創業融資で親からの借入れは自己資金になる? 審査での見られ方と注意点を解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2026/09/28 

創業準備を進めるなかで、資金計画を立てる際に親からの金銭的な支援を頼りにするケースは少なくありません。しかし、親から準備してもらった資金が審査でどのように扱われるのかについて、疑問を抱く方は非常に多くいらっしゃいます。親が親切心で貸してくれたお金だから安心だと安易に考えてしまうと、審査の段階で思わぬ不備を指摘されるリスクが存在します。

審査における重要ポイントは、そのお金を「自己資金」「借入れ」「贈与」のいずれの性質として金融機関に説明するのかを明確に整理することです。資金の扱いや出どころがあやふやな状態のまま申請をおこなうと、金融機関からの信用を損ねてしまう原因にもなりかねません。当記事では、親からの借入れが審査でどう評価されるのか、必要書類や創業計画書への記載方法までわかりやすく解説します。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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目次

1.創業融資で親からの借入れは自己資金になるのか?

親から資金を借り入れた場合であっても、返済義務は存在します。そのため、その資金は原則として自己資金ではなく「借入れ」として整理するのが金融機関の基本的なルールとなっています。

日本政策金融公庫の「創業計画書セルフチェック」における資金調達方法の欄には、「親、兄弟、知人、友人等からの借入」を記載する専用の項目が用意されており、自己資金とは明確に区別されています。

情報出典:日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/page_3/

1)親から借りたお金は原則「借入れ」として扱う

返済の義務が生じる資金に関しては、どのような関係性であっても自己資金ではなく借入れとして取り扱われます。金融機関に対して提出する創業計画書においても、自分で貯めた自己資金とは別の項目に分けて正確に計上しなければなりません。

2)贈与であれば扱いが変わる可能性がある

もし親から受け取った資金であって、将来的に返済する必要がないものであれば「贈与」として処理することが可能です。ただし、単に口頭でもらったと主張するだけでは認められず、贈与税を申告したり、贈与契約書などの証明書類をそろえたりする必要があります。

3)見せ金に見えないよう注意する

融資審査を通過したいがために、直前になって一時的に親から口座にお金を振り込んでもらい、融資が実行された後に返却するような手法を取る方もいらっしゃいます。しかし、そのような手法は「見せ金」と判断されます。融資担当者が「疑わしい」と判断した場合は、自己資金として認められないばかりか、悪質とみなされて審査で否決となるため注意が必要です。もし、その方法で審査が通ったとしても、後で判明したときに信用を失うことになりかねません。

上野光夫氏「創業融資の『自己資金』の示し方」

元日本公庫職員である上野光夫氏の解説動画「創業融資の『自己資金』の示し方」では、審査で評価される自己資金の定義や具体的な示し方が詳しく説明されています。親からの金銭支援を自己資金・借入れ・贈与のいずれとして整理すべきか判断に迷う際、非常に参考になるコンテンツです。金融機関から信頼を得るための資金の示し方や注意点が把握できるため、親からの資金調達を検討している方は必ず確認しておきたい動画です。

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2.親からの借入れと自己資金のちがい

自己資金と親からの借入れでは、資金が持っている根本的な性質や創業後の事業経営に与える影響が大きく異なります。審査において、金融機関に正しく説明するためにも、それぞれの資金の定義やちがいについて理解しておくことが大切です。

情報出典:日本政策金融公庫「創業準備のチェックポイント」「創業計画書セルフチェック」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/page_3/

1)自己資金は返済義務のない資金

自己資金とは、これまでの勤務時代に得た給与や事業収入から積み立ててきた蓄えや、退職金など自分自身で準備した返済義務のない資金を指します。返済義務がないお金であるため、創業後の資金繰りを圧迫する心配が一切ない点が大きな特徴です。

2)親からの借入れは返済義務がある資金

親族からの援助であっても、将来的に返済する約束を取り交わしている場合には「借入金」として整理します。金融機関からの融資返済とは別に親への返済が発生するため、事業開始後の資金繰り計画や返済スケジュールのなかに正しく組み込んでおく必要があります。

3)親からの贈与は借入れとは異なる

親からの資金提供であっても返済義務のない贈与であるならば、借入れとは異なる扱いになります。ただし、本当に贈与であると客観的に示すためには、贈与契約書の作成や銀行の振込履歴、税務上の手続きなどが不可欠となります。

