【スタートアップ必見】日本公庫の新規開業資金の変更ポイントを解説!
起業の成功という夢を実現するために、まずハードルとなるのが資金調達です。
事業規模や業種によって必要な資金に幅がありますが、スタートアップの起業では、多額の資金が必要になることも少なくありません。
そこで本記事では、スタートアップ支援のために改正された日本政策金融公庫の「新規開業資金」の変更ポイントについてわかりやすく解説します。
「自己資金の要件」や「融資限度額」、「返済期間および据置期間の延長」について解説するだけでなく、そのほかのスタートアップ支援についても紹介します。
スタートアップを成功させるためには、適切な資金計画が不可欠です。
ぜひ本記事を参考に、事業の状況に合わせた柔軟な資金調達をおこない、夢の実現に向けて一歩踏み出しましょう。
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元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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目次
1.新規開業資金とは
新規開業資金は、「女性・若者・シニアの方」や「廃業歴などがあり創業に再チャレンジする方」、「中小会計を適用する方」など、幅広い方の創業・スタートアップを支援しています。
新規開業資金を提供する日本政策金融公庫は、民間金融機関の補完と、国策の推進を目的とした政府系金融機関です。とくに、一般的な金融機関がおこないにくい創業融資などに積極的に取り組んでおり、「新規開業資金」はその融資制度のひとつになります。
1)新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)の概要
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)は、女性や39歳未満の若者、55歳以上のシニア起業家の方々が、新たな事業を立ち上げるために利用できる融資制度です。該当すれば「特別利率」が適用され、非常に有利な資金調達が可能になります。
対象者 | 開業または開業からおおむね7年以内の「女性・若者・シニア」 |
資金のつかいみち | 事業に必要な設備資金・運転資金など |
融資限度額 | 最大7,200万円(うち運転資金は最大4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内
運転資金:10年以内 ※据置期間はそれぞれ5年以内 |
金利 | 特別利率A(土地取得費などは除く)
※ただし、下記に該当するケースでは、それぞれの特別金利が適用されます(土地取得費などは基準利率) ①技術・ノウハウなどに新規性がみられる方【特別利率A・B・C】 ※使いみち、返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます ②デジタル田園都市国家構想交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて起業【特別利率B】 ③デジタル田園都市国家構想交付金を活用した起業支援金および移住支援金の両方の交付決定を受けて起業【特別利率C】 ※融資後に利益率や雇用に関する一定の目標を達成した場合に利率を0.2%引下げる「創業後目標達成型金利」も利用可能 |
担保・保証人 | 無担保・無保証人なども相談可能 |
併用できる特例制度 | ・経営者保証免除特例制度
・創業支援貸付利率特例制度 ・設備資金貸付利率特例制度(東日本版) ・賃上げ貸付利率特例制度 |
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2)新規開業資金(再挑戦支援関連)の概要
新規開業資金(再挑戦支援関連)は、過去に事業を失敗(廃業など)したことがある起業家の方々が、新たな事業を立ち上げるために利用できる融資制度です。
前事業の負債返済に使うこともでき、通常よりも長期返済が可能です。
対象者 | 開業または開業からおおむね7年以内の以下すべてにあてはまる方
・廃業したことがある ・廃業時の負債が新規事業に影響をあたえない程度である ・廃業の理由などが正当なものである |
資金のつかいみち | ・事業に必要な設備資金および運転資金など
・前事業の負債返済資金 |
融資限度額 | 最大7,200万円(うち運転資金は最大4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内
運転資金:15年以内 ※据置期間はそれぞれ5年以内 |
金利 | 基準金利
※ただし、下記に該当するケースでは、それぞれの特別金利が適用されます(土地取得費などは除く) ①女性・若者・シニア【特別利率A】 ②特定外国人起業家【特別利率A】 ③日本公庫が定める創業塾や創業セミナーなどを受講して起業【特別利率AまたはB】 ④中小企業会計などの該当者で認定経営革新等支援機関を利用【特別利率A】 ⑤地域おこし協力隊の任期が終了して、その地域で起業【特別利率A】 ⑥Uターンなどにより起業【特別利率AまたはB】 ⑦デジタル田園都市国家構想交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて起業【特別利率B】 ⑧デジタル田園都市国家構想交付金を活用した起業支援金および移住支援金の両方の交付決定を受けて起業【特別利率C】 ➈日本ベンチャーキャピタル協会の会員など【特別利率B】 ⑩技術・ノウハウなどに新規性がみられる【特別利率A・B・C】 ※使いみち、返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます |
担保・保証人 | 無担保・無保証人なども相談可能 |
併用できる特例制度 | ・経営者保証免除特例制度
・創業支援貸付利率特例制度 ・設備資金貸付利率特例制度(東日本版) ・賃上げ貸付利率特例制度 |
3)新規開業資金(中小企業経営力強化関連)の概要
新規開業資金(中小企業経営力強化関連)は、中小会計を適用する方が、新たな事業を立ち上げるために利用できる融資制度です。該当すれば「特別利率」で利用でき、非常に有利な資金調達が可能になります。
対象者 | 開業または開業からおおむね7年以内の以下すべてにあてはまる方
・「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している方または適用する予定の方 ・自ら事業計画書の策定をおこない、認定経営革新等支援機関のサポートを受ける方 |
資金のつかいみち | 事業に必要な設備資金・運転資金など |
