ラーメン店の開業における資金調達のすべてを起業のプロが徹底解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/10/24 

多くの方がラーメン店の開業という夢を見ます。しかし、じっさいに開業するためにはどれくらいの資金が必要なのか、そしてその資金をどう調達すればよいのかという課題に直面しがちです。とくに競争が激しいラーメン業界で成功を収めるためには、緻密な事業計画と資金調達戦略が欠かせません。

本記事では、ラーメン店の開業を目指す方に向けて、必要な開業資金の目安から、費用をおさえる具体的な方法、さらに成功に直結する資金調達のノウハウまでを、起業のプロの視点から徹底的に解説します。夢を実現するための第一歩として、ぜひお役立てください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.ラーメン店の開業資金はいくら必要か

ラーメン店を開業するにあたり、まず気になるのが「一体いくら必要なのか」という点ではないでしょうか。資金計画の甘さは事業失敗の大きな原因となりえるため、現実的な費用を把握することが非常に大切です。

1)規模によるが1000万〜2000万が目安

ラーメン店の開業資金は、店舗の規模や立地、設備投資の内容によって大きく変動しますが、一般的には1,000万円から2,000万円程度が目安となります。ただし、一等地での新規出店や、こだわりの内装・厨房設備を導入する場合、この金額を超えることも珍しくはありません。

2)費用内訳

開業資金は、主に以下のような項目に分類されます。それぞれの項目で、初期投資をおさえる工夫が可能となります。

物件取得・賃貸契約

店舗となる物件の敷金、礼金、仲介手数料、前家賃などが含まれます。都心部や駅前など立地のよい場所では高額になりやすい項目です。

内装工事

壁や床、天井、カウンター、テーブル席などの工事費用です。コンセプトを反映させるための重要な要素ですが、費用が膨らみがちな部分でもあります。

厨房設備

ラーメン作りに不可欠な寸胴鍋、製麺機(導入する場合)、冷蔵庫、冷凍庫、ガスレンジ、シンク、換気扇などが含まれます。新品か中古かによって費用が大きく異なります。

家具・備品

顧客用の椅子やテーブル、食器類、調理器具、レジスター(POSシステム)など、営業に必要な消耗品・非消耗品を購入する費用です。

初期在庫

開業当初に必要となる麺、スープの材料、トッピング、調味料などの仕入れ費用を指します。

広告宣伝費

オープン時のチラシ作成・配布、ウェブサイト制作、SNS広告など、集客のためにかける費用となります。

開業諸経費

法人設立費用(個人事業主の場合は不要)、各種許認可の申請費用、専門家への依頼料などが該当します。

運転資金

開業後、事業を運営していくうえで必要となる資金です。具体的には、家賃、人件費、仕入れ費用、水道光熱費などがこれにあたります。開業にあたっては、最低でも3〜6カ月分を見込んでおくのが安全でしょう。

2.ラーメン店の開業資金をおさえるポイント

前述のとおり、ラーメン店の開業資金は高額になりがちです。しかし、いくつかのポイントをおさえることで、初期投資を大幅に削減することが可能になります。費用をおさえることは、その後の運転資金の負担軽減にもつながるため、戦略的に検討すべき事項です。

1)立地・内装・広さ

開業資金の中でもっとも大きな割合を占めるのが不動産関連費用です。人通りの多い一等地は賃料が高く、敷金や保証金も高額になりがちですが、駅から少し離れた場所や、人目につきにくい2階以上の物件を選定することで、大幅なコストカットを実現できる可能性があります。

また、店舗面積が必要以上に広いと、家賃や内装工事費、光熱費もかさむため、提供したいラーメンの種類や席数を考慮した最適な広さを見極めることが肝要です。

2)居抜き・間借り・ポップアップ

新規で内装工事をおこなう「スケルトン」物件ではなく、以前飲食店として使用されていた設備が残る「居抜き」物件を選ぶことで、内装工事費や厨房設備の導入費用を大きくおさえられます。

さらに、夜のみ営業している飲食店などのスペースを間借りして営業する「間借り」や、短期間だけ仮店舗で営業する「ポップアップストア」形式は、初期費用を極限までおさえながら、市場の反応を試すことができる有効な手段です。

3)屋台・無店舗型

従来の店舗型にこだわらず、屋台やキッチンカーを利用した無店舗型での開業も、初期費用を劇的におさえる選択肢のひとつです。物件取得費や高額な内装工事費が不要となり、初期投資は数百万円程度におさえられる場合が多いでしょう。さらに、固定店舗がないため、イベント出店やデリバリー・テイクアウト専門など、柔軟な営業形態を採れるのが大きな利点です。

4)そのほか

コスト削減のための工夫は、上記以外にも多岐にわたります。

①メニューを絞る

提供するメニュー数を絞り込むことで、必要な仕入れの品目や在庫管理の手間が減り、それにともなって厨房設備も最小限で済むことがあります。

②厨房機器は中古品を使用する

中古の製氷機や冷蔵庫、ガスレンジなどを活用すれば、新品購入の数分の1の費用で済みます。ただし、保証期間や故障リスクには注意が必要です。

③家族や友人に手伝ってもらう

人件費は運転資金の大きな割合を占めます。開業当初は、家族や友人に協力を仰ぎ、アルバイトを雇うコストをおさえるのも現実的な手段です。

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3.ラーメン店の開業資金の調達方法

開業資金の調達は、ラーメン店の事業をスタートさせるうえで避けて通れない重要なステップです。資金調達の方法にはさまざまな種類があり、それぞれにメリットとデメリットが存在するため、自身の状況に合った最適な方法を選択する必要があります。

