ITシステム関連
安全率は3.46ポイントとそれほど高くない。売上が3200万、平均従業員が3.8人ということから、仲間数名で運営している小企業の規模が平均的。自社でパッケージソフトやシステムを開発するのではなく、主に大手企業やその下請け企業からオーダーされたシステム受託開発が主な業務となる。大きな設備投資を必要としないので、主なコストとなる人件費をしっかり確保しておけば資金余力が小さくてもやっていける。上質な納品物と信頼の積み重ねが受託開発を継続させる一番のポイントだ。ただ、ギャップ率は31.0ポイントと低い。ある程度売上見込みがあって開業するケースが多いと推測される。Web、モバイル関連業と比べて、同じITでも堅実な業種と言える。
この業界で起業を目指すなら…
市場ニーズの先読みが勝ちの法則。新技術分野を常にキャッチアップ!
業務用システムの開発では、Webやモバイルの流行や、各種アプリケーションの進化に注意を払っておくべき。特に、CRM(顧客関係管理)、SCM(サプライチェーン・マネジメント)など、経営の改革と革新に係わるテーマは、常に新たなシステム開発が要請されるマーケットであり、そこに得意な技術を投入していくことが差別化のポイントとなる。
この業界は、全体プロデュース、コンサルティング、設計などの上流部分を請け負う大手企業と、プログラミングなどの下流部分を請け負う中小企業に二極分化している。さらに、比較的簡単なプログラミング業務に関しては、人材コストが低い、アジアなどでのオフショア開発も急増中。製造業の空洞化と同じ現象が起こりつつある。
このマーケットでの成功を目指すなら、コンサルティング能力を高めつつ上流業務を狙うか、下流部分であっても、先述したCRMやSCM、もしくは今後新しく求められるソリューション開発など、先んじて他社と差別化できる技術分野を追究し続ける必要がある。そういった意味でも、常に競合に勝る付加価値を保有していなければ、生き残りが難しい業種といえるだろう。