月別収支計画書のテンプレートをもとに書き方を解説【無料ダウンロードあり】

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2024/08/30 

融資の申込みの際には金融機関から事業計画書の提出を求められますが、そのなかでもとくに重要となるのが「収支計画」です。収支計画には、年別、月別、そのほかの期間別などがありますが、もっとも一般的なのが月別収支計画書です。

金融機関では収支計画書を見て「どのくらいの売り上げを見込んでいるのか」、「その計画は本当に実現できるのか」、「事業の途中で資金不足とならないか」などを判断しています。

収支計画は事業計画書のなかでもとりわけ重要な部分であるため、融資を確実に獲得したいなら、信用されるしっかりした内容としなければなりません。

また、収支計画書を作ることで、正確な経営・資金繰りの見通しが立ち、計画全体のブラッシュアップに役立ちます。

当記事では、正しい月別収支計画の作り方や、融資の審査に役立つポイントについて解説します。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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収支計画書とは

収支計画とは、今後の事業の売上や、入出金の予測をまとめた計画です。収支計画の作成により、資金に関するイメージを明確にすることができるだけでなく、今後の事業の成功確率をより高めることができます。

収支計画書の必要項目

収支計画書の項目は、提出先や利用の目的により多少異なりますが、売上高・売上原価・経費の3つに大きく分けられます。また、以下のような項目を入れて作成することで、融資・事業の両方に活用することができます。

  • 前月繰越金
  • 売上げ
  • 原価(仕入れ)
  • 営業利益(粗利)
  • 販管費(家賃、給与、光熱費、通信料など)
  • 支払利息
  • 経常利益
  • 借入金返済額
  • 当月分損益
  • 次月繰越金

<売上高>

売上高は企業の収益の元となるものであり、あらゆる利益の源泉となります。

通常、売上高は事業開始からの期間や、季節による繁閑の差により大きく変動するため、これらの事情を反映したものを作成しなければなりません。

<売上原価>

売上原価は、仕入れを中心とした売上を上げるためのコストです。原価率(売上にしめる原価の割合)が小さいほど多くの利益を残すことができるため、いかに原価を圧縮できるかの工夫が求められます。

<経費>

経費は事業を行なううえで必要となる費用であり、家賃や人件費、光熱費などが該当します。これら経費のうち家賃や人件費などは毎月固定でかかるものであり、その金額は予想しやすくなっています。しかし、臨時的な宣伝広告費や雑給などは、突発的に発生する費用であるため、あらかじめ計画にしっかりと組み込んでおく必要があります。

月別収支計画書のテンプレート

収支計画書には、年別、月別、そのほかの期間別などがありますが、月別収支計画書がもっとも一般的です。月別に収支の予測を把握できるため、詳細な売上管理・資金繰越が可能です。以下では、もっとも基本となる収支計画書のテンプレートを紹介します。

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開業資金を把握する

収支計画書を作るときには、はじめに開業資金がいくらかかるのかの見込みを立てます。こうすることで、自己資金と借入額とのバランスや売上げとの比較がしやすくなります。

開業資金の把握は、主に以下の項目について行います。

・自己資金

自己資金は、開業にあたって自分で準備できる資金です。現預金のほか、親などからの贈与資金(借りた資金は自己資金ではなく借入金となる)、生命保険の解約返戻金、退職金なども自己資金となります。

・借入金

 借入金は、今回申請する融資額のほか、現在利用しているほかのローンの合計額となります。

・そのほかの資金

 補助金や助成金の受給が予定されている場合には、これらの額が含まれます。

・費用関連

 テナントの保証金や店舗改装費、仕入れ、家賃、人件費など、自分の事業で必要となる項

目の経費額を見積もり、自己資金や借入金と比較します。

一般的に創業のケースでは、資産などの額(今後購入予定の資産+今後発生する費用額)と「借入金+自己資金」の額が同じならば、資金面でのバランスがとれているといえます。

売上予測を立てる

売上は、月の稼働日数や客単価、回転数などから予測します。

なお、昼と夜の両方で営業する場合には、それぞれについて売上の見込みを立てます。飲食店を例に挙げて、具体的に予測を立ててみましょう。

条件:客単価(昼)800 円(夜)3,500 円 席数 30 席 回転数(昼)2 回転(夜)0.6 回転〕 営業日数25日
売上予測:〔(800 円× 30 席× 2 回転)+(3,500 円× 30 席× 0.6 回転)〕×25 日 = 277 万5,000円

