スタートアップ企業の融資を成功に導く大原則を起業のプロが徹底解説

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2026/05/30 

スタートアップの経営者にとって、資金調達は事業の成否を分ける極めて重要なプロセスです。自己資金や投資家からの出資だけで十分なキャッシュを確保し続けるのは容易ではなく、多くの創業者が「融資」という選択肢を前にして頭を悩ませています。

本記事では、複雑に感じられがちな融資のしくみを整理し、スムーズな意思決定を支援するための実践的なガイドラインを提供します。成長を加速させるための最適な資金戦略を、一緒に導き出していきましょう。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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1.スタートアップとは?スモールビジネスとのちがいは?

スタートアップという言葉は広く使われていますが、一般的な中小企業やスモールビジネスとは目指すべき方向性が明確に異なります。

スモールビジネスは既存の市場において、小資本・少人数による着実な収益化と安定した経営を維持することを主な目的としています。それに対してスタートアップは、イノベーションを通じて短期間で爆発的な成長を遂げ、新しい市場を創造したり社会に大きなインパクトを与えたりすることを目指す組織を指します。

このビジネスモデルの差は、資金調達の考え方にも色濃く反映されます。スタートアップは初期段階で多額の投資をおこない、一時的な赤字を許容しながらも、将来的な大きなリターンを狙う「Jカーブ」を描くのが特徴です。そのため、従来型の銀行融資の審査基準とは必ずしも合致しない局面が多く、スタートアップ特有の評価基準を理解することが、資金調達を成功させるための第一歩となります。

2.スタートアップの資金調達はエクイティファイナンスが中心

スタートアップの成長を支える柱となるのが、株式を発行して資金を調達するエクイティファイナンスです。エクイティファイナンスには返済義務がないため、キャッシュフローが不安定な初期段階において非常に有効な手段といえるでしょう。

参考:スタートアップの資金調達のすべて
フェーズごとに成功しやすい調達方法を徹底解説

1)ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタル(VC)は、将来のIPOやM&Aによるキャピタルゲインを目的として投資をおこなう専門機関です。彼らは単なる資金提供者にとどまらず、ハンズオンと呼ばれる経営支援を通じて事業成長を強力にバックアップしてくれます。ただし、高い成長性が求められるだけでなく、経営に対する発言権を一定程度譲り渡す必要があることも理解しておかなければなりません。

2)エンジェル投資家

エンジェル投資家は、主に創業間もない時期に個人の資産から出資をおこなう支援者です。起業家としての経験を持つ方も多く、資金だけでなく人脈や知見の共有といった、メンターとしての役割を期待できるのが魅力です。早い段階で信頼関係を築くことで、次のラウンドへとつなげるための土台をつくることが可能になります。

3)コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)

事業会社が本業との相乗効果を狙って出資するのがCVCです。自社の事業領域に精通しており、なおかつ具体的な連携が期待できる企業からの出資は、事業の信頼性を飛躍的に高める要因となります。単なる財務的なリターンだけでなく、販路の拡大や共同開発といったシナジーが期待できる相手であれば、融資の際にもその背景がポジティブに評価されるでしょう。

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3.スタートアップが融資を受ける際のポイント

出資によって資本力を高めた後、さらに成長を加速させるために欠かせないのがデットファイナンス、つまり「融資」の活用です。ここでは、審査を有利に進め、確実に資金を手にするための3つの大原則について掘り下げていきます。

1)創業融資は必ず申込むべき

事業を立ち上げたばかりのタイミングでもっとも頼りになるのが、日本政策金融公庫(日本公庫)が提供する創業融資制度です。民間の金融機関が実績のない企業への貸付に慎重な一方で、日本公庫は国の方針として起業家の育成を支援しています。そのため、たとえ投資家からの出資を受けていたとしても、手元の現金を厚くするために並行して申込むのが定石です。

