事業計画で使えるフレームワーク32選と活用の仕方

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2024/08/30 

新規事業の立ち上げには、明確な事業計画が欠かせません。計画がしっかりしているほど、成功への道が開けやすくなります。しかし、多くの方が直面するのは、どのフレームワークをどのタイミングで活用すればよいのかという悩みです。

フレームワークとは、問題解決や戦略立案の枠組みのことです。これらを適切に活用することで、事業ビジョンを効率的に明確化できるのです。

本記事では、事業計画書作成に役立つ32のフレームワークを厳選し、フェーズに応じたフレームワークについて解説します。初心者の方でも理解しやすいように、専門用語には丁寧な補足を加えてご紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.フレームワークとは

フレームワークとは、問題解決や戦略立案の枠組みのことを指し、ビジネスのさまざまなシーンで活用されます。とくに事業計画の考案時には、「分析、課題発見、解決策の提示、マーケティング戦略、組織マネジメント、業務改善、意思決定」などのためにフレームワークが必要です。これにより、複雑なプロセスを体系的に整理し、効率的かつ効果的に事業を進めることが可能となります。

これらを使うことで、自社の強みや弱み、外部環境、機会や脅威を明確にし、それに基づいた戦略を立案できます。フレームワークの活用は、体系的に問題を整理し、効果的な解決策を見つける手助けとなります。

2.フレームワークの選び方

事業計画の作成には、そのフェーズに応じた適切なフレームワークを選ぶことが重要です。事業の立ち上げ期や転換期など、各フェーズごとに適したフレームワークを使い分けることで、計画をスムーズに進行させることができます。

時系列に沿って活用できるフレームワークをまとめているため、事業立ち上げの際は、以下の4つの段階にあわせて順に活用していくと効果的です。

①アイデア出し・整理のフレームワーク

②調査、分析のためのフレームワーク

③マーケティング戦略のためのフレームワーク

④事業計画立案に必要なフレームワーク

3.事業アイデアを出すためのフレームワーク7選

アイデア出しや整理のためのフレームワークは、創造的な思考を促進し、多様な視点から事業の可能性を探るために使われます。

1)マンダラート

マンダラートは、アイデアを視覚的に整理するためのツールです。中央にテーマを置き、その周りに関連するアイデアを書き出していくことで、複雑な考えを整理しやすくなります。

2)アナロジー思考

アナロジー思考は、異なる事柄のなかから類似点を見つけ、解決策を見い出す思考法です。異なった分野や事例から共通点を見い出し、ビジネスに応用することで新しいアイデアが生まれ、新規事業が創出されます。

3)スキャンパー法

スキャンパー法は、7つの切り口をもとに、既存のアイデアを再考し、新しいアイデアを生み出すためのフレームワークです。「Substitute(代替)」「Combine(結合)」「Adapt(適応)」「Modify(変更)」「Put to another uses(転用)」「Eliminate(削減)」「Reverse(逆転)」の頭文字がその由来となります。

4)ペルソナ分析

ペルソナ分析は、理想的な顧客像を具体的に描くことで、ターゲット市場を明確にする手法です。顧客のニーズや行動パターンを理解し、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

5)6W3H

6W3Hは、問題解決やアイデア出しの際に使われるフレームワークで、「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「Whom(誰に)」の6つのWと、「How(どうやって)」「How much(いくらで)」「How many(いくつ)」の3つのHから成り立ちます。

6)MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)

MVVは、企業の使命(Mission)、将来の目標(Vision)、価値観(Value)を明確にするためのフレームワークです。これにより、企業の方向性を統一し、社員のモチベーションを高めることができます。

7)目標達成シート

目標達成シートは、具体的な目標を設定し、その達成に向けた計画を立てるためのツールです。目標を明確にし、そのためのステップを具体的にすることで、計画を実行に移しやすくなります。

4.市場調査・分析をするためのフレームワーク9選

市場や競合の状況を把握するための調査・分析フレームワークは、データに基づいた客観的な判断をサポートします。

1)SWOT分析

SWOT分析は、企業の内部環境と外部環境を評価するためのフレームワークです。Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の4つの要素から成り立ち、自社の現状を客観的に把握し、戦略を立案するための基盤を作ります。

2)クロスSWOT

クロスSWOTは、SWOT分析の結果をさらに具体化するための手法です。各要素を組み合わせて、新たな戦略を導き出すことができます。たとえば、「強みと機会」を組み合わせて積極的な戦略を考えるなど、詳細な分析が可能です。

3)3C分析

3C分析は、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の3つの視点から市場を分析するフレームワークです。顧客のニーズを把握し、自社の強みを活かし、競合と差別化する戦略を立てるために使用されます。

4)アドバンテージマトリクス

アドバンテージマトリクスは、自社の競争優位性を評価するためのフレームワークです。「業界の競争要因」「優位性を構築する可能性」という2つの軸から事業を4つのタイプに分類し、戦略的なポジショニングを明確にします。

5)ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、縦と横の軸で作成したマトリクスに自社や競合他社の商品・サービスを配置したフレームワークです。ポジショニングマップを作成すると市場における自社や競合他社のポジションを視覚的に理解できるため、有利な立ち位置を見つけやすくなります。

6)PEST分析

PEST分析は、外部環境を評価するためのフレームワークで、Political(政治的要因)、Economic(経済的要因)、Social(社会的要因)、Technological(技術的要因)の4つの視点から市場環境を分析します。これにより、マクロ環境の変化を予測し、適切な戦略を立てることができます。

7)ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、業界の競争環境を評価するためのフレームワークです。新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、供給者(売り手)の交渉力、既存企業間の競争の5つの力を分析し、業界の競争構造を把握します。

