自己資金がゼロの場合の創業融資について

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2025/07/17 

shikinzero

来年の法人設立を予定しており、起業にあたって日本政策金融公庫からの融資を希望しています。2,000万円の融資を希望しておりますが、自己資金はゼロの状態です。
代表者は3~4年前に消費者金融から80万円を借り入れており、現在の残債は約45万円です。
また、クレジットカードは発行可能な状態ですが、信用情報機関(CIC)には軽微な傷があるようです。

このような状況において、以下の3点についてご相談させていただきます。

①自己資金がゼロでも、事業計画書の内容や面談での受け答え、代表者の経歴と事業内容の整合性により、日本政策金融公庫の融資を受けることは可能でしょうか。
②消費者金融からの借入が残っている状態でも、日本政策金融公庫の創業融資を受けられる可能性はありますか。
③クレジットカードが発行できる信用状態であれば、CICに一部傷がある場合でも融資審査に通ることは可能でしょうか。

また、現在の状況では融資の審査通過が難しい場合、どのような対策を講じれば良いか、アドバイスをいただけますと幸いです。

【無料】事業計画作成サポートツールなら、3分で事業計画書が無料で作れます。さらに作成した事業計画書を先輩経営者と比較した順位も判定。要チェック!>>

ANSWER:自己資金ゼロでの融資について回答します

内容を拝見しました。ご相談内容について、以下の通り回答させていただきます。

①自己資金がゼロの場合の創業融資について

結論から申し上げますと、自己資金は創業融資の審査において必須です。近年、日本政策金融公庫をはじめとした金融機関の審査はさらに厳格化しており、「成功可能性の高い起業家に融資を集中させる」という意図すら感じられます。
創業融資において自己資金が重視される理由は、自己資金が創業資金の一定割合(例:1~3割)以上ある起業家は成功率が高いという統計データに基づいています。加えて、通帳などを通して「自己資金の積み上げ方」「お金の使い方」「起業への本気度」などを審査担当者が見極めているのです。
※質問者様の話ではありません。あくまでも融資審査のロジックの話です。
事業計画書の役割は、この自己資金に対する評価倍率を高め、より高い融資額を引き出すためにあります。自己資金が「0円」であれば、どんなに優れた事業計画でも評価は「0円」からのスタートになってしまいます。

②消費者金融の借入がある場合の影響

消費者金融における残債がある方でも、創業融資の審査を通過した事例はあります。今回のケースでは、過去に80万円を借り入れ、すでに55万円を返済しておられるということなので、一定の返済実績はあると評価できます。
しかしながら、残債があること自体は審査上マイナス評価となる可能性があります。与信枠の利用状況、返済履歴、現在の返済能力などを総合的に見て判断されます。

③信用情報(CIC)の影響について

CICに軽微な傷があるとのことですが、クレジットカードの発行ができている状態であれば、融資の可能性はゼロではありません。過去には同様の状況でも融資審査をクリアした事例があります。
ただし、CICの記録内容によっては審査にマイナスとなるケースも多く、実際の信用情報を確認しないと具体的なアドバイスは困難です。

●創業融資を受けるためのアドバイス

希望融資額が800万円の場合、300万円程度の自己資金を保有しているかどうかが重視される傾向があります。もちろん、自己資金があるだけで審査に通るわけではなく、事業の業種や規模に応じた統計的な適正額に基づいて審査されます。

なお、「見せ金」などの不正な手法は、通帳の動きから金融機関にすぐ見抜かれます。自己資金の積み上げ方が正当であること、計画性があることが大前提です。

最近では、初期費用を抑えつつSNSやオンラインサービスを活用して収益を生み出し、その収益を自己資金として積み上げる方も増えています。融資審査が通りやすい方は、コツコツと継続的に資金を貯め、通帳に実績を残しています。そうすることで、たとえ一部マイナス評価となる要素があっても、事業計画や面談のプレゼンテーションで十分にカバーできる可能性があります。

「自己資金ゼロ」での起業は難易度が高いですが、ご自身に合った資金調達方法を検討し、着実な準備を進めることで、創業融資の実現可能性は高まります。

この質問に回答した専門家
田中 琢郎(たなか たくろう)
株式会社ファイナンスアイ 代表取締役
8,000社以上の経営者・起業家の資金調達の相談実績。創業融資、事業拡大、苦境の経営改善いずれの状況でも対応。創業数年で年商5億超の起業家育成・苦境の経営者が数年で年商億越えなど実績多数。
プロフィールを見る>>