1)日本政策金融公庫

開業資金の調達において、まず検討すべきは日本政策金融公庫です。起業家を支援するための国の機関であり、民間金融機関の融資と比較して金利が低く、無担保・無保証人で借入れできる可能性がある点が大きな魅力です。審査のハードルも比較的低く設定されているため、ラーメン店のような新規開業のケースでも利用しやすい選択肢といえます。

2)信用保証協会付き融資

信用保証協会付き融資は、信用保証協会が融資の保証をおこなうことで、金融機関が融資しやすくなる制度です。ラーメン店は地域密着型のビジネスであるため、地元の信用金庫や地方銀行に相談するのが効果的です。

信用金庫は地域貢献に熱心であり、小規模な事業者に対するサポート体制が充実していることが多くなっています。そのため、事業の規模が小さいうちはメインバンクとして信用金庫と関係を構築することが融資を受けるうえで有利に働きます。

参考:創業融資における信用保証協会の役割とは?|資金調達のプロが公庫と徹底比較

3)地方自治体の制度融資

各地方自治体でも、地域経済の活性化や創業を支援するための独自の「制度融資」を設けていることがあります。制度融資は、地方自治体と信用保証協会、金融機関の三者が協調しておこなう融資です。融資を容易にするための制度であり、利子負担の軽減を目的として、利子の一部補填をおこなっている場合もあります。

4)クラウドファンディング

インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を調達する方法が、クラウドファンディングです。とくに、ユニークなコンセプトやストーリー性のあるラーメン店は、共感を呼び、資金が集まりやすい傾向があります。

資金調達だけでなく、開業前の広告・PR効果や、潜在的な顧客層の獲得にもつながるというメリットがありますが、プロジェクトに関心が集まらなければ資金調達は困難となります。したがって、この方法のみに頼らず、ほかの資金調達方法と並行して検討すべきです。

5)ビジネスローン

民間の金融機関や貸金業者が提供するビジネスローンは、審査期間が短く、比較的スピーディーに資金を調達できるという利点があります。しかし、ほかの融資制度と比較して金利が非常に高く設定されていることが多いため、安易に利用することは避けるべきです。

4.ラーメン店が開業資金の調達で成功するためのポイント

資金調達を成功させるためには、単に融資を申請するだけでなく、金融機関や審査担当者に対して「この事業は成功する」と確信させるための準備と戦略が必要です。

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1)「ペルソナ」を設定した店作りでアピールする

ラーメン店はすでに飽和状態にあるため、「美味しいラーメン」だけでは融資担当者を納得させることは難しいでしょう。成功への確信を持ってもらうためには、「誰に(ペルソナ)、どのような価値を提供するのか」を明確にした店作りをアピールすることが重要です。

参考:客数を増やしたかったら顧客を絞れ!「ペルソナ設定」で売れるビジネスづくり

2)独自の強みを強調する

競合性の高いラーメン業界で生き残るためには、他店にはない「独自の強み」を明確に強調することが不可欠です。「地元の特産品を使った限定メニュー」「無添加にこだわったスープ」「深夜まで営業するニッチな時間帯の営業」など、競合との差別化ポイントを明確にし、それが市場でどのように受け入れられるのかを具体的に説明する必要があります。

3)信用情報の傷があれば回復させる

過去に公共料金や税金、クレジットカードの支払い、各種ローンの返済などで遅延や滞納があった場合、信用情報に「傷」がついている可能性が高く、融資を受けるのが著しく困難になります。もし心当たりがある場合は、まずはこれらの支払いを正常化し、信用情報の回復に努めることが、融資申請の前提条件となります。

4)開業前〜開業3カ月以内に申請する

融資申請は、物件契約の目途が立った開業前、遅くとも開業後3カ月以内におこなうことが理想的です。開業から時間が経過しすぎると、過去の事業実績(売上や利益)が審査の対象となり、計画どおりにいっていない場合は不利になってしまうからです。

5)自己資金比率を高める

融資担当者は、事業主がどれだけ本気で事業に取り組んでいるかを、自己資金の比率で判断します。一般的に、総事業費の30%以上を自己資金で賄うことができれば、融資審査で有利に働くとされています。

6)税理士・中小企業診断士から金融機関を紹介してもらう

自己資金や事業計画書の完成度も重要ですが、税理士や中小企業診断士などの専門家から金融機関を紹介してもらうことも、資金調達の成功において重要な要素のひとつとなります。自己流で進めるよりも、実績のある専門家のサポートを受ける方が、圧倒的に成功率が高まるでしょう。

5.事業計画書作成サポートツールの活用がおすすめ

これから事業計画書を作成される方には、ドリームゲートの事業計画書作成サポートツールの活用をおすすめいたします。専門家の視点を取り入れた精度の高い事業計画書を作成することは、融資成功への確実な第一歩となることでしょう。無料で使えますので、まずは試してみましょう。

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