3.創業融資の審査で親からの借入れはどう見られるか

親から資金を借りているという事実だけで、審査において即座にマイナス評価を下されるようなことはありません。しかし、資金調達の全体像のなかで、借入金のしめる割合が大きすぎる場合には、事業開始後の返済負担を懸念されてきびしい目で見られる場合があります。

情報出典:日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/page_3/

1)返済義務があるかどうかを確認される

審査の場では、親から準備されたお金に返済義務が生じるのかどうかが細かくチェックされます。借入れか贈与かによって事業全体の安全性や評価がガラリと変わるため、客観的な根拠を提示して資金の性質をしっかりと提示することが求められます。

2)借入依存度が高いと注意が必要

自分で準備した自己資金の金額が極めて少なく、親からの借入れと金融機関からの融資だけに大きく頼った資金調達計画は注意が必要です。創業初期から過度な負債を抱え込む形になるため、資金繰りが早期に破綻するのではないかと懸念されやすくなります。

3)資金の出どころを説明できることが重要

審査を担当する人に安心感を与えるためには、親の銀行口座から資金が移動した経緯や履歴を客観的に証明できることが大切です。口座の振込記録や借用書、あるいは贈与契約書などの書類をしっかりと準備し、お金の出どころを論理的に説明しましょう。

4.親から借りる場合に準備すべき資料

親族間での金銭のやり取りは口頭での約束になりがちですが、創業融資の審査においては客観的な書面や履歴による証明が強く求められます。融資担当者に対してお金の流れや安全性を明確に示すためにも、事前に適切な書類を漏れなくそろえておくことが成功の鍵を握ります。

情報出典:日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/page_3/

1)借用書

親からの借入れであっても、金銭消費貸借契約書などの借用書を作成して書面に残すことが極めて重要です。契約書には借入金額だけでなく、いつまでに返すのかという返済時期や毎月の返済方法、利息を設定するかどうかまで明確に記しておかなければなりません。

2)振込履歴

親からの資金移動の際には、現金の手渡しでやり取りをおこなうのではなく、必ず銀行口座を介した振込形式でおこなうことが推奨されます。通帳に印字された明確な振込履歴を残しておくことで、いつ誰からいくら移動したのかというお金の透明性を証明できます。

3)返済計画

親への返済も含めた創業後の総合的な返済計画書をあらかじめ作成しておきます。日本公庫や一般銀行への毎月の返済額に加えて親への返済が加わった場合でも、事業の利益のなかで十分に賄っていけるのかどうか、無理のない資金繰りスケジュールを提示する必要があります。

4)贈与の場合は贈与契約書

もし親からの資金提供が返済義務のない贈与であるならば、贈与契約書をあらかじめ取り交わしておく必要があります。双方の合意に基づいて資金が譲渡された事実を公的な書面として残すことで、後からの税務上のトラブルや審査での無用な疑いを回避できます。

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5.創業計画書にはどう書くべきか

親から借り入れたお金の具体的な記載場所は、創業計画書内に設けられている「必要な資金と調達方法」という欄になります。日本政策金融公庫が指定するフォーマットでは、自己資金や親族・知人からの借入れ、日本公庫からの融資額などが細かく分類されて記載される形式になっています。

情報出典:日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/page_3/

1)自己資金と親からの借入れを分ける

親から借り受けたお金を、自分で貯めたお金に見せかけて「自己資金」の欄へ混同して記入してはいけません。「親、兄弟、知人等からの借入」という指定の記入スペースへ明確に区分けして記載することが、書類作成における基本のルールとなります。

2)返済方法を明確にする

親への返済期間や毎月の返済金額があらかじめ決定している場合は、その内容を資金繰り表にしっかりと反映させます。事業で得られる予想収益から無理なく返済可能であることを、整合性をもって担当者にアピールしていく工夫が求められます。

3)必要資金との整合性を取る

店舗の開業にかかる設備資金や事業を回すための運転資金の合計額と、調達方法の合計額が寸分の狂いもなく一致するように計画を組み立てます。自己資金、親族からの借入れ、日本公庫からの融資などの各数値を正確に計算し、計画全体に矛盾を生じさせないことが不可欠です。

6.親からの借入れで注意すべきこと

親からの借入れは、家族間であるがゆえに条件面で融通が利きやすく心理的なハードルも低いというメリットが存在します。しかし、金融機関からは返済義務のある純粋な負債と見なされるため、借入依存に陥っていないか客観的な視点で自らの資金計画を見つめ直す必要があります。

