美容室の創業計画書の書き方と記入例を完全図解

執筆者:ドリームゲート事務局
公開日: 2024/10/19 

美容室を開業する夢をお持ちの方は、資金調達をどのように考えているのでしょうか。
多くの場合、日本政策金融公庫など金融機関からの融資が必要となりますが、借入れを受けるためには、綿密な創業計画書の作成が不可欠です。

創業計画書は、事業に対する熱意や将来性を日本公庫などに示すための重要な資料であり、融資審査の合否を大きく左右すると言っても過言ではありません。

当記事では、美容室開業に必要な創業計画書の書き方と具体的な記入例、さらに審査を通過するためのポイントを分かりやすく解説します。当記事がスムーズな資金調達と、美容室開業の夢を成功させるための一助となれば幸いです。

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この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
プロフィールを見る>>

1.美容室の創業計画書の記入例

創業計画書は、日本政策金融公庫など金融機関から融資を受ける際に必要となる書類です。ここでは、創業計画書の各項目について、美容室開業を想定した具体的な記入例を交えながら解説します。

創業の動機 起業の目的や動機を記入
経営者の略歴等 勤務先名だけでなく、担当業務や役職、身につけた技能やスキルなどを記入
取扱商品・サービス 起業するビジネスの事業内容や商品・サービスの内容、自社の強み、市場の状況などを記入
取引先・取引関係等 販売先・仕入先・外注先の取引状況を記入
従業員 3ヵ月以上雇用予定の従業員について記入
お借入の状況 現在の借入れ状況(キャッシングやリボ払い、消費者金融などを含む)をすべて記入
必要な資金と調達方法 必要資金は設備資金と運転資金にわけて記入。調達方法は自己資金や家族・知人などからの借入れについても記入
事業の見通し(月平均) 創業当初と1年後(または軌道に乗った後)の売上・仕入高・経費などについて記入

参考:美容室の創業計画書|記入例

1)創業の動機

なぜ美容室を開業したいのか、その理由や背景、きっかけなどを具体的に記述します。開業に至るまでのストーリーや、美容業界への熱い思いを表現しましょう。

記入例)

幼いころから美容に興味があり高校卒業後は美容専門学校に進学し、卒業後は都内の有名美容室2店で、約8年間スタイリストとして経験を積み現在も勤務中です。お客様と信頼関係を築き、1人ひとりに合ったヘアスタイルを提供することにやりがいを感じています。しかし、近年はお客様のライフスタイルや悩みに寄り添った、よりパーソナルなサービスを提供したいという気持ちが強くなりました。そこで、お客様にさらに深く向き合える、アットホームな美容室を開業することを決意しました。

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2)経営者の略歴等

「勤務履歴と職務経歴」「過去の事業経験」「取得資格と知的財産」など経営者自身の経歴やスキル、経験などを詳細に記述します。とくに、美容師としての経験年数や、得意な技術、実績などを具体的に示すことが重要です。

記入例)

■勤務履歴と職務経歴
H◯年◯月~ 〇〇美容専門学校卒業
       美容師免許取得
H◯年◯月~ ㈱〇〇 △△美容室5年勤務(アシスタント2年、スタイリスト3年)
       ヘアケアマイスター、色彩検定3級取得
H◯年◯月~ 〇〇㈱ ヘアサロン△△5年勤務 現在の月給30万円
       (スタイリスト5年、内2年はマネージャーも兼務)
       スタイリストとして、カット、カラー、パーマ、ヘアアレンジなど、幅広い業務に従事。
       顧客管理、スタッフ育成、売上管理などのマネジメント業務も経験。
       色彩検定2級取得
H◯年◯月  退職予定(退職金50万円)
H◯年◯月  ヘアサロン◯◯開業予定
■過去の事業経験:なし
■取得資格と知的財産
取得資格:美容師免許、ヘアケアマイスター、色彩検定2級
知的財産:なし

3)取扱商品・サービス

下記について、具体的に記述します。美容室のコンセプト、ターゲット層、差別化ポイントなどを明確に示すことが重要です。

・取扱商品サービスの内容
・セールスポイント
・販売ターゲット、販売戦略
・競合、市場など企業を取り巻く状況

記入例)

■取扱商品サービスの内容
カット、カラー、パーマ、ヘアアレンジ、ヘッドスパ、トリートメントなどを提供。オーガニック製品を使用したメニューや、頭皮ケアに特化したメニューも提供予定。
①カット(シャンプー、ブロー込み)4,000円
カラー7,000円
パーマ10,000円
②オーガニック製品を使用して施術2,000円~6,000円(商品価格による)
③頭皮ケア3,000円~10,000円
■セールスポイント
・お客様一人ひとりの髪質や悩みに合わせた丁寧なカウンセリング
・リラックスできる空間で、高品質な薬剤を使用
・お客様のライフスタイルや悩みに寄り添った、よりパーソナルなサービスを提供
■販売ターゲット・販売戦略
・近隣住民、30代~40代の女性をメインターゲット
・チラシ配布、SNS、地域情報誌への掲載、口コミによる集客
・現勤務先で100名の指名を獲得しており、起業後の顧客のめども立っている
■競合・市場など企業を取り巻く状況
・周辺には競合となる美容室が3店舗存在するが、いずれも価格競争に重点を置いている
・当美容室は、高品質なサービスとリラックスできる空間を提供することで差別化を図る
・店舗前は人どおりが多く、新規顧客の獲得がしやすい立地は、大きなメリット