融資限度額 | 最大7,200万円(うち運転資金は最大4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内
運転資金:10年以内 ※据置期間はそれぞれ5年以内 |
金利 | 特別利率A |
担保・保証人 | 無担保・無保証人なども相談可能 |
併用できる特例制度 | ・経営者保証免除特例制度
・創業支援貸付利率特例制度 ・設備資金貸付利率特例制度(東日本版) ・賃上げ貸付利率特例制度 |
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2.「新規開業資金」変更のポイント
2024年4月より、新規開業資金の融資条件が大きく変更されました。この変更は、新たな事業を立ち上げようとする起業家にとって、夢への第一歩を力強く後押しするチャンスといえるでしょう。以下では、主な変更ポイントを解説します。
大枠としては、これまでどおり「開業または開業からおおむね7年以内の人」が対象となり、税務申告を2期終えていない方が無担保・無保証人で融資を受けられる点も同様です。
1)自己資金要件の撤廃
従来、新規開業資金を利用するには、創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要でした。しかし、今回の変更により、自己資金要件が撤廃されました。これにより、自己資金が不足している起業家でも、融資を受けやすくなりました。
ただし、自己資金がゼロで融資だけで創業できると考えるのはリスクがあります。
一般的には、日本公庫から融資を受けられる金額の目安は総投資額の約70〜80%が限度とされてきています。仮に創業時に必要な総額が1,000万円だとすると、融資を受けられる金額は700万円〜800万円で、残りの200~300万円は自身で用意しておくとよいでしょう。
2)融資限度額の拡充
最大3,000万円(うち運転資金1,500万)だった融資限度額が、最大7,200万円(うち運転資金4,800万)に拡充されました。これにより、事業規模の大きい案件にも対応できるようになっています。
ただし、創業融資で大きな金額を借りられるのは、一部の革新的な技術を有するスタートアップだけと考えましょう。一般的な業種での開業は、いままでどおり最大3,000万円程度になると考えられます。
3)返済期間の延長
設備資金の返済期間は20年以内のままですが、運転資金の返済期間が7年から10年以内に延長されました。これにより、返済負担が軽減され、事業開始初期の資金繰りの不安を軽減することができます。
4)据置期間の延長
据置期間とは、利息のみを返済する期間のことです。従来は2年以内でしたが、5年以内に大幅延長されました。これにより、事業開始初期に資金繰りの心配をすることなく、事業の立ち上げに集中することができます。
例)本来の返済金額:元金100,000円+金利10,000円=月の返済額102,000円の場合
据置期間:月の返済額は、利息分10,000円のみでOK
3.スタートアップに手厚い支援
新規開業資金の変更は、イノベーションを起こすスタートアップ企業の支援を目的になされたものです。既存業種は従来どおり自己資金を準備して融資獲得にのぞむのが好ましいですが、スタートアップ企業であれば、積極的にこれらの支援制度を活用することをおすすめします。
1)中小企業事業の融資制度も拡充
中小企業向けのスタートアップ支援資金として、2024年2月に融資限度額が従来の14.4億円から20億円に増額され、内容の拡充が図られています。
金利も貸付期間に応じた「特別利率」が適用され、返済期間も設備資金・運転資金ともに20年以内(据置期間10年)と、非常に優遇された内容になっています。
とくに金利にいたっては驚くほど低く設定されているため、スタートアップの方の大きな支援になると思われます。
2)国内4都市に支援拠点もオープン
日本公庫国民生活事業は、2024年4月に、東京、名古屋、大阪、福岡にスタートアップのサポートプラザをオープンしました。これらの拠点では、融資相談や事業計画書の作成支援など、幅広いサポートを受けることができます。
東京スタートアップサポートプラザ | 新宿区西新宿1-14-9 |
名古屋スタートアップサポートプラザ | 名古屋市中村区名駅3-25-9 |
大阪スタートアップサポートプラザ | 大阪市北区曽根崎2-3-5 |
福岡スタートアップサポートプラザ | 福岡市博多区博多駅前3-21-12 |
4.日本公庫の2つの事業を利用する
新規開業資金の内容変更に加え、中小企業事業のスタートアップ支援資金の拡充により、日本公庫では、スタートアップ企業に向けた手厚い支援体制が整っています。
事業のステージに合わせて活用することで、より効果的な資金調達が可能になります。「シード期」は国民生活事業の新規開業資金を利用し、「ミドル期」は中小企業事業のスタートアップ支援資金を利用するイメージです。
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1)国民生活事業の変更ポイントのまとめ
シード期と呼ばれる事業開始初期には、国民生活事業の新規開業資金などを活用することをおすすめします。
自己資金要件が撤廃されたことにより、創業融資申込みのハードルが下がり利用しやすくなりました。融資限度額が大幅に増加されたことにより、多額の初期費用が必要となる革新的なスタートアップも、資金調達に苦心することなく事業を開始しやすくなっています。
運転資金の返済期間と据置期間が延長されたことは、資金繰りで苦しむ「シード期からアーリー期」の企業にとって心強い支援になるでしょう。とくに据置期間の大幅延長は、大きな支援となります。
2)中小企業事業の変更ポイントのまとめ
事業が軌道に乗ってきたミドル期には、中小企業事業のスタートアップ支援資金などを活用することで、大きく飛躍する可能性を高められます。
融資限度額の大幅な増加は、資金需要が高まるミドル期の大きな助けになるでしょう。
優遇金利が適用されるだけでなく、長期返済が可能なため、非常に利用しやすい制度といえます。
当記事の監修者である上野光夫氏のYouTubeでも、日本公庫の創業融資制度の変更点について詳しく解説しているので参考にしてください。
5.融資獲得には説得力のある事業計画書を
日本公庫の融資制度は、スタートアップを支援するために大きく拡充されました。しかし、融資を獲得するためには、説得力のある事業計画書を作成することが重要です。事業計画書は、あなたの事業が成功する可能性を判断するための重要な資料となります。
しかし事業計画書作成は、はじめての方にとって、難易度が高いと感じるかもしれません。そこで、ドリームゲートの事業計画書作成サポートツールを活用することをおすすめします。
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