女性が開業したら申請すべき融資制度と成功のコツを起業のプロが解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/02/24  最終更新日: 2025/03/29

近年、女性の社会進出が加速し、起業という選択肢を選ぶ方も増えています。しかし、起業には資金調達が不可欠であり、多くの女性起業家にとって、大きなハードルとなっています。

じっさい、資金調達の方法や適切な融資制度、申請のタイミングなどは、起業を志す女性にとって悩みの種となることが多いようです。

そこで当記事では、女性起業家が利用できるさまざまな融資制度や、融資以外の資金調達方法、そして融資を成功させるためのコツを、起業支援専門家の視点から分かりやすく解説いたします。

これから起業を考えている方、あるいはすでに起業しているものの資金調達にお困りの方は、ぜひ当記事を参考にして、一歩を踏み出しましょう。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.そもそも融資とは?

起業に必要な資金を調達する方法として、まず思い浮かぶのは「融資」ではないでしょうか。融資とは、銀行などの金融機関から事業資金を借入れることで、起業には欠かせない資金調達方法のひとつです。ここでは、融資の定義と、よく似た言葉である「出資」との違いについて解説します。

1)融資の定義

融資とは、金融機関や個人からお金を借り、それを事業資金として活用することを指します。借入れた資金には利息が発生し、あらかじめ定められた期間内に元金と利息を返済していく必要があります。

返済方法や期間・金利などは、融資を受ける金融機関や、融資の種類、そして事業の内容や規模によって異なります。

2)出資との違い

出資とは、企業に対して資金を提供する代わりに、その企業の株式を取得することを言います。株式を取得することで、出資者は企業の所有権を持ち、経営に参加する権利を得ます。

融資と出資のもっとも大きな違いは、返済義務の有無です。融資は借入れた資金を返済する義務がありますが、出資の場合は、原則として返済義務はありません。ただし、出資を受けた場合は、企業の経営状況に応じて配当金を受け取ったり、株式を売却して利益を得たりできます。

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2.女性起業家が活用できる融資制度

起業を志す女性にとって、資金調達は大きな課題のひとつです。しかし、近年では女性起業家を支援するための融資制度が充実してきており、積極的に活用することで、事業の立ち上げをスムーズに進めることができます。

ここでは、女性起業家が利用できる代表的な融資制度を3つ紹介し、それぞれの制度の特徴やメリット、利用条件などをくわしく解説します。

1)日本政策金融公庫

起業に必要な資金を調達する際、まず検討したいのが日本政策金融公庫の融資制度です。日本政策金融公庫は、政府系金融機関として、女性に限らず、多くの起業家を支援しています。

女性起業家にとってとくに有利な制度として、「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」と「女性、若者/シニア起業家支援資金」の2種類があります。

「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」は、女性、若者、シニアのいずれかに該当する方が、新たに事業をはじめる際や開業後間もない時期に利用できる制度です。融資限度額は7,200万円で、事業開始にともなう設備資金や運転資金などを、低金利で借りることができます。

一方、「女性、若者/シニア起業家支援資金」は中小企業事業として、有利な条件で融資を受けることができます。融資限度額は、直接貸付の場合には7億2千万円で、規模の大きな開業向けの制度です。

これらの制度は、通常の融資よりも低い金利で借りられるだけでなく、返済期間も長めに設定されているなど、女性起業家にとって利用しやすい制度設計となっています。

日本政策金融公庫は、全国に支店を展開しており、相談しやすい環境が整っている点も大きなメリットです。起業を検討している女性は、まずは日本政策金融公庫に相談してみることをおすすめします。

参考:日本政策金融公庫「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」
参考:日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金」
参考:日本政策金融公庫の創業融資が大進化【元公庫融資課長が解説】

2)各自治体の創業支援融資事業

各自治体においても、女性起業家を支援するための独自の融資制度が設けられています。これらの制度は、地域経済の活性化と、女性の社会進出促進を目的としており、それぞれの地域特性に合わせた支援内容となっています。

