創業計画書の売上予測の正しい立て方とは? 中小企業診断士が徹底解説
飲食店経営者にとって、日々の売上が安定しないことは大きな不安要素です。とくに創業時や事業の改善を検討する際、根拠のある売上予測を立てることは、金融機関からの融資獲得だけでなく、安定した店舗運営に欠かせないステップとなります。
本記事では、数字への苦手意識がある方でも実践できる論理的な売上予測の立て方を、中小企業診断士の視点で分かりやすく解説します。将来の数字を可視化し、自信を持って経営の舵を切れるようになりましょう。
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元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.そもそも創業計画書とは
創業計画書とは、これからはじめる事業のビジョンや具体的な収支の見通しをまとめたビジネスの設計図です。日本政策金融公庫から創業融資を受ける際には必ず提出が求められる重要な書類であり、審査の成否を分けるカギとなります。
単なる形式的な書類ではなく、自分自身の頭のなかにあるアイデアを整理し、客観的に事業の実現可能性を検証するためのツールでもあります。計画を文書化することで、どのような課題があるのかを明確に把握できるようになるでしょう。
内容に説得力を持たせるためには、主観的な希望だけでなく、客観的なデータに基づいた根拠が求められるのが特徴です。
2.創業計画書で売上予測が重要な理由
融資の審査において、売上予測はもっとも注目される項目のひとつといっても過言ではありません。なぜこれほどまでに重視されるのか、その主な理由を3つの側面から掘り下げていきます。
1)金融機関は返済能力を見極める必要がある
銀行などの金融機関がもっとも懸念するのは、貸したお金が返ってこなくなるリスクです。融資を返済してくれる確証がある会社にだけ資金を投じたいと考えるのは、当然の心理といえるでしょう。
売上予測は、その返済原資がどこから生まれるのかを示す根拠になります。予測が甘ければ返済能力を疑われ、融資を受けられる可能性が大幅に下がってしまいます。返済能力にかかわる部分であるため、非常にシビアな目で見られることに注意しましょう。
2)論理的な説明が可能かを確認する
多くの場合、金融機関の担当者よりも経営者自身の方が、その業界や専門分野について
詳しいものです。しかし、担当者はその専門知識をどう論理的に説明できるかをきびしくチェックしています。
単に「売れるはずだ」という感覚的な主張ではなく、市場背景や競合との比較を踏まえたロジックが通っているかを見ているのです。融資担当者を納得させるには、数字の裏付けとなるストーリーを構築する必要があります。
参考:【元公庫職員が教える】創業融資の面談で聞かれること6選
3)融資に関係なく起業で成功するには売上予測は重要
売上予測を立てる最大のメリットは、経営の不確実性を減らせる点にあります。予測があれば、仕入れの量や人員配置のタイミングを事前に計画でき、無駄なコストをおさえることが可能です。
また、目標と実績のズレを早期に発見できるため、迅速な対策を講じることもできます。健全な利益体質をつくり上げ、事業を長く継続させていくためには、精度の高い予測が羅針盤のような役割を果たします。
3.売上予測の計算方法
売上予測を立てる際の基本は、大きな数字をいきなり出そうとせず、要素を細かく分解して「掛け算」で算出することです。これにより、どの部分が要因で売上が増減したのかを特定しやすくなります。代表的な5つの業種別に、具体的な計算モデルを見ていきましょう。
参考:数値計画、売上シナリオ
1)飲食店
飲食店の基本式は「客席数×1日の回転数×客単価×営業日数」となります。たとえば、20席の店でランチに1.5回転、客単価1,000円、月に25日営業する場合、ランチの月商は75万円と計算でき、ここにディナーの数字を合算します。
週末と平日で回転数が変わる場合は、それぞれ分けて算出するとより精度が高まるでしょう。参考にできるようなPOSデータが手元にあるなら、時間帯別の稼働率を反映させることで、仕入れ計画にも直結する詳細な予測がつくれます。
2)小売店
小売店の場合は「来店客数×購買率×平均購入単価」で計算します。店舗に来店した人数に対し、そのうち何人がじっさいに商品を購入するかを想定します。
購買率は業種によって異なりますが、一般的な雑貨店やアパレルなら、自店の立地条件を考慮して設定するとよいでしょう。単価アップを狙うセット販売などの戦略を立てる際も、この計算式をベースに改善案を練ることが可能です。
3)美容サロン
美容サロンなど予約制のサービスは「ベッド数(スタッフ数)×施術可能人数×客単価」を用います。1日に対応できる上限人数が決まっているため、最大稼働率を何パーセントに設定するかがポイントです。
最初から100%の稼働を見こむのは現実的ではないため、平日は50%、土日は80%といったように、曜日別の稼働率を現実的なラインで設定します。これにより、無理のない人員配置や集客計画を立てることができるようになります。