4)取引先・取引関係等

販売先や仕入先、外注先など、取引関係のある企業があれば、その企業名や取引内容などを記述します。美容室の場合は、主に美容商材の仕入先について記述します。

記入例)

5)従業員

従業員の雇用状況や、今後の採用計画などを記述します。美容室の場合は、スタイリストやアシスタントの採用計画について具体的に記述しましょう。

記入例)

開業時はスタイリスト1名(本人)で運営。将来的には、アシスタント1名、スタイリスト1名を雇用予定。

6)お借入の状況

現在、借入れがある場合は、その金額や返済状況などを正確に記述します。融資審査で信用情報を調査されるため、必ずすべて記入しましょう。カードローン、リボ払い、消費者金融などはマイナス評価ですが、適正な理由があれば大きなマイナスとはなりません。

10年以内に借金・クレジットカード・税金の延滞などがある場合には、まずは専門家への相談を検討しましょう。

記入例)

7)必要な資金と調達方法

開業に必要な資金とその調達方法を具体的に記述します。自己資金、家族からの借入れ、融資など、それぞれの金額と内訳を明確に示しましょう。

記入例)

8)事業の見通し(月平均)

開業後の売上見込みや収支計画を具体的に記述します。想定顧客数、客単価、売上高、経費などを算出し、実現可能な計画を立てましょう。

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2.美容室の創業計画書の記入ポイント

創業計画書は、ただ漠然と記入すればよいというものではありません。金融機関の担当者に事業内容や将来性をしっかりと理解してもらい、融資の承認を得るためには、いくつかの重要なポイントをおさえる必要があります。

ここでは、美容室開業の創業計画書の注意点を、具体的に解説します。これらのポイントを意識することで、より説得力があり、融資審査を通過しやすい創業計画書の作成が可能になります。

1)創業の動機では開業に対する思いを伝える

創業計画書において、「創業の動機」は情熱をアピールする絶好の機会です。単に「美容室を開業したい」と述べるだけでなく、その背後にあるストーリーや具体的なビジョンを明確に伝えましょう。

たとえば「長年の美容師経験を通して培ってきた独自の技術や、顧客との繋がりを活かしたい」「地域社会に貢献したい」あるいは「自分らしい働き方を実現したい」といった思いがあげられます。具体的な思いを表現することで、開業に対する強い意志が金融機関の担当者に伝わります。

さらに、開業に至るまでの具体的なエピソードや、将来的な目標などを盛りこむことで、熱意がより鮮明に伝わります。たとえば、お客様との感動的なエピソード、独立を決意した転機、地域貢献への具体的なアイデアなどを記述することで、創業計画に深みと説得力を与えることができます。

2)セールスポイントには美容室の強み・コンセプトを具体的に書く

競争の激しい美容業界で生き残るためには、ほかの美容室との差別化を図り、顧客に選ばれる理由を明確にする必要があります。そのため、創業計画書では、あなたの美容室ならではの強みやコンセプトを具体的に示すことが重要です。

たとえば、特定の技術に特化している場合は、その専門性を強調しましょう。カラーリングやヘッドスパ、ヘアエクステなど、得意とする技術を具体的に記述することで、専門性の高さをアピールできます。また、オーガニック製品や最新機器の導入、リラクゼーションに特化した空間づくりなど、ほかの美容室にはない独自のサービスや特徴を明確に打ち出すことも重要です。

さらに、ターゲット層を明確化し、その層に響くようなコンセプトを設定することも効果的です。たとえば、30代~40代の働く女性をターゲットにする場合は、「忙しい毎日を忘れられる癒しの空間」や「大人女性の魅力を引き出す上質なサービス」といったコンセプトを打ち出すことで、顧客の共感を呼ぶことができます。

3)立地や競合他社を調査しておく

開業予定地の周辺環境や競合他社の状況を把握することは、事業の成功に不可欠です。事前に綿密な市場調査を行い、その結果を具体的に記述することで、事業計画の実現可能性を裏付けることができます。

競合他社の数や規模、価格帯、サービス内容、ターゲット層などを分析し、自社の優位性を明確にしましょう。また、人口、年齢層、世帯構成、交通アクセス、駐車場の有無など、地域特性を考慮することで、より的確な市場分析が可能になります。

たとえば、周辺に競合が多い場合は、価格競争に巻き込まれる可能性も考慮する必要があります。その場合は、低価格路線ではなく、高品質なサービスや顧客体験を提供することで差別化を図る戦略を立てる必要があるでしょう。

4)資金調達方法や事業の見通しでは数値の根拠を示す

創業計画書では、必要な資金やその調達方法、売上見込みなどを記述するだけでなく、それらの数値の根拠を明確に示すことが重要です。具体的な数値と根拠を示すことで、事業計画の信ぴょう性が高まり、金融機関の担当者に安心感を与えることができます。

たとえば、売上見込みを算出する際は「想定顧客数、客単価、営業日数」などを具体的に示し、それらの数値に基づいた計算式を提示することで、売上目標の妥当性を示すことができます。また、経費についても「人件費、家賃、光熱費、消耗品費」など項目ごとに具体的な金額を算出し根拠を明確にしましょう。

さらに、資金調達方法についても、自己資金、家族からの借入れ、金融機関からの融資など、それぞれの金額と内訳を明確に示す必要があります。

3.美容室の創業計画書の作成にはツールを活用しよう

創業計画書の作成は、はじめての方にとってはハードルが高く、どこから手をつければいいのか迷ってしまうかもしれません。
そんな時に役立つのが、事業計画書作成ツールです。

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