たとえば、東京都の「女性・若者・シニア創業サポート2.0」は、女性・若者・シニアの創業をサポートするための総合的な制度です。この制度では、融資だけでなく、経営相談やセミナー、専門家によるメンタリングなどのサポートも受けられるため、起業経験の浅い女性でも安心して事業をはじめることができます。

東京都以外にも、神奈川県、埼玉県、茨城県など、多くの自治体で同様の融資制度が設けられています。これらの制度は、都道府県の事業として運営されていますが、じっさいの融資業務はその地域の信用金庫や信用組合、あるいは保証協会の保証つきでおこなわれます。

各自治体の創業支援融資事業は、地域に密着した金融機関が窓口となるため、地域の情報やネットワークを活用できる点も大きなメリットです。また、融資だけでなく、経営に関するサポートも受けられるため、起業に必要な知識やノウハウを習得できます。

3)信用金庫・信用組合

信用金庫や信用組合は、地域密着型の金融機関として、地域社会への貢献を重視しています。そのため、地域経済の活性化に繋がる女性起業家を積極的に支援しており、独自の融資制度を設けている場合も少なくありません。

たとえば、昭和信用金庫の「しょうわ女性・若者・シニア創業ローン」は、女性起業家などを応援する融資制度です。この制度では、通常の融資よりも低い金利で融資を受けられるだけでなく、創業初期に必要な運転資金や設備資金など、幅広い資金使途に対応しています。

信用金庫や信用組合は、地域に密着した金融機関であるため、その地域の経済状況やニーズを深く理解しています。そのため、よりきめ細やかな融資相談や、事業のサポートを受けることができます。

また、信用金庫や信用組合は、地域貢献を重視する金融機関であるため、地域社会への貢献意欲が高い女性起業家にとって、とくに心強いパートナーとなるでしょう。

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3.女性起業家が利用すべき融資以外の資金調達方法

女性起業家が資金を調達するには、融資以外にもさまざまな方法があります。助成金や補助金、クラウドファンディングなど、それぞれにメリットとデメリット、そして利用条件があります。それぞれの資金調達方法の特徴を理解し、事業の状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。

1)助成金

助成金は、国や地方自治体から交付される資金で、返済の必要がないという大きなメリットがあります。女性起業家が活用できる助成金には、以下のようなものがあります。

●両立支援等助成金

仕事と家庭の両立を支援するための助成金で、育児休業制度の導入や、事業所内保育施設の設置などに活用できます。

●キャリアアップ助成金

キャリアアップを支援するための助成金で、女性従業員の正社員登用や、管理職への登用などに活用できます。

●地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

該当地域にある中小企業の創業を支援するための助成金で、創業にかかる費用や、設備投資などに活用できます。

●雇用関係助成金

雇用調整助成金や、産業雇用安定助成金など、従業員の雇用を促進するための助成金で、新規雇用の創出や、従業員の教育訓練などに活用できます。

助成金は、要件を満たせば受給できる可能性が高いため、積極的に活用を検討する価値があります。

参考:補助金、助成金 トピック一覧

2)補助金

補助金も、国や地方自治体から交付される資金で、返済義務はありません。助成金との違いは、補助金は事業の内容や成果に応じて交付されるという点です。そのため、事前に事業計画をしっかりと策定し、その計画に基づいて事業を実施することが求められます。女性起業家が活用できる補助金には、以下のようなものがあります。

●小規模事業者持続化補助金

小規模事業者の経営を支援するための補助金で、販路開拓や、設備投資などに活用できます。

●ものづくり補助金

企業の技術開発を支援するための補助金で、新製品・新サービスの開発や、生産工程の改善などに活用できます。

●IT導入補助金

IT導入を支援するための補助金で、業務効率化のためのシステム導入などに活用できます。

●事業承継・M&A補助金

事業承継やM&Aを支援するための補助金で、後継者育成や、M&Aにかかる費用などに活用できます。

●中小企業省力化投資補助金

中小企業の省力化投資を支援するための補助金で、労働生産性向上のための設備投資などに活用できます。

補助金は、審査が厳しく申請手続きが難しいというデメリットはありますが、事業の成長を促進するための有効な手段となるため、積極的に活用を検討しましょう。

3)クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する方法です。女性に限らず利用できますが、「女性活躍」や「女性のための」などの社会的テーマを掲げることで、多くの支援を集めている事例も増加しています。