4)ECサイト
オンラインショップの場合は「アクセス数×コンバージョン率(購入率)×客単価」で算出します。実店舗と異なり、どれだけサイトに人を集められるかが勝負の分かれ目となります。
広告費を投入した際にアクセス数がどう伸びるか、またサイトの導線改善によって購入率がどう変化するかをシミュレーションしましょう。SNSのフォロワー数から流入を予測する場合も、この式に当てはめることで具体的な売上目標が見えてきます。
5)BtoBサービス
法人向けのサービスでは「提案数×受注率×案件単価」で考え、まずは見こみ客となる企業にどれだけアプローチし、商談を何件設定できるかを算出します。
そのなかから契約に至る確率を、過去の経験や業界の平均値を参考に割り出します。1件あたりの単価が大きい場合は、受注時期のズレが資金繰りに影響するため、成約までの期間も考慮して計画を立てることが重要です。
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4.売上予測を立てる際の注意点
計算式を立てるだけでなく、その数字の妥当性を高めるためにはいくつかの重要な視点が必要です。多くの経営者が陥りがちな落とし穴を防ぐための注意点を整理します。
1)曜日・季節変動の考慮
売上は常に一定ではありません。飲食店であれば、週末の夜がピークとなることが多く、アイスクリーム店であれば夏場に売上が集中します。
また、近隣の大型イベントや連休の影響も無視できません。平均値だけで年間の売上を予測するのではなく、月ごとのカレンダーを意識して変動を盛りこみましょう。こうした波をあらかじめ予測しておくことで、閑散期の資金繰り対策を事前に講じることが可能になります。
2)集客の費用
売上は勝手に上がっていくものではなく、何らかの集客活動の結果として生まれるものです。SNS広告、ポスティング、グルメサイトへの掲載など、売上目標を達成するために必要なコストを明確にしましょう。
広告費をまったくかけずに売上が伸びるような計画は、金融機関から非現実的だと判断されます。売上と販促費をセットで考え、利益がしっかり残る構成になっているかを確認してください。
3)販売単価の市場競争力
自分が提供するサービスの単価が、市場の相場と乖離していないかを確認することも大切です。こだわりが強いあまり、顧客のニーズを無視した高額な価格設定になっていないでしょうか。
競合他社の価格を調査したうえで、自社がその価格で売るための付加価値が何なのかを説明できるように準備します。顧客が納得して支払える適正な価格設定こそが、安定した集客と売上の基盤となります。
5.よくある質問
売上予測の作成に際して、多くの経営者から寄せられる疑問についてお答えします。
1)売上予測が「右肩上がり」にならないと、融資はとおりにくいですか?
必ずしも右肩上がりの計画である必要はありません。金融機関がもっとも重視するのは、計画の継続性と返済の確実性です。創業から一定期間を経て売上が安定し、横ばいで推移する計画であっても、借入金を返済したうえで十分な利益が残るなら問題ありません。
むしろ、根拠のない右肩上がりのグラフは警戒される原因になります。実力に見合った、地に足の着いた予測を提示することが信頼に繋がります。
2)複数の売上シナリオを提示した方がよいですか?
経営者自身のシミュレーションとしては複数パターン用意しておくべきですが、提出する書類としてはもっとも現実的な1本を提示するのが基本です。あまりに多くのパターンを提示すると、経営者としてどの数字にコミットしているのかが分かりにくくなり、決断力がないと判断される恐れがあります。
確信を持てるメインの計画をしっかり作りこみ、質問された際のリスク対策としてほかのパターンを口頭で補足するのが理想です。
3)過去の実績(前職の営業成績など)を売上予測の根拠にしてもよいですか?
前職での実績やこれまでの経験は、予測の妥当性を支える非常に強力な武器になります。まったく実績のない状態よりも、具体的な過去の数字がある方が金融機関も納得しやすいでしょう。
ただし、会社という組織の看板があったころの実績をそのまま持ちこむのは危険です。独立して個人の力で活動する場合、どのような条件下でその数字が達成できるのかを、将来の環境に合わせて再構成して説明する必要があります。
6.売上予測を立てるなら事業計画書作成サポートツールがおすすめ
いざ自分で売上予測を立てようとしても、何から手をつければいいか迷ってしまう方も多いでしょう。そんなときには、便利なサポートツールの活用をおすすめします。
ドリームゲートの事業計画書作成ツールを使えば、専門的な知識がなくてもブラウザ上で入力するだけで、説得力のある事業計画や売上予測を作成できます。数値の整合性も自動でチェックされるため、計算ミスの心配もありません。まずは無料で試してみて、自身の事業を客観的に見つめ直す第一歩を踏み出しましょう。
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