、経営者の管理能力も高く評価されます。

3)入金予定と支払予定

売上の発生時期と、じっさいに現金が入金される時期を分けて記載してください。たとえば「月末締めの翌々月払い」といった回収条件を考慮し、いつキャッシュが入ってくるかを正確に計算します。支出についても同様に、いつ支払いが確定するのかを記載します。

4)資金繰り表

事業計画の期間に合わせて、少なくとも半年から1年分、月ごとの現金収支を資金繰り表にまとめます。毎月の残高がマイナスになる月がある場合、その不足分をどう補うか、いつ解消するかを明確に示すことが大切です。

5)返済計画

融資額をどの期間で、どのような方法で返済するのかを具体的に記載します。毎月の返済可能額を算出し、返済の原資をどこから捻出するのかを明確に整理しておきます。

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5.つなぎ融資を受けるときの注意点

つなぎ融資は非常に便利な手段ですが、使い方を誤ると経営を危うくすることにつながりかねません。

1)入金予定が遅れるリスクを見込む

補助金の入金や売掛金の回収が予定どおりに進まないリスクを、あらかじめ考慮に入れておくべきです。現実的なシミュレーションをおこない、もし入金が1カ月遅れたとしても経営が破綻しないような余裕を持った計画を立ててください。

2)返済原資がない借入れは危険

つなぎ融資は、あくまでも「入金」という出口があるからこそ成立する借入れです。出口の不確かなお金を借りることは、単なる赤字の先送りに過ぎません。もし返済原資が不透明であれば、融資を受ける前にビジネスモデルそのものを見直す勇気を持つことも必要です。

3)借入額は不足額だけでなく余裕も見る

必要額をギリギリで見積もると、些細なトラブルでまた資金不足に陥ります。だからといって借りすぎると、今度は毎月の返済負担が経営を圧迫します。現実的な見積もりに加えて、不測の事態にも耐えられる程度の余裕を考慮しつつ、必要最低限の額を借りるよう心がけましょう。

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6.相談前に準備すべき資料

融資の審査をスムーズに進めるためには、説得力のある根拠資料を事前に準備しておくことが不可欠です。金融機関の担当者が貴社の状況を正しく把握し、融資の必要性や返済能力を検討するために必要な書類をそろえることで、心証は大きく変わります。

単に書類を提出するだけでなく、なぜその金額が必要であり、どのように返済がなされるのかを、資料を通じて論理的に語れるようにしておくことが重要です。準備すべき資料を具体的に確認していきましょう。

1)事業計画書

事業計画書は、融資審査の根幹をなす書類ですが、単なる目標を書くものではありません。どのようなビジネスモデルで収益を上げ、その過程でどれだけの資金を必要とするのかを可視化するものです。事業のコンセプトはもちろん、具体的な収益モデル、必要資金とその使途、売上計画、そして借入金の返済計画までを網羅的にまとめます。とくに、今回のつなぎ融資が単なる資金不足の補填ではなく、事業を次のステージへ進めるために必要なステップであることを説明する書類として活用してください。

2)資金繰り表

資金繰り表は、事業の血液ともいえる現金の流れを管理する最重要書類です。売上高とじっさいの現金入金には、タイムラグが生じます。月次の入金予定と出金予定を詳細に書き出し、毎月の現金残高がどのように変化するかを示しましょう。とくに資金ショートが懸念される月を正確に特定し、その不足額をどのタイミングで調達し、将来のどの入金で返済するのかを明示します。この表が精緻であればあるほど、経営者の計数管理能力が高く評価されます。

3)入金予定を証明する資料

未来の入金予定を示すことは、融資の返済可能性を証明することと同義です。補助金の採択通知書や、すでに締結済みの売買契約書、発注書、請求書の控えなどをそろえてください。また、店舗ビジネスであれば、予約リストや会員の登録状況なども入金の確実性を補強する証拠となります。口頭での説明ではなく、第三者から見ても「確実に入金される」と確信できる書類を提示することが重要です。

4)見積書・支払予定表

資金使途を証明するために、業者からの見積書や支払い予定表を準備してください。内装工事や設備購入、仕入れなど、支出が発生する根拠となる書面です。

単に金額が書かれた書類を渡すだけでなく、支払いサイトや支払条件がわかる書類もそろえておくと、資金繰り表との整合性が証明しやすくなります。根拠となる見積書が具体的であるほど、融資額の算出根拠に納得感が生まれ、担当者の理解も深まります。