クラウドファンディングは、資金調達だけでなく、事業のPRや、顧客との繋がりをつくる手段としても有効です。

参考:7割が失敗するクラウドファンディングで資金調達に成功する方法

4)ビジネスコンテスト・コンペ

ビジネスコンテストやコンペは、新規事業のアイデアを競い合う場です。女性起業家に特化したビジネスコンテストやコンペも開催されており、受賞することで、資金調達や事業のPRにも繋がります。

ビジネスコンテストやコンペへの参加は、自身の事業アイデアを客観的に評価してもらうよい機会となります。

5)そのほかの女性支援

経済産業省は、女性の創業を支援するためのさまざまな取り組みをおこなっています。たとえば、「ユニコーン創出支援事業」や「わたしの起業応援団」などがあります。

「ユニコーン創出支援事業」は、スタートアップ支援をおこなっていますが、高い成長可能性を持つ女性起業家を育成するためのプログラムにも力を入れています。「わたしの起業応援団」は、女性起業家のための情報提供や、相談窓口などを提供しています。

また、一般社団法人日本シングルマザー支援協会など、女性起業家を支援する民間団体も存在します。

さらに創業支援だけでなく、出産や子育て支援制度も積極的に活用することで、事業と家庭の両立を図りながら、起業を成功させることができます。

参考:女性が起業して自分らしさを叶える職種15選・支援・お金・時間管理術のすべて

4.創業融資の成功のコツ

融資の申請をスムーズに進め、希望する金額を調達するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、創業融資を成功させるためのコツを4つ紹介します。これらのコツは、女性に限らず、すべての起業家に共通する重要なポイントです。

1)開業後3カ月以内に申請する

融資を申し込むタイミングは、非常に重要です。開業後しばらく経つと、事業の実績で評価されるようになるため、融資審査のハードルが高くなってしまいます。したがって、開業する前か、開業後3カ月以内を目安に融資を申請するのが、もっとも理想的です。

参考:元公庫職員が解説「創業融資」残念な勘違い7選

2)減額されても融資を受ける

融資を申し込む際には、現実的な金額を設定することが重要です。必要以上の金額を申し込むと、金融機関から不信感を持たれる可能性があります。一般的には、500万円から1,000万円程度が目安となります。

また、希望額よりも減額されてしまう場合もありますが、それでもなんとかその範囲内で開業できそうなら、融資を受けるべきです。融資は一度受けて終わりではなく、長期的な取引に繋がります。一度融資を受けておけば、次回以降の融資を受けやすくなるなど、メリットがあります。

参考:開業資金はいくら必要?相場から資金調達方法まで徹底解説

3)自己資金比率を高める

開業資金における自己資金の割合が高いほど、融資を受けやすく、金利負担も軽減できます。理想は30%以上で、生活費の見直しや不要な資産の売却で貯蓄を増やし、副業で収入を増やすのも有効です。無理のない範囲で計画的に資金を調達し、自己資金比率を高めることで、事業の安定化を目指しましょう。

4)無理のない返済計画を立てる

融資を受ける際には、無理のない返済計画を立てることが重要です。返済計画を立てる際には、事業の収益予測だけでなく、出産や育児など、女性ならではのライフイベントも考慮に入れる必要があります。

無理のない返済計画を立てることで、事業と家庭の両立を図りながら、安定した経営を続けることができます。

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女性起業家にとって、資金調達は起業を成功させるための重要な要素です。当記事では、女性起業家が活用できる融資制度や、そのほかの資金調達方法、そして融資を成功させるためのコツを解説しました。

さまざまな資金調達方法がありますが、融資を受けるためには、事業計画書の作成が必須となります。「ドリームゲート」の事業計画書作成ツールを使えば、ブラウザ操作だけでかんたんに事業計画書を作成できます。

ドリームゲートは、経済産業省の後援を受けて、2003年に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。事業計画書の作成支援ツールをはじめ、創業に関するさまざまな情報やサービスを提供しています。

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上野 光夫(うえの みつお)
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