コンビニなどのように売り場面積で売上が変わる業種の場合には、「売上高=1㎡(または1坪)当たりの売上高×売場面積」で算定します。

開業費用を算出する

ざっくりとした開業資金の把握ができたら、次はこれにもとづいてさらに具体的な資金計画を作ります。この際の金額は、できるだけ見積書や契約書などのエビデンスにもとづき計算することが大切です。

<設備資金の例>
・店舗の改装費
・什器備品
・保証金
・厨房機器
・車両購入費
・看板作成費
<運転資金の例>
・テナントの家賃や仲介手数料、礼金
・初期仕入れ費用
・人件費
・宣伝広告費
・水光熱費や通信料
・交通費や営業費
・会社の設立費用

高額な設備資金については、業者からの見積もりが必要となるため、早めに手配する必要があります。また、設備の耐用年数に応じた減価償却が必要となることにも注意が必要です。
なお、少額減価償却資産の特例を利用した場合は、30万円未満の資産を即時償却(全額損金算入)することが可能です。

ランニングコストを把握する

上記の項目について、今後に発生が見込まれるランニングコストを計算します。

ランニングコストは固定費と変動費に大きくわけることができます。この区分をしておくことで、その後の経費節減の目途が立てやすくなったり、損益分岐点売上高の計算をすることが可能となります。

<固定費>

売上に関係なく固定して発生する費用です。家賃、人件費、水道光熱費、減価償却費

<変動費>

売上に連動して発生する費用が該当します。原材料費、商品仕入、消耗品費、雑給など

たとえば、月の家賃が50万円、水道光熱費が10万円、人件費が30万円、原材料費が50万円、消耗品費が10万円の店舗で考えてみましょう。この店舗では月々以下の費用が発生します。

固定費:90万円(家賃50万円+水道光熱費10万円+人件費30万円)
変動費:60万円(原材料費50万円+消耗品費10万円)

上記の合計額である150万円が月々のランニングコストとなります。なお、損益分岐点は、売上高と費用がプラマイゼロになる点のことであり、損益分岐点の売上高(売上と経費がちょうど0になる売上高)は、以下の算式で求めることができます。

【 固定費/{1-(変動費/予測売上高)} 】

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収支計画書の作成には細かな計算が多く、内容的に連動する部分もあるため、一か所間違えると全部を見直さなければなりません。また、計算する項目も多いため、見落としがないかにも注意が必要です。

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月別収支計画書作成時のポイント

収支計画書は単に表へ数字を当てはめればよいというわけではなく、その内容に整合性や根拠があり、実現可能性があることが重要となります。

以下では、融資獲得を目的とした収支計画書作成のポイントについて説明します。

売上高や経費の算出根拠を明確にしておく

融資審査では、収支計画書の数字そのものよりも、「なぜ、この数字なのか」、「どうやって実現するのか」という根拠が厳しく求められます。なぜなら、根拠のない計画では、返済の可能性が低くなってしまうからです。

そのため、計画の内容について具体的な根拠が示されていない場合には、評価も低いものとなってしまいます。

たとえば、客単価2,800円の根拠を説明する場合、次のように説明することで、より説得力が増します。

『客単価としては、注文数の平均を主菜1品、副菜2品、ドリンク2杯と考えています。これを当店舗のメニューにあてはめた場合は、主菜@800円×1品、副菜@500円×2品、ドリンク@500円×2杯となるため、客単価を2,800円と想定しました。』

また、回転数についても、昼夜の両方で営業する場合、それぞれの客単価や回転数が同じにはならないため、昼夜別に計算をし、その合計を売上げ見込額とします。

このように審査で評価されるためには、具体的かつ納得できる根拠が重要となります。

<算定根拠の例>

・売上目標

今期の売上目標は、32,160千円
月平均:(昼)1,000円×20席×2.0回転×25日=1,000千円
(夜)2,800円×20席×1.2回転×25日=1,680千円
年間:(1,000千円+1,680千円)× 12=32,160千円

・原価率

原価率(料理35%、飲料30%)平均粗利益率33%

・人件費

従業員 250千円×2人=500千円/月
パート  1,000円/h×6h(平均時間)×25日×2人= 300千円/月

売上達成への取り組みを計画しておく

収支計画をより説得力のあるものとするには、根拠だけでなく「なぜ、その根拠を実現できるのか」という説明も必要となります。売上を確保するための具体的な取り組みをどのようにイメージしているかを伝えるには、マーケティングの知識や手法が役に立ちます。

飲食店の場合、「どうやって見込み客を集めるのか」ということがもっとも重要なテーマです。しかし、単に「HPを作る」、「チラシをまく」」といった説明では、「本当に集められるのか」という疑問を持たれてしまいます。そのため、この点についてもしっかりした根拠にもとづいて説明できるようにします。

