事業計画書に欠かせない8項目を徹底解説。事業計画書の作成例も見せます。
「起業や事業拡大のために、金融機関の融資を利用したい」
このような場合、事業計画書の作成が必要です。
事業計画書によって、新規事業の将来性や収益性を適切に説明できれば、資金調達の成功率が高まります。逆に、まとまりのない事業計画書では、融資や出資を検討する金融機関から不信感を抱かれる可能性があります。
また、融資や出資を受けない場合でも、事業計画書の作成により、新規事業の強みや計画、収益性を冷静に分析できるため、一度作成することをおすすめします。
そこで本記事では、事業計画書の書き方を具体的に解説します。事業計画書の作成例などについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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目次
事業計画書に必要な8つの項目
事業計画書は、事業の概要や強み・戦略・競合分析などを基に、事業が将来どのように成長していくかをまとめた計画書です。事業計画書に記載すべき内容の、基本的なベースは決まっていますので、一つひとつくわしく解説します。
■事業計画書に必要な8つの項目
- 創業者・創業メンバーの経歴やキャリア
- 事業概要(ビジョンや目的)
- 事業内容
- 自社サービスの特徴(競合優位性)
- 市場環境(データ分析)
- 経営プラン(マーケティング戦略)
- リスクと解決策
- 資金計画
1)創業者・創業メンバーの経歴やキャリア
創業時はとくに「代表者の経歴」などが重視されます。事業に関連する経験や、その事業に対する熱意が伝わるプロフィールを書くことを意識しましょう。
自身の経験や専攻を活かした事業分野への新規参入は、好意的に受け止められやすい傾向にあります。逆に「まったくの異業種への参入」の場合、「新規参入するにいたった理由」をくわしく説明するようにしましょう。
2)事業概要(ビジョンや目的)
「ビジョンや目標」は、将来のあるべき姿のことです。ここでは、中長期的な事業計画のゴール設定としてわかりやすく記載しましょう。起業する事業で何を達成したいのか、より具体的に説明することが重要です。
ビジョンは、事業が将来どのように展開していくのかを示すものです。経営者の思いや夢を具体的に表現し、事業の方向性を示すことが求められます。
また、目的は、事業をおこなう目的やその背景を明確にするものです。なぜこの事業をおこなうのか、どのような課題やニーズに対応するのかをわかりやすく説明しましょう。
3)事業内容
事業内容は、自分のビジネスの核心となる部分です。この項目では、自分の事業が何を提供するのかを明確に説明する必要があります。事業内容を深く掘り下げるためには、「6W2H」という考え方が役立ちます。この考え方は、事業プランを立案する際に重要な要素を把握するための手法です。
「Why(なぜ)」
なぜこの事業をおこなうのか、その背景や目的を明確にすることです。この要素は、事業の困難に直面した際の精神的な支えにもなります。また、社会的な存在意義や社会からの歓迎を受ける事業であるかどうかも考慮する必要があります。
「What(何)」
提供する商品やサービスの具体的な内容を明確にすることです。顧客にどのような価値を提供するか、市場や顧客から受け入れられるかを考えることが重要です。
「Where・Whom(どこで・だれに)」
事業を展開する場所や地域、対象顧客を明確にすることです。地域の特性や競合状況を考慮し、効果的な展開戦略を構築することが重要です。
「How(どのように)」
事業の具体的な手法や戦略を明確にすることです。事業の運営方法やマーケティング戦略、人材確保など、具体的な手法やプロセスを計画することが必要です。
「When(いつ)」
事業のスケジュールやタイムラインを明確にすることです。事業の計画や目標を達成するための期限やスケジュールを設定し、効率的な進行を図ることが求められます。
「Who(誰に)」
事業のターゲット顧客やパートナーを明確にすることです。ターゲット顧客を明確にすることで、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
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4)自社サービスの特徴(競合優位性)
まず、自社のサービスの特徴を整理しましょう。自社の強みは、ヒト、モノ、カネ、ノウハウのなかでどこにあるのかを明確にする必要があります。たとえば、優れた人材や高品質な製品、十分な資金力、独自のノウハウなどが自社の特徴として挙げられます。
