東京都で活用できる創業融資制度と成功のコツを起業のプロが徹底解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/08/28 

東京都で起業を志す方にとって、資金調達は事業成功の鍵を握る重要な要素です。なかでも、創業期において頼りになるのが「創業融資」です。

しかし、東京都には多くの金融機関や制度が存在するため、どの融資制度を選べばよいのか、どのように申請すればよいのか迷ってしまう方も少なくありません。

そこで本記事では、起業のプロが東京都で活用できる創業融資制度の全体像を整理し、それぞれの特徴や申請の注意点、そして成功に導くための実践的なコツを徹底的に解説します。東京都で事業をはじめようとされている方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.そもそも創業融資とは

創業融資とは、これから新しく事業をはじめる方や、事業を開始して間もない方を対象とした融資制度の総称です。事業実績が乏しい創業期は、一般的な企業向け融資を受けるのが難しいため、国や自治体、金融機関などが特別に設けている制度を活用することになります。

創業融資は、返済義務のない助成金や補助金とは異なり、利子をつけて返済していく必要があります。しかし、事業の立ち上げに必要な運転資金や設備資金を、比較的低金利で調達できる点は大きなメリットになるでしょう。創業融資の審査では、事業計画の実現可能性や、申請者の事業経験、自己資金の有無などが総合的に評価されます。

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2.東京都で利用できる創業融資

東京都で創業融資を検討する場合、選択肢は多岐にわたります。それぞれの特徴を理解し、自身の事業内容や状況に合った制度を選ぶことが成功への第一歩となります。

主な選択肢としては、以下のような制度が挙げられます。

  • 東京都独自の制度融資
  • 区や市の制度融資
  • 日本政策金融公庫の融資
  • 東京信用保証協会の保証付き融資

これらの制度を上手に組み合わせることで、より有利な条件で資金を調達できる可能性が高まります。

1)東京都中小企業制度融資『創業』

東京都が設けている『創業』は、都内で事業をはじめる方にとってもっとも一般的な選択肢のひとつです。この制度は、東京都内の金融機関を通じて、東京信用保証協会の保証を受けて融資を受けるものです。

創業の最大の利点は、都内の信用金庫や地方銀行など、幅広い金融機関で利用できる点にあります。また、保証料の一部を東京都が負担してくれるため、自己負担をおさえることができます。融資限度額や要件は時期によって変動するため、最新の情報を確認することが重要です。

参考:東京都産業労働局「東京都中小企業制度融資『創業』」

2)区や市の制度融資

東京都には、23区や23区外の市町村が独自に設けている制度融資も存在します。これらの制度は、それぞれの地域における産業振興や雇用創出を目的としており、都の制度融資よりもさらに有利な条件で利用できる場合があります。

たとえば、特定の業種を優遇していたり、融資限度額が上乗せされたりするケースもあります。申請には、本店所在地がその区や市にあることが条件となる場合が多いため、事業所の所在地とあわせて検討することが不可欠です。

3)日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府系金融機関であり、民間の金融機関の補完的な役割を担っています。創業融資においては、『新規開業・スタートアップ支援資金』が広く知られています。これらの融資は、都内の本店だけでなく、全国に多くの支店を構えているため、東京都に事業所を構える方でも申請可能です。

日本政策金融公庫の融資は、東京都の制度融資などと異なり、信用保証協会の保証を必要としないため、保証料の負担がありません。また、融資の決定スピードが比較的早いという特徴も持ち合わせています。

参考:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

4)東京信用保証協会付き融資

東京都内の信用金庫や地方銀行、一部の都市銀行から創業融資を受ける場合、そのほとんどが東京信用保証協会の保証付き融資となります。この保証は、企業が返済不能になった場合に、信用保証協会が金融機関に代位弁済をおこなうというしくみです。これにより、金融機関はリスクを低減できるため、創業期の実績がない企業への融資にも積極的に応じやすくなります。

東京都の制度融資も、この信用保証協会付き融資の一部です。この制度を利用する際は、別途保証料の支払いが必要となることを理解しておく必要があります。

3.東京都で創業融資を受ける際の注意点

東京都で創業融資を成功させるためには、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。これらのポイントを理解せず安易に申請を進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。

東京都で事業をはじめるにあたり、金融機関との関係構築は非常に重要です。しかし、すべての金融機関が創業融資に積極的であるとは限りません。それぞれの金融機関の特性を把握し、自身の事業に最適なパートナーを見つけることが成功への鍵となります。

1)メガバンクは創業融資には消極的

東京都にはメガバンク三行が本社を構え、多くの支店を展開しています。しかし、これらのメガバンクは、一般的に創業融資には消極的な姿勢を示しています。これは、創業期の企業は実績が乏しく、リスクが高いと見なされるためです。