情報出典:日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/page_3/

1)親族間でも返済義務を曖昧にしない

借りた資金を本当に返還するのか、それとも返さなくてもよいお金なのかという境界線を曖昧なまま放置してはいけません。契約内容がうやむやな資金は、創業計画書のうえでも客観的な説明が非常に困難となり、審査担当者から不信を買うことへとつながってしまいます。

2)親への返済が資金繰りを圧迫しないか確認する

日本公庫や金融機関への毎月の返済と親への返済が同時にスタートすると、開業初期のきびしい資金繰りを強く圧迫する恐れがあります。事業が軌道に乗るまでの間は据置期間を設けさせてもらうなど、親としっかり話し合って無理のない返済条件を設定しておくことが大切です。

3)税務面も確認する

資金の提供が贈与に該当する場合、金額によっては贈与税の課税対象となる可能性が出てきます。年間110万円を超える資金の譲渡を受ける際や特例の活用を検討する場合には、後々の税金トラブルを防ぐためにも事前に税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

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7.よくある質問

親からの借入れや資金提供に関して、起業を準備中の方々から頻繁に寄せられる代表的な質問をQ&A形式でわかりやすくまとめました。

1)親から借りたお金は自己資金になりますか?

親から借りた資金であっても、将来的に返済する義務がある以上は原則として「自己資金」には含まれません。金融機関の審査においては、自己資金とは明確に区別された「借入金」として整理し、創業計画書に記載する必要があります。

2)親からもらったお金なら自己資金になりますか?

親から返済義務のない形で提供されたお金(贈与)であれば、自己資金に準ずる性質の資金として審査で提示できる可能性があります。ただし、口頭だけでなく贈与契約書の締結や通帳での振込記録、税務上の適切な処理がおこなわれていることが証明の前提となります。

3)親から現金で受け取っても大丈夫ですか?

現金の手渡しでお金を受け取ってしまうと、その資金がいつどこから流れてきたものなのか客観的な証明が困難になります。審査で「見せ金」と疑われないように、必ず親名義の口座から本人名義の口座へ銀行振込をおこない、通帳に履歴を残してください。

4)親への返済はいつからはじめるべきですか?

創業直後は事業収入が不安定になりがちであるため、資金繰りに十分な余裕ができる時期から返済を開始するのが理想的です。日本公庫への返済と重なって経営を圧迫しないよう、事業全体の収支計画書や資金繰り表を作成したうえで慎重に時期を検討しましょう。

8.まとめ|親からの借入れは、自己資金と分けて正しく説明する

起業を目指す方にとって、親からの金銭的な支援は、創業準備を円滑に進めるための大変心強い後押しとなります。しかし、融資審査の場面では、返済義務が生じる以上は自己資金と同一視することができず、借入金として適切に区分し、整理しなければなりません。

「親が貸してくれたから安心」と満足してしまっては、創業融資を成功させることはできません。そのお金を「自己資金」「借入れ」「贈与」のいずれの枠組みとして説明するのかを明確に確定させ、証明できる書類をそろえることが重要です。そのうえで創業計画書や資金繰り表に正しく反映させ、無理なく返済していける健全な計画であることを金融機関へ示すことが審査通過への確実な道筋となります。

9.創業融資は事業計画書作成ツールがおすすめ

親からの借入れを、創業融資の資金計画のなかに組み込む場合には、自己資金や親族借入、日本公庫からの融資額、必要な開業資金、そして将来の返済計画の全体的な整合性を完璧に取らなければなりません。これらの複雑な数値を頭のなかだけで整理しようとすると、自己資金と借入れが混ざってしまったり、返済計画に無理が生じたりするリスクが高まります。

そのような課題を解決するためにぜひ活用していただきたいのが、ドリームゲートが提供している「事業計画書作成ツール」です。画面のわかりやすいガイドに沿って数値を入力していくだけで、事業内容をはじめ、必要な調達資金、毎月の収支計画、資金繰りのシミュレーションをスムーズに整理することが可能です。

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本ツールは完全無料で気軽にご利用いただけますので、まずはご自身の現在の資金計画を入力してみてください。親からの借入れを含めて資金調達をおこなったとしても、創業後に無理なく返済を継続していける実現可能な計画になっているかどうかを事前にしっかりと確かめておきましょう。

この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
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