創業融資はいつまで受けられるか?申込みのベストタイミングとその理由

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2024/01/31  最終更新日: 2024/03/18

創業時の資金調達では、日本政策金融公庫の創業融資を利用する方が多くなっています。それでは、公庫の創業融資申請は、いつまでにおこなうのがベストなのでしょうか。

一般的には、「創業2〜3ヶ月前」もしくは「創業後3ヶ月以内」のタイミングが申請においてベストとされています。

本記事では、創業融資の申請における最適なタイミングについて、くわしく解説します。さらに、開業時に受けられるほかの創業支援についてもあわせて紹介し、創業時の資金調達に役立つ情報を提供します。創業を考えている方や、資金調達に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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創業融資の申込みはいつまでか

創業融資の申込み期限は融資制度によって異なるため、もっとも一般的な日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を例にあげて紹介します。

新創業融資制度では、法人・個人ともに「創業前から創業後2期目を終えるまでの方」が対象となります。2年以内ではなく、2期以内になりますので注意してください。

参考:日本政策金融公庫「新創業融資制度

法人・個人における「創業後2期目」の違い

公庫の「新創業融資制度」の申込み期限は、「事業開始後税務申告を2期終えていない方」となっています。

したがって、2回税務申告をしていなければよいことになりますが、創業後2期のカウント方法は、法人と個人で異なります。また、それぞれで注意点などもありますので解説します。

1)法人の場合はいつまで?

まず、法人の創業後2期のカウント方法ですが、法人設立日から最初の決算日までが第1期となり、第1期の決算日から1年後までが事業開始後2期以内となります。このように、法人の場合は決算日を基準として、1年間を1期として計算します。

個人事業を引き継いで法人成りする場合は、とくに注意が必要です。個人事業主から法人に移行した場合、法人成りした時点で一度個人事業主の決算が必要になります(1期目)。その後、法人設立日から最初の決算日までが第2期となります。

また、個人事業主として2回税務申告を終えたあとに、法人成りした場合には対象外となりますので注意してください。

ただし、法人成りではなく別に新法人を設立する場合には、取扱いが状況によって異なります。そのような場合には、公庫の窓口または専門家に相談してから進めたほうが無難でしょう。

例1)1/12に法人を設立し、決算日を3/31にした場合
【1期目】1/12~3/31(法人設立日から最初の決算日まで)
【2期目】4/1~翌3/31(2期目以降は、1年間を1期としてカウント)

例2)R4年1/12に個人事業主スタート、R6年1/10に法人成りして決算日を3/31にした場合
【1期目】R4年1/12~R4年12/31(個人事業主分)
【2期目】R5年1/1~R5年12/31(個人事業主分)
【3期目】R6年1/1~R6年3/31(法人分)

2)個人事業主の場合はいつまで?

個人事業主の場合には、12月31日を決算日として考えます。つまり、年の途中で開業した場合でも、開業日から12月31日までが第1期となり、翌年の1月1日から12月31日までが事業開始後2期以内になります。

事業年度のカウント方法は、融資を受ける場合以外にも、税務申告や許認可申請・補助金手続きなどさまざまな場面で必要になります。しっかりと把握しておきましょう。

例)R4年1/12に個人事業主としてスタートした場合
【1期目】R4年1/12~R4年12/31
【2期目】R5年1/1~R5年12/31

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申込みのベストタイミングとその理由

「新創業融資制度」における申込み期限は、創業後2期以内になっています。しかし、じっさいに申込むのに適切な時期はまた異なるため注意が必要です。創業融資を申込むベストタイミングは、「創業2〜3ヶ月前」もしくは「創業後3ヶ月以内」となります。

新創業融資制度の審査基準では、「新たに営もうとする事業について適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」などと定められています。この基準を満たしているかを確認するために、提出された創業計画書などを審査し、事業計画の内容が確認されます。そのため、将来性だけで判断してもらえるタイミングが、もっとも有利になるのです。

1)創業後は実績が悪いと不利になる

創業直後の企業はまだ経営状況が安定しておらず、実績が不十分な場合が多くなっています。そのため、申込みにおいて不利な状況になることがあります。申込みには収支実績表や試算表の添付が必要です。実績が悪い状況で申込む場合には、できるだけ早く、創業後3ヶ月以内が望ましいといえるでしょう。

創業後、黒字化するのには6~7ヶ月程度かかるのが一般的なため、赤字など実績が悪い時期に申込みすると不利になってしまいます。

2)創業前は将来性重視で判断される

一方、創業前の申込みであれば、将来性重視で融資判断してもらえます。極端にいえば、創業計画書がしっかりと作成できていれば、融資を受けられる可能性があるのです。創業前の企業はまだ実績がないため、創業計画の実現可能性が高いと判断されることが重要です。

そのため、創業前にはしっかりと将来性を示した創業計画書を用意することが求められます。

しかし、はじめての創業計画書作成は、非常に難しくかんたんな作業ではありません。そんなときには、創業計画書作成ツールの活用がおすすめです。

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日本政策金融公庫の創業時に利用できる融資制度

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は創業後2期以内の方が対象になります。しかし、「新規開業資金」や「生活衛生新企業育成資金」などは創業後7年以内が要件となるため、創業後すぐでなくても利用可能です。それぞれの融資制度ごとに「融資額が大きい」「長期返済が可能」「金利優遇」など、さまざまな特長がありますので、しっかりと把握しておきましょう。