8)STP

STPは、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット市場の選定)、Positioning(ポジショニング)の3つのステップから成るフレームワークです。ターゲット市場を明確にし、競合製品との差別化を図るための戦略を立てます。

9)VRIO分析

VRIO分析は、自社のリソースや能力を評価するためのフレームワークです。Valuable(価値があるか)、Rarity(希少か)、Imitability(模倣可能か)、Organization(組織が整備されているか)の4つの視点から評価し、持続的な競争優位を築くための指針を提供します。

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5.マーケティング戦略のためのフレームワーク7選

マーケティング戦略を立案するためのフレームワークは、ターゲット市場の特定や競合優位性の確立に役立ちます。

1)4P分析

4P分析は、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの視点からマーケティング戦略を立てるためのフレームワークです。製品の特性や価格設定、流通チャネル、プロモーション活動を総合的に検討します。

2)4C分析

4C分析は、4P分析の視点を顧客中心に置き換えたフレームワークです。Customer needs(顧客のニーズ)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの視点からマーケティング戦略を策定します。

3)コホート分析

コホート分析は、ユーザーを年齢などの区分でグループ分けし、その定着度や行動の推移を分析するためのフレームワークです。ユーザーの動向を把握し、分析することで適切なマーケティング戦略立案に役立てます。

4)ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルを視覚的に整理するためのツールです。「顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客関係、収益の流れ、主要リソース、主要活動、主要パートナー、コスト構造」の9つの要素から成り立ちます。

5)カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、顧客が製品やサービスを利用する際のプロセスを視覚化するツールです。顧客の行動、感情、タッチポイントをマッピングすることで、顧客体験を向上させるための戦略を立てることができます。

6)AISAS(アイサス)

AISASは、Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5つのプロセスから成るマーケティングフレームワークです。インターネット時代の消費者行動を理解し、効果的なマーケティング戦略を策定するために使用されます。

7)アンゾフの成長マトリクス

アンゾフの成長マトリクスは、製品と市場の2つの軸から成る成長戦略を策定するためのフレームワークです。市場浸透、新製品開発、市場拡大、多角化の4つの戦略を検討し、企業の成長方向を明確にします。

6.事業計画を立てるためのフレームワーク9選

事業計画を具体的に立てるためのフレームワークは、全体像を整理し、実行可能な計画を作成するために重要です。

1)ロジックツリー

ロジックツリーは、問題を階層的に整理するためのフレームワークです。大きな問題を細分化し、解決策を具体的に導き出すために使用されます。論理的な思考を助け、計画の全体像を把握しやすくします。

2)リーンキャンバス

リーンキャンバスは、新規事業の計画を簡潔にまとめるためのツールです。ビジネスモデルを「顧客セグメント、課題、ソリューション、独自の価値提案、収益モデル、コスト構造、圧倒的な優位性、主要指標、チャネル」の9つの要素で整理して可視化します。これをもとに、ビジネスモデルの検証などが可能になります。

3)ビジネスロードマップ

ビジネスロードマップは、最終目標を達成するために何をすればいいのか、時間軸に沿って必要なことを書き出していくフレームワークです。
横軸は時間、縦軸は事業規模、売上、利益などを示します。

4)PLC(プロダクトライフサイクル)

PLCは、製品のライフサイクルを管理するためのフレームワークです。導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのフェーズに分けて、各フェーズに適した戦略を策定します。

5)ECRS(イクルス)

ECRSは、業務改善のためのフレームワークで、Eliminate(不要な業務の排除)、Combine(複数の業務を結合)、Rearrange(再配置・手順の入れ替え)、Simplify(業務の簡素化)の4つの視点から業務プロセスを見直します。効率化とコスト削減を目指す際に使用されます。

6)PDCA

PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを繰り返すことで、継続的な改善を図るためのフレームワークです。計画の実行と評価、改善を繰り返すことで、品質や効率を向上させます。

7)バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、企業の活動を主活動と支援活動に分け、それぞれの価値を評価するためのフレームワークです。各活動の価値を最大化し、競争優位を築くための戦略を策定します。

8)ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーは、情報を論理的に伝えるためのフレームワークです。主張や結論をトップに置き、根拠を下位に配置することで、論理的な構造を持った文書やプレゼンテーションを作成します。

9)AARRR(アー)

AARRRは、顧客基盤を拡大し、事業成長を目指すのに適したフレームワークで、Acquisition(顧客獲得)、Activation(活性化)、Retention(維持・継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益化)の5つのステップから成り立ちます。顧客の獲得や収益化だけに注目するのではなく、より幅広い取り組みをおこなうための改善を図る指標になります。

7.フレームワーク活用のポイント

フレームワークを活用する際には、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

■事業内容やフェーズに応じたフレームワークを選ぶ

事業の特性や進行状況に応じて、適切なフレームワークを選びましょう。各フレームワークには得意分野があり、それを理解して使い分けることが成功の鍵となります。

■時間をかけすぎない

フレームワークの活用には適度な時間を割くことが重要です。過度に時間をかけすぎると、本来の目的である問題解決や戦略立案が遅れてしまいます。

■分析は客観的に

フレームワークを使った分析は、できるだけ客観的におこなうことが大切です。主観に頼りすぎると、偏った結果を導き出してしまい、効果的な戦略を立てることが難しくなります。

8.事業計画はツール利用で迅速かつ明確に

フレームワークで事業計画の骨組みができたら、次にじっさいの事業計画書の作成に取り組みましょう。ドリームゲートの事業計画作成サポートツールを利用することで、収支計画書や日本政策金融公庫に提出する創業計画書(事業計画書)を迅速かつ的確に作成することが可能です。ブラウザ操作だけで完了するため、専門知識がなくても、かんたんに事業計画書を作成できておすすめです。

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上野 光夫(うえの みつお)
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