次に、競合優位性を分析しましょう。競合他社と比較して、自社のサービスがどの点で優れているのかを明確にする必要があります。たとえば、競合他社よりも価格競争力がある、顧客サービスが充実している、独自の技術や特許を持っているなどが競合優位性のポイントとなります。
競合優位性を明確にすることで、自社のサービスが市場でどのように差別化されるのかがわかります。これにより、顧客に対して自社の独自性や付加価値を伝えることができ、競争力を高めることができます。
5)市場環境(データ分析)
事業計画書作成において、市場環境の分析は非常に重要です。とくにデータ分析は、正確な情報を得るための有用な手法です。データ分析をおこなうことで、市場の動向やトレンド、競合他社の動向などを把握できます。
データ分析の方法としては、まずは市場の規模や成長率などの基本的なデータを収集し、現状を把握します。次に、顧客のニーズや行動パターンを分析し、顧客の属性や購買履歴などのデータを活用することで、ニーズの把握や市場のセグメンテーション(区分)が可能となります。
また、競合他社のデータも重要な要素です。競合他社の市場シェアや販売戦略、商品の特徴などを分析することで、自社の競争力や差別化ポイントを見つけることができます。
さらに、市場のトレンドや将来予測もデータ分析の対象となります。市場の変化や新しい技術の導入などを把握することで、将来の市場の動向を予測し、事業計画を立てるうえでの参考とできます。
6)経営プラン(マーケティング戦略)
事業計画書の作成は、経営プランやマーケティング戦略を明確にする重要なプロセスです。
経営プランは、売上計画や仕入計画、開発・生産計画、人員・組織計画、設備計画など、事業の各領域における計画を含みます。これらの計画を立てることで、事業の目標や方針を明確にし、経営の基盤を固めることができます。
また、マーケティング戦略も重要な要素です。事業を市場に認知させ、顧客にアピールするための戦略を立てる必要があります。具体的なマーケティング手法や販売戦略を計画し、競合他社との差別化を図ることが求められます。
7)リスクと解決策
リスクとは、事業を進めるうえで予想されるさまざまな問題や障害のことを指します。たとえば、経済変動や競合他社の登場、法規制の変更などが考えられます。リスクを明確に把握し、解決策を提案することで、事業を成功に導くための準備ができます。それぞれのリスクに対して、その発生率や影響度を評価し、優先順位をつけることも重要です。
解決策については、リスクが発生した際にどのような対策を取るかを具体的に記述する必要があります。解決策は、リスクを軽減させるための具体的なアクションプランや予防策も含めるとよいでしょう。また、解決策の実施に必要なリソースや期間も明示しましょう。
事業計画書におけるリスクと解決策の記載は、金融機関などの関係者に対して、事業の信頼性や持続可能性を示す重要な要素となります。リスクを適切に把握し、解決策を明示することで、事業のリスクマネジメントがおこなわれていることをアピールしましょう。
8)資金計画
資金計画は、事業の財務面を具体的に把握して、設備資金や収支、資金繰りの見通しを示すものです。事業の収益や費用、投資や融資など、お金の流れを明確にすることで、事業計画書の信頼性や実現可能性を高めることができます。
収支(損益)計画は、事業の収益と費用を見積もり、その差額を利益や損失として計算するものです。具体的には売上高や販売原価、経費などを予測し、収益と費用のバランスを把握することで、事業の収益性や利益率を算出できます。
資金繰り計画は、収支計画を予測したうえで、事業運営に必要なお金の流れを具体的に計画するものです。売上高の入金予定や、仕入れ代金の支払い予定、給与や家賃の固定費などを考慮し、資金残高の状況を把握します。これにより、事業の運転資金やキャッシュフローの安定性が確保できます。
ドリームゲートが提供する「事業計画書作成ツール」を使えば、開業資金や収支計画などもかんたんに作成できます。
無料で利用できるうえ、エクセルなどでテンプレートをダウンロードすることもできます。かんたんな質問に回答するだけで、各業種に適した創業計画書や収支計算書を作成することができ、非常に便利です。さらに、ドリームゲートでは、各業種で健全な経営をおこなっている先輩経営者の調査結果と、あなたが作成した計画を比較して事業計画の健全性を診断することもできます。
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事業計画書の作成例(ダウンロード可)
実際の事業計画書を見ると、各項目の書き方をよりイメージしやすいでしょう。ここでは事業計画書の作成例を見られる3つのサイトを紹介します。
ドリームゲートでは資金調達に成功した事業計画書作成例を紹介しています。
11業種12社の事例が紹介されているので、ご自身のビジネスに近しい例をダウンロードしてみてください。