売上規模が小さい間は、メガバンクをメインバンクとするのではなく、入金専用口座として利用する程度に留めておくのが賢明です。将来的にはメインバンクとなる可能性もありますが、まずは創業融資に積極的な金融機関に相談すべきでしょう。

2)信用金庫の規模に大差あり

東京都内には数多くの信用金庫が存在し、その規模には大きな差があります。なかには、預金額や融資残高がメガバンクに匹敵する「メガ信金」と呼ばれる信用金庫もあります。

一方で、規模が小さい信用金庫は、信用保証協会の保証付き融資しか扱わないケースも少なくありません。また、将来的にほかの信用金庫との合併をおこなう可能性も否定できません。信用金庫を選ぶ際は、預金額や融資残高、事業規模などを確認し、長期的な取引が可能かどうかを見極めることが重要です。

参考:信用金庫・信用組合から融資を受けるには

3)東京都の地方銀行をうまく活用

東京都はメガバンクが強い市場であるため、地方銀行がそこまで大きな存在感を放っていないと思われがちです。しかし、この状況を逆手にとり、地方銀行をうまく活用することが創業融資成功のポイントとなります。

信用保証協会の保証枠を活用すれば、地銀とも取引できる可能性が高まります。将来的にプロパー融資(信用保証協会の保証を必要としない融資)へとステップアップできる可能性もあるため、積極的に検討してみる価値があります。

4)本店移転は慎重に

東京都はバーチャルオフィスやシェアオフィスが充実しており、本店移転が比較的容易です。しかし、創業融資を受けた後に安易に本店を移転することは避けるべきです。制度融資を利用している場合、本店を管轄区域外に移転すると契約違反となる可能性があります。

また、一部の融資制度では、特定の区域に一定期間以上本店を置いていることが申請条件となっている場合もあります。事業拡大にともなう移転を検討する際は、必ず事前に融資元の金融機関に相談し、契約内容を十分に確認してください。

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4.東京都で創業融資を成功させるためのポイント

東京都という日本最大の市場で創業融資を成功させるためには、ほかの地域とは異なる戦略を立てる必要があります。単に融資制度を理解するだけでなく、事業計画そのものをより強固にすることが不可欠です。

東京都の金融機関は、事業計画の地域性や将来性を重視する傾向があります。そのため、融資担当者を納得させる説得力のある事業計画書を作成し、東京都ならではの特性を活かした戦略を練ることが成功への近道となります。

1)地域に根ざしたビジネスを展開する

東京都の制度融資や信用金庫から融資を受ける場合、その地域に根ざしたビジネスを展開していることが評価されます。地域社会への貢献や、その地域に住む人々をターゲットにした事業計画は、融資担当者によい印象を与えやすいです。事業計画書には、地域との関わりや、地域経済への波及効果について具体的に盛り込むことが重要となります。

2)東京都内の金融立地を意識する

東京都は、区によって産業構造や特性が大きく異なります。そのため、事業を展開する地域の金融立地を意識することが大切です。

たとえば、IT企業であれば渋谷区、ファッション関連であれば港区といったように、特定の業種が集積する地域には、その業界への融資に積極的な金融機関が存在します。リモートワークやシェアオフィスなどの新しい働き方にも寛容な金融機関もあるため、自身の事業に合った立地を選ぶことが重要です。

3)東京都の助成金も活用する

創業融資とあわせて、返済不要の助成金も積極的に活用しましょう。東京都には、東京都中小企業振興公社が実施する「創業助成金」をはじめ、「商店街起業・承継支援事業」、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」など、さまざまな助成金制度があります。これらの助成金は、資金繰りを安定させるだけでなく、事業の公的な信頼性を高める効果もあります。

4)競合が多いので差別化をする

東京都は、日本でもっとも競合性が高い市場です。そのため、事業計画書を作成する際は、競合との差別化をとくに意識する必要があります。

ただ単に「よい商品・サービス」を提供するだけでなく、「なぜあなたの事業が成功するのか」を明確に提示することが不可欠です。独自の強みや革新性、ターゲット層を絞り込んだニッチな戦略などを具体的に記述し、融資担当者を納得させることが成功の鍵となります。

5.はじめての創業融資はドリームゲートの事業計画書作成サポートツール

東京都で創業融資を成功させるためには、説得力のある事業計画書が不可欠です。しかし、はじめて事業計画書を作成する方にとって、それは容易な作業ではありません。そこでおすすめしたいのが、ドリームゲートが提供する事業計画書作成サポートツールです。

このツールは、創業融資に必要な要素を網羅しており、質問に答えていくだけで説得力のある事業計画書を作成できます。事業計画書の作成に不安を感じている方は、ぜひこのツールを活用し、融資成功への第一歩を踏み出してください。

この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
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