理美容業
安全率は6.06ポイントと高めである。一部のチェーンを除くと、多くの理容院、美容院は経営規模が総じて小さく、売上で1500万円程度、従業員が2.25人ということから、家族経営に近いかたちが、全体平均の規模となった。理美容院の原価は人件費が半分以上を占める。ただ、ほかの業界に比べても、スタッフ一人当たりの平均賃金は低いといわれている。スタッフのモチベーションを高く維持し、長く定着させることが、繁盛店運営の基本となる。そこをうまくコントロールできれば、余剰金が蓄えやすい業種といえる。ギャップ率は55.6ポイントと高く、計画を達成することが難しく、経営改善にも時間がかかることを示している。
この業界で起業を目指すなら…
常に技術を磨き続けることは当然。優秀なスタッフ確保が差別化ポイント
美容院、理容院ともに従事者が多く、開業が比較的容易であることから、新規参入は多い。それゆえに、同業間の競争は激しく、また、地域によってはすでに飽和状態となったエリアも多く存在しているようだ。特に理容院では、男性ユーザーの美容院シフトといった要因もあり、固定客をどう引き留めるかが生き残るための重要な戦略である。
また、近年、シャンプーやパーマなどの過剰なサービスをいっさい省き、「短時間」「低料金」をウリにする店舗も増えてきた。その一方で、低価格店舗との差別化を図るため、ヘアケア以外にネイルアート&ケアサービスを提供する美容院や、女性向けに「顔剃りサービス」を行なう理容院も登場している。
お気に入りの技術者の存在を選択基準とするユーザーは多い。だからこそ、オーナー自身が常に技術を磨き、流行を把握する。また、優秀なスタッフを確保することが大きな差別化ポイントとなる。もちろん、新規顧客獲得も重要であり、リピーター獲得のためのオリジナルチラシ、ニュースレターなどを発行する店舗も増えている。競争の激しいマーケットであることは間違いない。常に付加価値を高め、ターゲットを広げながら、既存店舗との差別化を追求し続ける必要がある。