7.上野 光夫氏監修|事業計画書作成のポイント

融資という舞台において、創業者が陥りやすいのが「売上の数字」だけで経営を判断してしまうことです。数多くの企業の資金繰りを支えてきた上野光夫氏は、融資を引き出すための事業計画書には、実務に基づいた精緻な視点が欠かせないと説いています。

熱意を伝えることも大切ですが、それ以上に金融機関が求めているのは、過酷な資金繰りの現場を乗り切るための「理詰め」の準備です。ここでは、審査のプロが評価する事業計画書作成の核心となるポイントについて解説します。

1)数字は「売上」ではなく「入金」で考える

ビジネスの現場において、帳簿上の売上高と、じっさいに通帳へ入る現金の額は必ずしも一致しません。とくにBtoBの取引では、売上が計上されてから入金されるまでに1カ月以上の期間が空くことが珍しくありません。上野氏が強調するのは、売上高という「結果」ではなく、現金の入るタイミングを起点に資金繰りを組み立てるという視点です。

家賃や人件費などの支払いは、売上の計上に関係なく毎月発生します。いつ現金が入り、いつ出ていくのかを正確に把握しなければ、黒字倒産という最悪の事態は避けられません。事業計画書を作成する際は、必ず「入金ベース」でキャッシュフローを予測してください。

2)金融機関には「返せる理由」を見せる

融資の審査において、担当者は事業の将来性や経営者の情熱を評価しますが、最終的な判断基準は「確実に返済できるか」という一点に集約されます。どれほど素晴らしいサービスを計画していても、返済の原資が不明確であれば、金融機関はリスクをとることができません。

そのため、事業計画書では、どのような商談がどの段階まで進んでいるのか、契約の進捗状況はどうなっているのか、といった具体的な根拠を数字で示すことが求められます。単に「売れる見込みがある」と主張するのではなく、既存の受注契約書や、補助金の採択通知といったエビデンスを提示し、返済が確実におこなわれる理由を客観的な事実として積み上げてください。

3)事業計画書作成ツールへの導線

頭のなかにある構想を、融資に適した形に落とし込む作業はかんたんではありません。構成や書き方に迷ったときは、専門機関が提供しているツールを活用するのがもっとも効率的です。公的な支援サイトでは、融資担当者の目線に合わせた標準的な事業計画書フォーマットが用意されており、必要な項目を入力するだけで、説得力のある計画書を作成できるよう設計されています。ツールやフォーマットを活用し、不足のない資料作成を目指しましょう。

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8.よくある質問

1)つなぎ融資は創業前でも受けられますか?

創業前の場合、実績がないため判断はきびしくなります。しかし、自己資金の準備状況や、確実な受注が見込める契約状況、あるいは過去のキャリアを裏付けるような詳細な事業計画があれば、可能性は十分にあります。

2)補助金入金までつなぎ融資は使えますか?

補助金は採択後、じっさいに口座に入金されるまでタイムラグがあるのが一般的です。採択通知書を提出し、入金までの資金繰り対策として融資を受けるケースは多く見られます。事前に金融機関に相談しておくことが肝要です。

3)つなぎ融資に事業計画書は必要ですか?

必須です。融資の審査では、創業者の返済能力を判断するための材料が限られているため、事業計画書と資金繰り表が唯一の説得ツールとなります。なぜ今資金が必要で、なぜ返済可能なのかを説明する責任は経営者にあります。

9.まとめ|つなぎ融資は「いつ返せるか」を事業計画で示すことが重要

まとめ概要

つなぎ融資は、事業を成長させるための橋渡しとして極めて有効な手法です。入金のタイミングと、支出のタイミングのズレを一時的に埋めることで、チャンスを逃さずに事業を前進させることが可能になります。しかし、これを単なる赤字の延命策として使ってしまえば、資金繰りはよりいっそう悪化し、経営に深刻なダメージを与えることになります。

成功の鍵を握るのは、やはり事業計画書です。融資を受ける際には、「いくら借りるか」以上に「いつ、何の入金によって完済できるのか」を数字で明確に説明できる準備を整えてください。補助金の入金や売掛金の回収など、確かな根拠に基づいた返済計画こそが、金融機関からの信頼を勝ち取る唯一の方法です。

まずは自身の資金繰り表を詳細に作成し、どこの月でショートするのか、なぜそのショートが発生するのかを正確に把握することからはじめてみましょう。創業時の困難を乗り越えるためには、計画性こそが最高の資産となります。事業計画書を武器に、盤石な財務基盤を築き上げてください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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