事業譲渡金額の査定について
QUESTION
近々既存の接骨院の経営譲渡を受け、自身が経営を行う予定です。院は現在テナントに入っており、テナント契約を引き継ぎ、譲渡を受ける時には設立10年になる予定です。
譲渡を受けて起業する際に発生する譲渡金額などの査定は誰がどのように行うのでしょうか?
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ANSWER
<誰が査定を行うか?>
譲渡金額の査定を行う場合、一般的には買い手が税理士やコンサルティング会社などの専門家に依頼して行うことになります。(金額交渉を有利に進めたい側が査定を行うことになるため、売り手も査定を行うケースがあります。)
<査定はどのように行うか?>
買い手から依頼を受けた専門家は、医療器具、備品などの目に見える資産のほか、債権、債務、契約、収益性(営業権)などの目に見えない部分を確認し、その結果をベースに買い手と相談しながら、何をいくらで譲り受けるかを決めていくことになります。
査定作業の中でもっとも難しいのは、何と言っても「営業権」の評価です。売り手と買い手は、利益が相反する関係になりますので、過去の評判・譲渡後の顧客・事業の収益性などを確認しながら、お互いに納得のいく金額を決めなければなりません。
営業権の実際の評価方法としては、収益還元方式、相続税評価額に準ずる方式などがありますが、単純に営業利益×何年分と評価しているケースもあり、最終的には売り手と買い手の話し合いで金額を決めることになります。
※営業権の評価について、相続税評価額の計算規定である財産評価基本通達の中では「医師、弁護士等のようにその者の技術、手腕又は才能等を主とする事業で、その事業者の死亡とともに消滅すると認められる事業の場合には評価しない」(財産評価基本通達167)とされており、接骨院もこれに含まれるものと考えられます。この通達によれば「営業権の評価は必要ない」ということになりますが、これはあくまでも相続や贈与の場合を前提とした評価方法であり、これを根拠に0円という評価で売り手を納得させるのは難しいでしょう。
<メリット・デメリットについて>
営業を譲り受けて事業を始める場合、0から立ち上げて事業を軌道に乗せるまでに必要な「時間と労力がかからない」というメリットがありますが、その時間と労力をお金で買うことになるため金銭的には負担が大きくなるというデメリットがあります。営業権として支払った金額は、その後5年間での均等償却により費用化されるものになります。今後5年間の営業利益が営業権として支払った金額を超えるか?という分析をしっかり行うことがメリットを考える一つの目安になりますのでご参考ください。しっかりプランを立て、適正な金額で営業を譲り受けることができれば、経営はきっと成功します。