創業融資で実績をつくっておくことは、将来的に民間銀行との取引を開始する際にも、有利な実績として機能します。返済実績を積み上げれば、信用力が向上して次の大規模な融資へとつながりやすくなるからです。無担保・無保証で利用できる枠組みも存在するため、リスクをおさえつつレバレッジを効かせたい起業家にとって、創業融資を使わない手はありません。

2)出資のタイミングを考慮する

融資を受ける際には、エクイティによる調達タイミングとの兼ね合いが極めて重要となります。一般的に、VCなどから出資を受けた直後は自己資本比率が高まっており、財務基盤が安定していると見なされるため、銀行融資の審査には非常に有利に働きます。倒産リスクが低いと評価されるタイミングで、低金利の資金を確保しておくのは賢明な判断です。

ただし、注意が必要なのは「資金が余りすぎている」と判断された場合です。銀行側から見て「この会社には現在、融資をする必要がないほど潤沢な資金がある」と思われてしまうと、融資の実行が後回しにされたり、条件がきびしくなったりするケースも存在します。自社の資金繰り表を綿密に作成し、いつ、どれだけの資金が必要になるのかという根拠を論理的に説明できるようにしておきましょう。

3)資金使途を明確にする

銀行は、何にいくら使うか、つまり資金使途を重視します。資金を投じることで、リターン(つまり利益)が得られる企業へ融資するのが一般的です。ソフトウェア開発やサービス業が中心のスタートアップにおいては、支出の大部分がエンジニアの人件費や、マーケティングのための広告宣伝費に充てられます。これらはすぐに利益にはつながらないことが多いものですがですが、スタートアップにとっては将来の売上をつくるための投資そのものです。

銀行の担当者に対し、人件費や広告費がどのように事業の成長に直結し、将来の返済原資を生み出すのかを丁寧に共有しなければなりません。ここで資金使途を曖昧にしたり、当初の計画とは異なる目的で資金を使ったりすることは、資金使途違反として重大なペナルティを科される原因となります。一度でも信頼を損なうと次回の融資は絶望的になるため、透明性の高い資金管理を徹底してください。

4.スタートアップが融資を受ける方法

じっさいに融資を検討するにあたって、どのような窓口が存在し、それぞれどのような特徴があるのかを把握しておくことが重要です。主要な4つのルートについて、スタートアップの視点から具体的に解説します。

1)日本政策金融公庫

先述のとおり、最初に検討すべきは日本公庫です。彼らの使命は「創業を支援すること」にあるため、実績がゼロの状態でも、事業計画の合理性さえ示せれば融資を受けられる可能性が十分にあります。スタートアップ向けの特別な貸付制度も充実しており、金利負担をおさえながらまとまった資金を調達できるのが大きなメリットです。

また、日本公庫は審査基準が明確で、自己資金の準備状況や代表者のキャリアなど、基本的な要件をクリアしていれば、強力な味方になってくれます。まずは公庫の窓口に相談し、自社が利用できる最適な融資制度を提案してもらうことからはじめましょう。

2)信用保証協会

民間の金融機関から直接融資を受ける「プロパー融資」は、実績のないスタートアップにとって非常にハードルが高いのが現実です。そこで活用するのが、公的機関である信用保証協会です。信用保証協会が企業の債務を保証することで、万が一返済が滞った際の銀行側のリスクを肩代わりしてくれるため、融資の実行が格段にスムーズになります。

信用金庫や地方銀行、さらにはメガバンクであっても、スタートアップ向けの融資にはこの信用保証協会の枠を利用することが一般的です。最近ではネット銀行もこのしくみを活用した融資に乗り出しており、手続きの利便性が向上しています。保証料を支払う必要はありますが、民間銀行との接点をつくり、長期的な信頼関係を構築するための入口として非常に有効です。

3)銀行のビジネスローン

急なタイミングで資金が必要な場合、メガバンクや都市銀行が提供するビジネスローンも選択肢に入ってきます。近年、各行はスタートアップ支援を強化しており、決算書だけでなく将来の成長性や出資状況をスコアリングに組み込んだ専用の融資商品を開発しています。オンラインで完結し、数日で着金するスピード感は大きな魅力です。