1)新創業融資制度

日本政策金融公庫は、創業時に利用できるさまざまな融資制度を提供しています。そのなかでも、とくに注目すべき制度が「新創業融資制度」です。この制度は、「無担保・無保証人」で利用でき、これから創業する方や創業後2期以内の方を対象としています。

新創業融資制度が利用できるのは、「適正な事業計画を策定し、その計画を遂行する能力があると認められる方」に限られます。そのため、事業計画書の提出や内容の確認が必要ですが、審査に通過できれば、創業時の資金調達に非常に役立ちます。

ただし、自己資金要件があり、創業時に必要な資金総額の10%以上の自己資金が必要です。じっさいには、20~30%の自己資金が望ましいですが、「開業する事業の経験」や「公庫が指定するセミナーなどの受講」で、要件は緩和可能です。

公庫の創業融資制度は、創業者にとって重要な支援手段です。とくに新創業融資制度は無担保・無保証人で利用できるため、創業時のリスクを軽減可能です。創業後2期以内の方は利用を検討してみましょう。

参考:日本政策金融公庫「新創業融資制度」

2)新規開業資金

日本政策金融公庫では、創業時に利用できる「新規開業資金」が提供されています。この制度は、「女性や35歳未満の若者、55歳以上のシニア」など要件を満たす方に金利優遇などの特典があり、該当する創業者にとって非常に有益な制度です。これから創業する方または創業後7年以内の方が対象となるため、対象者の範囲が広く非常に利用しやすい制度となっています。

新規開業資金の利用は、適正な事業計画を策定し、その計画を実行する能力があると認められた方に限定されます。これにより、事業の成果や将来性を見据えた支援が可能となっています。創業計画書をしっかりと作成することが重要になりますので、不安がある場合には専門家への相談も検討しましょう。

この制度では、最大7,200万円の融資限度額が設定されており、そのうち運転資金には最大4,800万円まで利用できます。「担保不要制度」や「経営者保証免除の特例制度」など、希望の制度を組み合わせて利用できますので、しっかりとした計画を立てることが必要です。

参考:日本政策金融公庫「新規開業資金」

3)生活衛生新企業育成資金

生活衛生関係の事業を、創業する方または創業後7年以内の方が対象です。

生活衛生関係の事業
飲食店営業、喫茶店営業、食肉販売業、氷雪販売業、理容業、美容業、興行場営業の一部、旅館業の一部、公衆浴場業、クリーニング業など

創業時に利用できる日本政策金融公庫の「生活衛生新企業育成資金」は、生活衛生関係の事業を創業する方にとって有利な支援制度です。生活衛生同業組合などの経営指導を受けている場合には、金利の優遇措置を受けられる可能性がありますので、一度確認してみましょう。

創業後おおむね7年以内の方が対象で、対象者の範囲も広く利用しやすい制度になっています。また、要件を満たせば、非常に大きな設備資金を、長期返済で借りることができ、創業者の強い味方となります。金利優遇などを受けられるケースもありますので、制度内容をしっかりと理解して検討してみましょう。

参考:日本政策金融公庫「生活衛生新企業育成資金」

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日本政策金融公庫の創業融資よくある質問

日本政策金融公庫の創業融資に関する「よくある質問」について、いくつかの事例が紹介されています。これらの質問は、創業を考えている方にとって参考になるものが多いので、確認しておきましょう。

参考:日本政策金融公庫「よくあるご質問:創業をお考えの方」

1)融資申込みから決定までの期間は?

融資決定までの一般的な所要期間は、およそ3週間です。しかし、融資の条件によっては、より多くの時間がかかる場合もあります。急いでいる場合には、事前の相談により期間を短縮してもらえることもあります。融資審査や入金は、公庫が求める書類などを、すべて提出してからになりますので、必要書類は早めにそろえておきましょう。

2)創業予定地が未定でも申込める?

創業予定地が決まっていない場合には、申込みできません。創業予定地が未定では、根拠のある創業計画書が作成できず、必要書類も準備できないためです。

3)女性向けの新規開業ローンは?

新規開業資金が利用可能です。融資限度額は、設備資金で7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっており、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が7年以内となっています。一般的な公庫の融資とくらべて、大幅な金利優遇を受けられる可能性がありますので、確認しておきましょう。

4)新規開業ローンの特徴は?

■契約時の金利が最後まで適用される固定金利であること

■事業資金としては長期の返済期間が組めること(運転資金7年以内、設備資金20年以内)

■元金返済の据置期間を設定できること(2年以内)

■事業開始後7年までの方が利用できること

などです。

5)自己資金はいくら必要?

要件として、基本的に創業資金総額の10%以上が必要なケースが多くなります。じっさいには、20~30%程度の自己資金が望ましいとされます。

ただし、経験がある業種で開業する場合や、公庫が指定するセミナーを受講した場合には、要件が緩和されます。また、自己資金以上に、創業計画がしっかり作られているかが重視されます。

創業融資の判断基準は創業計画書

創業融資の判断基準は、基本的に創業計画書になるため、信頼性の高い創業計画書を作成することが非常に重要です。しかし、はじめての創業計画書作成は、難しく感じてしまう方も多いでしょう。そのような場合には、創業計画書作成ツールがおすすめです。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
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