参考:ドリームゲート「資金調達成功の『事業計画書』11業種12社」https://www.dreamgate.gr.jp/dl_contents/businessplan/
日本政策金融公庫のウェブサイトでは、「洋風居酒屋・美容業・中古自動車販売業・婦人服子供服小売業・ソフトウェア開発業・内装工事業・学習塾・歯科診療所・介護サービス」など9業種の事業計画書のひな型をダウンロードできます。さらに、業種別の参考情報も提供されており、計画作成時の参考になります。
参考:日本政策金融公庫「国民生活事業:各種書式ダウンロード」https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
また、中小機構も同様に、「飲食業(カフェ事業)・小売業(ベビー服小売業)・サービス業(テイスティングアカデミー事業)」の事業計画書の作成例を提供しています。
参考:中小機構 J-Net21「起業マニュアル:事業計画書の作成例」
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list5/5-1-3.html
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事業計画書作成のポイント
①事業計画書作成の内容上のポイント「魅力的で具体的な根拠がある」
事業計画書を融資に使う場合には、記載した内容の説得力によってその可否が決まります。具体的な根拠を示し、わかりやすく記載しましょう。事業計画書の内容上のポイントとしては、「緻密で具体的な根拠があり」「計画どおりに進めれば成功しそうな魅力的なプラン」であることになります。
②事業計画書作成の作成上のポイント「簡潔明瞭で伝わりやすい」
事業計画書の作成上のポイントとしては、「簡潔明瞭でわかりやすく」記載することが、重要です。日本政策金融公庫の融資担当者などは、すべてのビジネスモデルについてくわしいわけではありません。高校生でも理解できるくらい、わかりやすく書くことを心がけましょう。図やグラフなどを活用すると、伝わりやすくなります。
また、一目で理解できるタイトルや要約、前文などで「資金提供をお願いしたい」「パートナーになっていただきたい」といった作成目的を示すことも効果的です。
参考)
事業計画書作成のメリット
事業計画書の作成には、「資金調達・ビジョンの明確化・事業プランの共有」などのメリットがあります。事業計画書は経営者自身の思考を整理し、組織全体がひとつの目標に向かって協力するための重要なツールとなります。
1)資金調達
融資を受ける際には、事業計画書の提出が必要となります。この計画書は、融資の審査においても大きな影響を与えるため、十分な内容を盛りこむことが重要です。
事業計画書を作成することによって、事業の問題点や経営課題を整理できます。計画書を作成する過程で、事業の現状や将来の展望を客観的に分析し、課題を明確化することも可能で、問題解決や経営戦略の立案に役立ちます。
2)ビジョンの明確化
ビジョンとは、企業の理想的な状態を具体的にイメージすることです。しかし、ビジョンは漠然としている場合が多く、具体的な形にすることは容易ではありません。
事業計画書を作成することで、ビジョンを明確化できます。漠然としたイメージが具体的な目標に変わり、ブラッシュアップされていくのです。具体的な目標を設定することで、経営活動の方向性を明確にできます。
3)事業プランの共有
事業計画書の作成により、企業のビジョンや目標を社内外の関係者と共有することができます。ビジョンや目標の共有は、コミュニケーションを促進し、組織全体がひとつの目標に向かって協力可能となります。
事業計画書は、経営者などが企業の方向性や目標を明確にするために作成されます。しかし、それだけではなく、社内の従業員や関係者に対してもビジョンを共有する重要なツールとなります。事業計画書には、企業のビジョンやミッション、戦略、目標、具体的なアクションプランなどが詳細に記載されます。これにより、社内のメンバーは企業の方向性や目標を理解し、それに向かって行動できます。
また、事業計画書の共有は、社外の関係者とのコミュニケーションを図るためにも重要です。事業計画書には、企業のビジネスモデルや将来の収益予測などが記載されており、投資家や金融機関はこれを参考に企業の成長性や収益性を評価します。したがって、事業計画書を共有することで、企業の魅力や将来性を明確に伝えることができます。
事業計画書は作成ツールでかんたんに
ドリームゲートが提供する「事業計画書作成ツール」を使えば、事業計画書をかんたんにつくることが可能です。
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