ただし、利便性の代償として一般的な銀行融資に比べて金利が10%以上高くなることもある点には注意が必要です。ビジネスローンはあくまで短期的な運転資金の補填や、チャンスを逃さないための「繋ぎ」として活用するのが理想的でしょう。恒常的な赤字が続くスタートアップが、長期間依存をしてしまうと、利息負担が経営を圧迫するため、返済計画には細心の注意を払ってください。

4)ベンチャーデット

ベンチャーデットは、その名のとおりスタートアップに特化した負債による調達手法です。通常の融資とは異なり、新株予約権(ワラント)を金融機関に付与する代わりに、一般的な銀行では断られるようなハイリスクな状況でも大きな金額を借りることができます。エクイティによる株式の希薄化を最小限におさえつつ、次の資金調達までの「ランウェイ(企業がキャッシュ不足に陥るまでの残存期間)」を伸ばすために活用されます。

この手法は、すでにVCから一定の出資を受けており、次の大型調達が見えているミドルステージ、またはレイターステージの企業によく見られます。専門的な知識を持つ銀行のデットチームや、特化型のファンドが主な提供元となります。金利じたいは低くおさえられていても、ワラント行使による将来的な株式放出のコストを含めると、トータルの調達コストを慎重にシミュレーションする必要があるでしょう。

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5.よくある質問

融資を検討する際、多くの起業家が抱く疑問についてQ&A形式で回答します。

1)スタートアップは融資と出資どちらを優先すべきか

結論からいえば、事業のフェーズと目的によって異なります。創業初期の、まだプロダクトの市場性が不透明な時期には、返済義務がない出資を優先して地盤を固めるのが一般的です。

一方で、ある程度売上の予測が立ちはじめ、株式の希薄化を防ぎたいフェーズでは融資の割合を高めるのが合理的です。現在では「デット」と「エクイティ」のハイブリッドな調達が主流となっており、両者を補完関係として捉えるのが成功の近道となります。

2)スタートアップは赤字でも融資は受けられるか

赤字であっても融資を受けられる可能性は十分にあります。スタートアップの価値は過去の利益ではなく、将来生み出すキャッシュフローの大きさで測られるためです。

とくに日本公庫や保証協会付き融資では、一時的な赤字の背景が適切な投資(人件費や開発費)によるものであれば、それを「成長のための健全な赤字」と見なしてくれます。ただし、なぜ今赤字なのか、いつ黒字化するのかという道筋をロジカルに説明する資料は不可欠です。

3)スタートアップの創業融資はいくらまで借りられるか

出資を多く受けているからといって、比例して融資額が無制限に増えるわけではありません。創業融資の場合、現実的な目安としては数百万円から1,000万円程度に収まるケースが多いです。

日本公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」などの制度でも、自己資金の要件や支店決裁の権限によって、一定の天井が意識されます。それ以上の大きな資金が必要な場合は、プロパー融資や複数の金融機関を組み合わせたシンジケートローンの検討が必要となります。

6.スタートアップ融資なら事業計画書作成サポートツールがおすすめ

融資の審査において、もっとも重要な書類となるのが事業計画書です。銀行の担当者を納得させるためには、裏付けのある数字と情熱的なビジョンが両立していなければなりません。ドリームゲートの事業計画書作成ツールを活用すれば、ブラウザ上の指示にしたがって入力するだけで、説得力のある事業計画や精緻な売上予測をかんたんに作成できます。

プロの知見が凝縮されたこのツールは無料で利用できるため、はじめて融資に挑戦する起業家にとって最高のパートナーとなるはずです。まずは現在の構想を形にし、金融機関へ提示できるレベルまでブラッシュアップしてみることからはじめましょう。適切な準備こそが、スタートアップの成長を加速させる資金調達を成功させる唯一の鍵となります。

この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
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