<集客計画と獲得見込>

・店舗周辺および最寄り駅前でのチラシの配布
 オープン前の1週間に500枚×6回=3,000枚を配布予定。
 集客見込み数:3,000×5%=150人
・身内や以前の店舗の顧客への声かけ
 集客見込み数:300人×10%=30人
・ホットペッパーへの掲載
 集客見込み数:50人(広告代理店提供データによる)
・そのほか(個人SNSでの集客など)

集客見込み数:15人

資金繰りや資金調達方法を考えておく

収支計画を作るうえでもっとも重要なのが、「キャッシュ不足とならないようにする」ということです。収支計算書では「繰越残高」がキャッシュに該当します。

たとえどんなに大きな売上げが作れたとしても、経費を差し引いたキュッシュ残高がマイナスでは倒産してしまい、融資の返済ができません。また、売掛をしている事業では売掛金の額が大きく、回収予定日が何か月も先だと、その間にキャッシュが不足することになってしまいます。

収支計画を作るときには、売上げのみに注目するのではなく、キャッシュ不足とならないよう注意し、不足が生じない計画としなければなりません。

また、資金調達手段のひとつとして補助金・助成金を予定している場合には「確実に獲得が見込めるのか」だけでなく、「補助事業の経費が準備できるのか」といったことにも配慮する必要があります。補助金や助成金では、受給前にいったん事業主がすべての経費を支払う必要があるからです。

事業は必ずしも計画どおりにいくとは限りません。売上げが予定よりも下振れた場合を想定して、キャッシュ不足や返済が不可能とならない計画も考えておく必要があります。

月別収支計画書のテンプレートのメリット

月次収支計画書は経営方針の目安にできるとともに、作成によって次のようなメリットが得られます。

事業の収支ビジョンが明確になる

収支計画を作成することで、今後の経営の目標や方針に大きな間違いがないかを確認することができます。また、内容を具体的な作業レベルにまで落とし込むことにより、今後すべきことの把握や、スケジュールを立てる際に役立てることもできます。

正確な集計が可能になる

収支計画では細かな計算が多いため、これを手作業でおこなうのは時間や労力がかかるだけでなく、ミスの元ともなります。また、一か所の間違いがほかに影響してしまうこともあります。

しかし、ドリームゲートのテンプレートを利用すれば、自動機能により一か所修正すればほかの項目も連動して再計算してくれます。この機能により、計算ミスのない正確な集計が可能となります。

月別収支計画書作成の目的

月別収支計画書を作成する目的には、次のようなものがあります。

お金の流れを把握できる

売上の安定しない間は、「自分がいくら儲かっているのか」や「いくらの経費を支払っているのか」などがわかりづらいこともあります。しかし、、そのまま経営を続けていると、予想外に売上げが大きくなって、仕入れ資金が不足したり、逆にキャッシュが足りなくて支払いができなくなったりということになりかねません。

収支計画書で見通しを立てることによって、お金の流れを具体的に把握できるため、このような事態を回避することができます。また、月別で収支を作成することにより、月ごとの資金の流れや一年を通した状況の把握がしやすくなります。

事業の軌道修正に役立つ

収支計画は単に作成するだけでなく、これを使って事業の進捗状況の確認や、振り返りによる対比をすることで、経営上の課題の解決や問題点の発見にもつながります。

収支計画には予想額を記入するとともに、その隣に実績欄を追加することで、進捗状況の管理ができ、今後の事業の軌道修正に役立てることができます。

見込収支の内容を伝えることで金融機関や取引先の協力が得られる

詳細な収支計画を作ることにより、金融機関の評価が高くなり、希望どおりの融資の獲得がしやすくなります。また、出資者や利害関係人にその内容を示すことで、「スムーズに取引ができる」、「出資を得やすくなる」といった効果が期待できます。

収支計画はテンプレートを利用して正確に

売上げの根拠を提示し、正確な見積もりのうえで収支計画書を作成することによって、必要な資金額を明確にできる、自分自身の計画の見直しに役立てられるなどのメリットが得られます。

また、このような計画は金融機関からの融資を受ける際に有利となるだけでなく、事業の進捗と対比することで具体的な経営に生かすことができます。しかし、収支計画の作成は数字の入力や計算項目が多いため、手計算ではミスが発生しやすくなっています。ドリームゲートの事業計画書作成ツールは、かんたんなブラウザ操作のみで正確な月別収支計画書を作成可能です。また、自動機能により一か所を修正すれば、ほかの項目も連動して再計算できるため、大幅に見直しの手間と時間を節約することができます。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
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